「こうするべき」に囚われない新しい働き方を目指して 株式会社エニタイムズ代表・角田千佳

「こうするべき」に囚われない新しい働き方を目指して 株式会社エニタイムズ代表・角田千佳

turning point「まだその夢持ってたの?」向いているのは“日本での起業”だと気付く

――野村證券にはどのくらい勤めていたのでしょう?

2年半です。そのあとサイバーエージェントという会社に転職し、そこではゼロイチで新しい事業を作っていく経験もさせてもらいました。この2社を通して、ビジネスは社会課題を解決できる可能性を秘めているということを実感したんですが、それでも頭の中からはずっと「国連職員になり、開発途上国の開発援助の仕事をしたい」という思いが消えませんでした。

そしてサイバーエージェントに入社して3年ぐらい経った頃、国連職員になる夢に向けて動き出そうと思い、当時国連平和大学に関する仕事をしていた大学時代の友人に会いに行ったんです。「そろそろ、国連平和大学の大学院の試験を受けたいと思っている」と話したところ、「まだその夢持ってたんだね!」と。彼女が言ったのは、国連というのは非常に大きな官僚的な組織なので、自分で何かをやりたいと思ってもできるようになるまでは何十年もかかるし、できない可能性もあるから、国連にこだわる必要はないんじゃないか、むしろ今の仕事がとても楽しそうだし向いてそうだから、他の方法もあるのでは?ということでした。その言葉が大きなきっかけになって、国連職員ではなく、まずは今自分が実感している身近な社会課題解決を日本で、起業によって実現するという方法があるのではないか、しかも自分にも向いているんじゃないかと思い、そこで初めて起業することを思い立ちました。

起業を決めて一週間後には当時の上司に報告。一か月間で引継ぎを済ませて退職し、2013年5月1日に起業!

――急展開ですね。起業すると決めたときには、どんな事業にしようかということはどのくらい決まっていたのでしょうか?

全然決まっていませんでした。ただ先ほどとは別の友人に起業の話をしたら一緒にやりたいと言ってくれて、急遽合宿をして。パラオの無人島のWi-Fiもないようなところで、砂浜に図を描きながら、1週間で内容を決めました。今12年目に入りますが、その当時に考えたサービス設計の根本的なところは変わっていないので、初心はすごく大事だなと思います

――急ピッチで作っていって、当時はかなり忙しかったのでは。

忙しかったという記憶はなくて、とにかくワクワクしかありませんでした。この事業で本当に日本の働き方を変えられるんじゃないかというワクワクしかなかった。

――この12年間そのワクワクは続いていますか?

そうですね、一度も辞めたいと思ったことはないです。業績だけ見るとなぜこの事業を続けているのかと思う方もいるかもしれませんが、喜んで使ってくださるユーザーさんがいる限り、私自身がこのサービスを辞めようとか、事業をピボットしようと考えたことは一度もありません。

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