「こうするべき」に囚われない新しい働き方を目指して 株式会社エニタイムズ代表・角田千佳

「こうするべき」に囚われない新しい働き方を目指して 株式会社エニタイムズ代表・角田千佳

会社員、起業、副業…様々な働き方に注目が集まっている今、自分の持つスキルを身の回りでシェアする新しい働き方を提案する、株式会社エニタイムズの角田千佳さんにインタビュー。事業の内容も気になるところですが、角田さん自身も日本と海外の複数拠点で生活するという独自のライフスタイルを実践中。起業の経緯とともに気になるライフスタイルについてお伺いしました。

【角田千佳プロフィール】
年齢:38歳/職業:経営者/家族構成:夫、子ども(二人目妊娠中)
X @chikageena

topics就職して知った社会の見えない枠…

――角田さんが現在行っている事業のことを教えてください。

いくつか携わっているのですが、メインとなっているのは2013年に創業した株式会社エニタイムズで、スキルのシェアリングエコノミーのプラットフォームを開発、運営しています。

――シェアリングエコノミーというのは?

インターネットを介して個人(企業等も)間で活用可能な資産(場所・モノ・スキル等)をシェア(売買・貸し借り等)することで生まれる経済の仕組みです。弊社の ANYITMES(エニタイムズ)の場合は、「近所で、出会って、助け合い」をコンセプトに、家具の組み立てや家の掃除、料理といった日常のちょっとした用事を、個人間で簡単に依頼したり請け負うことのできるプラットフォームを提供しています。

――起業の経緯を教えてください。

遡ると子どもの頃になりますが、緒方貞子さんという方の記事や本を読んで感銘を受けたのが最初のきっかけです。緒方さんは私が小学生の頃に国連難民高等弁務官をされていた方。当時の私には戦争はもう終わったものというイメージがあったのですが、自分と同じくらいの年齢でも、今、戦禍に巻き込まれている子どもたちがいるということに大きなショックを受けました。さらに自分と同じ日本人女性である緒方さんが、その現場に実際に行って、難民支援に力を尽くしているというところに非常に感銘を受けました。そこから思い込みにも近い形で、将来は開発途上国の開発援助や、戦争が終わったあとの街づくりの仕事をしたいと思うようになって、漠然と「国連の職員として働きたい」と思っていました。

ただ大学3年生になって就職活動が始まったとき、野村證券のリクルーターさんに会う機会があり私の思いを伝えたところ、「証券会社に入ればいろんなビジネスを知り、世の中の流れを勉強できる。まずは民間企業で力を付けてから、国際公務員になる道もあるんじゃないか」と言われて、そういう方法もあるのかと思いまして。さらに、国連の職員になるには大学院に行かなくてはいけなかったんですけど、親からは大学院の学費は自分でと言われていて、まずは稼がなければいけないという事情もあったので、そのまま野村証券に就職することを決めたんです。当時の経験が今の事業に繋がっていますね。

証券会社時代は株や債券、投資信託等の営業を担当。その中でも新規上場するIPO株が短期間で成長して、世の中に影響を与えていく様子を目の当たりにしたのが刺激になったそう。

――どんな部分が事業に繋がったのでしょうか?

就職したことによって、学生時代に見えていた世界がガラッと変わったんですね。私は働くことに対して、ワクワクするとか、楽しい、ポジティブなイメージを持っていたんですけど、会社では大人たちがすごく苦しそうに働いていたんです。もしその環境が嫌だったら、社内で意見を言うこともできるし、転職や独立の道もあるのに、しない。学生時代には見えていませんでしたが、社会の枠や固定観念に囚われている人があまりにも多いということに気付きました。これまでずっと日本の外ばかり見ていたけれど、日本の中にも社会課題がたくさんあって、自分が解決したいことはもっと身近にあるのではと思うようになったんです。

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