もう一度ワクワクしたい。株式会社LITA代表取締役&PRプロデューサー・笹木郁乃の原動力

もう一度ワクワクしたい。株式会社LITA代表取締役&PRプロデューサー・笹木郁乃の原動力

愛知では母親として、東京では経営者として、独自のスタイルでキャリアを築いている株式会社LITAの代表取締役社長・笹木郁乃(ささき いくの)さん。幾度となくキャリアで悩んだ経験から、どのようにして自分の人生を掴んでいったのでしょうか。インタビューで紐解きました。

【笹木郁乃プロフィール】
年齢:40歳/職業:経営者(株式会社LITA代表取締役社長)/家族構成:夫、子ども(10歳)
insta @ikunosasaki__lita
X @IkunoSasaki

topics40、50代の女性に支持される新しいキャリアとは

――笹木さんが代表を務める株式会社LITAでは、どんな事業をされているのでしょうか。

大きく言うと三つ事業があります。一つがPR代行事業で、企業さん向けに認知向上と売上拡大のためのPRをサポートする仕事ですね。二つ目がPR塾といって、一年間で広報PRを学び、PRプロデューサーを輩出するための講座です。

――というと、企業の広報さんが参加されるような?

そう思われがちなんですけど、6割ぐらいが40、50代の女性で、子育てがひと段落して第二の人生を歩みたいとか、介護をしながら在宅でも社会で活躍できるキャリアを身に着けて独立したいっていう方がほとんど。卒業生は今1,600人ほどいます。

株式会社LITAが運営する、PRプロデューサーを養成する「PR塾」での一幕。登壇するのは代表の笹木郁乃さん。

笹木さんは会社全体の経営や部署の統括をしながら、PR塾では講師としても活躍。入学式、講義、勉強会など月に7~8回は登壇しているそう。

三つ目が、フリーランスの女性のための学校『I’me(アイミー)』。今お話ししたPR塾を卒業してフリーランスになったはいいけど、その後の自分の見せ方や集客や肩書きをどうするか、あるいはマインドなど、別の悩みが出てくるんですよね。なので、PR業に関わらず、フリーランスのコミュニティみたいな形で運営しています。

――具体的にはどのような活動があるんでしょうか?

6ヶ月間で自分のビジネスプランを完成させて経営者の前でプレゼンをするコンテストがあるのと、毎月メンターに1時間相談できるメンターカウンセリング、あとはグループを作って、1ヶ月間の仕事や個人的な出来事をシェアしてみんなからフィードバックをもらってというフォーラム。フリーランスって孤独なので、「自分だけじゃないんだ、みんなもこうやって失敗して乗り越えたんだ」って支え合えるような仕組みを作っています。

私自身も、子どもが生まれてからキャリアに悩んで起業してるんですね。なので、そういう人をスクール事業を通して支援したいっていう思いがあるのと、PR塾もI’meも現役でPR代行をしてるからこそプロフェッショナルなスキルがお伝えできるっていうところが強みです。

 

turning point二度の転職と挫折

――ご自身もキャリアに悩んでいたとのことですが、起業までの経緯をお伺いできますか?

大学で工学部を卒業して、アイシン精機という上場企業の自動車部品の会社に研究職として就職したんですね。でもそこで全く活躍できなくて。「上場企業に入る」ということを目標にしていたので仕事の内容が自分のやりたいこととマッチしてなかったんです。ただせっかく良い会社に入れたのに辞めるなんてもったいないとも思って。3年ほど働いて、もう精神的に会社に行けない状態になってから初めて、転職活動しようって思いました。

そのときはどんな職業があるのか全然わからなくて、人とコミュニケーションをとる仕事をしたかったんですが、営業くらいしか思いつかなかったんです。それに大企業の一員として働くよりも、自分の活躍がダイレクトに反映されるような環境のほうが性に合っているとも思って。それでベンチャー企業の営業をしようと思って転職活動をして、たまたま出会ったのがエアウィーヴ。できたばかりのタイミングで、一人目の社員として入りました。

――すごい環境の変化。怖くなかったですか?

研究職をしていた3年間で、もう自分が壊れそうって感じだったんですよね。「自分ってこんなにネガティブで落ちこぼれだっけ」って思ってしまうような時間をもう味わいたくなかったので。

――エアウィーヴではどんな働き方をしていましたか?

最初は営業、マーケティング、PR、売ることに関わるすべてをやっていました。社長の「この会社を日本一のマットレスの会社にしたい」っていう思いを聞いてすごいワクワクして、夜中まで一生懸命働いてましたね。

――では、結果もすぐに出たのでしょうか?

一年目は全く。それまで営業の経験はなかったので、自分から誰かにアプローチして動くのが怖くて。二年目ぐらいになってようやく、「このままじゃやばい、せっかく入ったのに足手まといすぎる」と思い、いろんなメディアにアポをとってプレゼンをするっていうのを繰り返して、商品が新聞やテレビに取り上げられるようになっていきました。入社当時は1億円程度の売上だったのが、4、5年で80億円くらいまでいって、会社が大きくなっていきましたね。

水道橋駅付近にオフィスを構える株式会社LITA。インタビューに答える代表の笹木郁乃さん。

成果を上げるために意識したことは?「行動してもすぐ成功するわけじゃないので、行動の数を大事にしています。それと、行動をしたときに相手がどんな反応だったかを汲み取って、相手の正解にあわせていくこと」

ただそれまで社長と直接仕事をしていたのが、そのくらいの規模になってくると、外部から有能なブレーンが次々と入ってくるようになり、会社での自分のキャリアを改めて考えるようになりました。それに仕事もバリバリと行いたかった一方で、プライベートも大切にしたいという気持ちもあり、一旦仕事よりプライベートに比重をおき妊活し始めて、出産をしたのもその頃でした。

――そのときもまだエアウィーヴには在籍はしていたんですよね。

はい。時短で子育てと適度に両立しようと思っていました。でもいざ職場に戻ってみると、大好きな子どもを保育園に預けてまでやってる仕事に対して、以前ほど全力のエネルギーを向けられない自分がいました。それで、もう一回自分がワクワクできる仕事をしながら子育ても両立するっていうチャレンジをしてみようと思って、また転職活動をしました。

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