下京慶子 プロデューサー・俳優・ドローンパイロット 30歳で見えた景色

下京慶子 プロデューサー・俳優・ドローンパイロット 30歳で見えた景色

プロデューサー、俳優、ドローンパイロットとエンタメ業界を3つの職種で生きる下京慶子さんにインタビュー。若い女性だからぶつかる壁とは、業界特有の困難とは。エンタメ業界のキャリアを考えます!

【下京慶子プロフィール】
年齢:31歳/職業:プロデューサー、俳優、ドローンパイロット/家族構成:独身
Twitter @keiko_shimokyo
instagram @keiko_shimokyo

topicsコロナ禍で決心!制作部への方向転換

――映像業界でのキャリアがスタートしたのはいつ頃なのでしょう?

お芝居や制作の勉強を始めたのは23歳、大学を卒業して1年経ったくらいのときですね。最初は制作がやりたかったんです。物語を作る仕事がしたくて、プロデューサーになれば全部できるんじゃないかと思い、とりあえずそこを目指してみようって。

幼少期を奄美大島で過ごした経験もある下京さん。「演劇や映画館がほとんどない街で育ったので、18歳で東京に出てきて、大学の4年間で観に行きまくっていました」

私は映像の専門学校や芸術大学を出ているわけでもないので、最初はとある脚本家の方に弟子入りさせてもらおうと思ったんです。そうしたら、「君は始めたのが遅いし、出役も向いてそうだから、現場に入って現場で学ぶのが一番近道だと思うよ」ってアドバイスをもらったんです。それで最初に飛び込めたのが、小劇場の俳優部だったっていう。だから、世間的にはまず俳優として世に出たんですけど、制作の勉強も同時スタートで、並行してやってきていました。

――ドローンパイロットはいつ頃からやられているんですか?

ドラマに俳優部として出演した際、休憩時間にスタッフさんと趣味の話になって。「最近ドローンにハマってます」っていう話をしたら、「実はこのドラマでドローン入れたくて、最終話飛ばしてくれないですか?」っていうのがきっかけで。それが5年前くらい。まだ「ドローンって何?」っていう時代でドローンパイロット自体が少なかったので、有難いことにその後から、別の現場でもお仕事をいただけるようになりました。

――現在は制作会社も立ち上げて。これはどういったいきさつがあるのでしょうか。

3年前コロナ禍になったときに、俳優部の仕事が1年間0になったんですよ。ずっと憧れていた監督さんとの仕事も決まっていたタイミングで、当時はものすごくショックでした。でも、これはチャンスだなと思って。俳優部をやっていると、基本的にスケジュールが拘束されて他の仕事が入れづらいんですね。それが白紙になったので、じゃあこの1年で今までやりたくてもできていなかった制作に集中してみよう、と。ただそのときはまだ実績がなく個人では契約が結べないことが多かった。そこで、会社を立ち上げてっていう流れです。

 

work styleこの時代にまだブラックかもしれない…その環境を変えたい

――3つのお仕事の割合は、どれがどのくらいなんでしょうか。

よく聞かれるんですけど、全部同じくらいです。需要でいうと、今制作は本当に人材不足なので、プロデューサーやドローンの依頼が多かったんですが、最近始めた「おねえさんとぼく」https://www.tiktok.com/@onesantoboku)というTikTokコンテンツがバズったことで、俳優部の仕事の依頼も増えてきました。

――プロデューサーと俳優とどちらのほうがやりたい、という気持ちってありますか?

これも本当に同じくらいの気持ちで、というより自分の中では表現方法が違うだけでどちらも物語を生み出しているという感覚で、同じ世界の仕事だと思っています。ただ、どっちもやるには単純に時間が2倍とられちゃうし、2倍動かないといけない。だから途中で“これはいつか倒れるかも”と思って、どちらか一つ選ぼうとしたんです。3年程悩んだんですけど、結局選べなくて。選べないということは、どっちも同じくらい大事だと思っているんだなと、だったらやってみるか!と腹をくくって、出役も裏方もやりきろうというのが、今です。

制作部の現場ではすっぴんにキャップ姿が多いそう。「プロデューサーの役割は、企画、資金集め、製作費の配分、スタッフィング、キャスティングが主。私の場合はラインプロデューサー的な立ち位置もやりながら、車輌運転やお茶場の準備から片付けまで、現場でもがっつり動くことが多いです」

――下京さんの下積み時代は、どんな時期でしたか?

今の仕事で言うと、23歳から26歳くらいまでですかね。いろんな現場に行って、各部署のアシスタントとして現場を学ばせてもらっていた時期です。

――映像制作の現場って、すごくブラックなイメージがあるんですが…。

あー…、基本ブラックになりがちです。その環境を変えたいという想いもあって、プロデューサー業をやっています。パワハラやセクハラもあれば、取るに足らないしがらみも強くて、ほかの業界の人が見たら「この時代にまだそんなことやってるの?」みたいな世界かもしれない。だから、今自分がプロデューサーとしてやれるようになって、ちゃんと寝られるような環境を作るとか、ちゃんとスタッフさんも三食食べられるようにするとか、人件費はなるべく減らさないようにするとか、自分の現場では皆が楽しく元気でいられるように心掛けてやっていたりはします。

――仕事をする上でのこだわりや譲れないことはありますか?

“好きの気持ちを大事にする”ですかね。仕事って人生の中で大半を占めるので、どうせやるなら本気で頑張りたいんです。頑張る理由で“好き”に勝てるものってないと思うんですよね。寝れないような多忙な時期でも、辛いという感覚より、好きなことをやれて幸せだ!と思えているので、“好き”マインドは必要不可欠です。人に対しても“好き”を大切に関わっています。好きな人たちと一緒に、楽しく作品作りをしていきたいです。

 

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