元AKB48・島田晴香 ポンコツOL、起業…ど根性アイドルのセカンドキャリア

元AKB48・島田晴香 ポンコツOL、起業…ど根性アイドルのセカンドキャリア

AKB48の9期生であり、現在は引退して後輩アイドルのキャリア支援に取り組んでいる、株式会社Dct・CEO島田晴香さん。タレント、歌手、女優などアイドル卒業後も芸能の道に残るメンバーが多い中、なぜ島田さんは起業の道を選んだのか? 一般社会と芸能界のギャップについてもお伺いしました。

【島田晴香プロフィール】
年齢:31歳/職業:起業家/家族構成:既婚
insta @shimadadesu_official
X @himada_hrk1216

topicsアイドル辞めたら何をする?

――まずは今の島田さんのお仕事について教えていただけますか?

アイドルのセカンドキャリア事業を中心に会社を運営しています。最近ではアイドルだけではなくて俳優さんだったり、芸能界で頑張っていたけど外の世界も見てみたいっていう子たちに対しての人材育成をしています。

――人材育成というとどういった内容になるんでしょう?

パソコンスキルや、ビジネスマナー、あとマインドセットですね。芸能界の働き方と一般社会の働き方にはギャップがすごくあるので。そのギャップをなくしていかないと、心が疲れてしまったり精神的につらくなってしまうこともあるので、社会に順応できるようなプログラムを作っていて、企業をマッチングさせていただいて就職までをサポートしてるっていう感じですね。

株式会社Dct・島田晴香さん。現在はアイドルのセカンドキャリア支援事業を行っている。

「芸能の世界にいると、どんな職種があってどんな職業があるかわからない子たちも多い。ベースとしてこれらのプログラムを受けてもらって、目的によって広報や営業やSNS運用などの専門スキルをつけてあげることも」

――どのぐらいの年齢層の方が多いんでしょう?

自分がアイドルだったときもそうだったんですけど、分岐点がいくつかあるんです。高校を卒業する18歳のタイミングと、周りの同級生たちが新卒で就職し始める21、2歳のタイミング。芸能界一本でいいのかなっていう不安を抱えながら活動してて、このままでいいのかなっていう壁にぶつかる頃です。そこを過ぎると24、5歳ぐらいになって、30代が近づいてきて自分の人生設計このままでいいのかなっていうところで、よく後輩から相談を受けますね。

――島田さん自身も25歳のときにAKB48を卒業してますよね。

はい、芸能界自体を引退してます。

――グループを卒業してタレントとしての道を選択する方も多い中で、なぜ引退を選んだんですか? 島田さんならタレントとしても活躍できそうに見えたんですが…。

芸能界に対して「もっと頑張りたい」っていう気持ちがなかったって言えば嘘になってしまうんですけど、それ以上に外の世界にすごく興味があって。自分が置かれていた環境の影響もあると思うんですけど、両親が自営業をやっていたり(島田さんのご実家は熱海で旅館を経営)、私自身普通の高校に通っていたので、周りの同級生たちがどういう職に就いて、どういう仕事をしているかっていう話を聞く機会が多くて。世界ってこんなに広いんだって思うと、芸能だけで終わる人生ってちょっと嫌だなって思い始めたのが、22歳ぐらいのときでした。でもすぐには芸能を諦めたくなくて、いろいろ調べたり人に話を聞いて、やっぱり一回きりの人生だしと思って決断したって感じです。

 

turning point芸能界ではセカンドキャリアを考えにくい風潮がある

――引退してからは具体的にどんなことを?

2017年の12月に引退して、その翌年の1月から1年間ロンドンに語学留学に行ったんですね。

――いきなり起業ではなく。

小さい頃から高校生までテニスをやっていて、部活で全国を目指したり、AKBの活動の中でもテニスのレギュラー番組や雑誌をやらせていただいたりして、テニス関係者の方と触れ合う機会がすごく多かったんです。それで、スポーツに携わるお仕事って何があるんだろうと思って調べたときにスポーツマネジメントっていう仕事を知って。そういう仕事をやっている会社の社長さんにどうしたらなれるのか聞いてみたら、海外の選手も多いので英語が喋れないと難しいっていうことで、留学することに決めました。

島田晴香さんのインスタグラムより。2021年に発生した熱海市の土砂災害の復興支援のクラファンを実施し、熱海市長に義援金を手渡しているところ。

ちなみに島田さんには実家の旅館の若女将という一面も。「フロント業や女中業をやることもあれば、東京で広報業務をやったり。地元に恩返しできないかと思ってお手伝いしています」熱海市に大雨土砂災害が起きたときには、復興支援のクラファンも実施してサポート!

留学中は現地でテニスのお仕事や選手のサポートをさせていただく機会があったんですけど、そのときに選手たちがみんなセカンドキャリアについて考えていたことに驚いたんです。「今現役でバリバリやってるのに、どうしてセカンドキャリアのことを考えてるの?」って聞いたら、「もしかしたら今日の試合で怪我するかもしれないし、自分のスポーツ選手としての寿命がいつ終わるかわからないから、常に考えるようにしてる」っていうふうに言ってて。私はアイドルをやってるときに、自分のセカンドキャリアのことなんて全く考えてなかったなと思って。そのくらいの時期から、起業してみたいという思いが少し出てきましたね。

――日本の芸能界にはセカンドキャリアを考えるという人は少ないんでしょうか?

そういう考えをしようという風潮はないですね。セカンドキャリアを考えてる時点で保身に走ってると捉えられちゃうっていうのは、自分が現役のときにも感じたことがあります。たとえば18歳で高校を卒業して芸能一本でいくか、大学に進学するかが分かれるんですけど、大学に行くことは保険をかけてると言われることもあって。もちろん本人はそんなつもりではなくて目的とか目標とか夢に向かって頑張ってるだけだし、大学で学んだことが仕事に繋がることもあります。でもそういうふうに見られることがあったことを思うと、セカンドキャリアについて考えにくい環境なのかなと感じました。

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