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turning point自分が頑張らないことで成果が出る
――ご自身の経営者的な視点は、どんな経験から身に着いたと思いますか?
いろんな方に話を聞いた経験が大きいかもしれないです。会社員時代は、会社の中の一部のことにしか携わっていないですし、アプリを作ってどうやって利用者を増やすかという経験もトリビューを始める前にはありませんでした。例えばアプリの場合、月に何人が使っていて、そのうちの何人が口コミを投稿してくれているという割合は出せますが、それが高いのか低いのかわからないときに、他のサービスと比較するために株主に話を聞きに行ったりしていましたね。
――転機になった出来事はありますか?
はい。「会社を設立してから今まで、前半と後半でキャラクターが変わった」と周りの人に言われるんです。前半のサービス立ち上げ時期は、自分が全部やらなきゃという意識が強く、自分が全部意思決定をして、全部のプロジェクトの詳細を把握していないと気が済まなかったんです。Slackの投稿も全部読んでいました。
でも次第に事業や組織の規模が大きくなってキャパシティが追いつかなくなり、見切れないことに悩み始めました。そんな時期にある経営者とお会いする機会があって、「自分が頑張らないことで成果が出る」という、私のそれまでのスタンスとは真逆の言葉を言われたんです。それがまさに転機でした。ちょうど自分のやり方にも限界を感じていたので、思い切ってやり方を変えて全部メンバーに任せてみました。すると「逆にやる気が出た」「任せてもらえたから頑張りたい」という意識に繋がり、自分たちなりの工夫をし始めて、こういうことだったんだなと気付いて。そこからは必要なタイミングで、必要なことだけを教えてもらうように切り替えました。結果として、私自身は中長期的な事業の戦略を立てることに時間が使えるようになり、会社もいい方向に進み始めたと感じています。