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work style興味のある領域の中でビジネスアイディアを100個出す
――今の事業はどのように思いついたのでしょうか。
リクルートを辞めてから自分が取り組みたいテーマを考え始めて、自分の人生を振り返ったときに興味があるものが二つ思いついたんです。ひとつが「外国語教育」。私は中国出身の日本育ちで、家庭では中国語会話が飛び交っていました。家の外と中で言語やカルチャーが違っていたので、言語を知ることで常識の幅が広がるなと感じたことが理由です。もうひとつが「美容」で、小さい頃から雑誌を読んだりして好きな領域でした。その二つの領域の中でビジネスアイディアを100個考えて、その内のひとつがトリビューです。
――100個! その中からどうしてこの1個に絞ったのでしょうか?
10代のときの初めての美容医療体験が影響しています。どのクリニックが良いのかという情報がなく、当時は2ちゃんねるで情報収集をしたんですね。ただ匿名ですし信頼できる情報が見つからなくて、結局はテレビCMをやっていて名前を知っているという理由だけで選んだクリニックに行って施術を受けました。そういった状況に、ユーザーとして「負」を感じる一方、施術自体にはすごく満足して。化粧やほかのことでは解決できない悩みがこんなに簡単に解決できるのかと、すごく嬉しかったことを覚えています。美容医療によって自信がつき、人生にインパクトを与えることができると感じました。
日本でも美容医療の市場がすごく伸びていて、どんどん一般的になってきていたのも、この事業に絞った理由です。どういうクリニックや先生を選んだらいいのかという情報のニーズが、これから増えてくるタイミングだということも決め手になりました。
――事業はすぐに軌道に乗りましたか?
リクルートを辞めてベンチャーキャピタルにいた1年間で準備をしていたのですが、リリースまでは苦労しましたね。最初に大変だったのは、アプリやwebサービスを作るエンジニアが必要だということです。私はエンジニアではないので、SNSでエンジニアの方にDMを送ったり、友達に聞きまわったりしてたくさんの方とお会いしました。「はじめまして」でいきなり一緒に会社をやってくれる方はなかなかいませんし、お互いの相性の面でもマッチする方がなかなか見つからず、エンジニア探しに1年くらいかかったと思います。
――リリース後はいかがでしたか?
リリース後も最初の2年くらいは売上が立たない状況が続きました。弊社の場合は立ち上げの際に、私が以前在籍していたベンチャーキャピタルや、IT系の会社を売却した投資家の方に出資してもらって始めたのですが、その出資金でサービスの開発を続けていました。
トリビューは口コミを見て納得のクリニック選びができるサービスを目指していたので、口コミがないとユーザーはクリニックを探すことができません。ですので、まずは口コミを投稿してくれる人を集めて、口コミのコンテンツを貯めていたのが最初の2年です。一定の数が貯まってからは、患者さんを増やしたい美容クリニック向けの広告商品を作って、マネタイズができるようになっていきました。
――なかなか売上が立たない状況に、プレッシャーや不安はありませんでしたか?
焦りが一番あったかなと思います。コンテンツを日々積み重ねていく必要がありましたが、その積み重ねのスピードはそんなに上げられないので。有益なサービスにしなければと焦りながらも、着実に取り組むのはなかなか大変でした。