まもなく創業70年を迎える学校法人・都築学園グループの副総長、都築明寿香さんにインタビュー。学校経営のことはもちろん、出産や意外な習慣まで、幅広くお話をお伺いしました!
【都築明寿香プロフィール】
職業:都築学園グループ副総長/家族構成:子ども3人
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topics福岡発祥、70年近く続く学校法人
――都築学園グループはどんな学校なのでしょうか?
1956年に福岡で創設して、現在では鹿児島から札幌まで、日本全国で約40校の学校やNPO、研究所などを運営している学校法人です。創設当時から「個性の伸展による人生練磨」という建学の精神を貫いています。
――教育機関はどんなものを?
現在グループには大学院4校、薬学・健康・工・経済の大学6校、短期大学2校、専門学校9校があります。それ以外にも保育・幼稚園から小中高校、リカレントや生涯教育等を手掛け、分野や学生の層も幅広く運営しています。全学生数は35,000人ほどで、私立の中でも規模は大きいほうだと思います。
――その中で都築さん自身はどのような部分に携わっているのでしょうか。
グループ全体を見ることと、大学の学長として実務のオペレーションを担っています。それと、文部科学省認可のリンデンホールスクールという小・中高一貫型の学校では、中高学部の学校長を務めています。
――リンデンホールスクールはどんな学校なんですか?
小学部と中高学部のすべての課程において、英語イマージョン教育を実施している学校で、全国で初めて学校給食の有機JAS認証を取得したオーガニック給食の提供も行っています。「和魂英才」という教育方針のもと、日本人が国際舞台で活躍するために英語をツールとして身に付けるため、授業のほとんどを英語で行います。国語や道徳など、日本語や文化・伝統的価値観を習得するための科目と数学・理科・社会等の主要教科・科目に関しては日本語でも授業を行うバイリンガルな教育形式をとっています。
また、高校の課程では国際バカロレアというカリキュラムを採用していて、本校でバカロレアコースを卒業した生徒は、日本の高校卒業資格と国際的な卒業資格を同時に取れるようになっています。
――というと…?
国際バカロレアはスイスのジュネーブにある国際団体が認定している卒業資格ですが、受講するメリットは、例えば日本の高校を卒業してオッスクフォード大学やケンブリッジ大学を始めとする英国の大学(通常英国の大学は3年制)に進学しようと思うと、一般的には最初1年間はファウンデーションコースに通う必要があるため合計4年間の在学期間となります。しかし、国際バカロレアの卒業資格を持っていると、初めから正規3年制の学生として入学できる大きなアドバンテージがあります。また、欧米の多くの大学では、国際バカロレアで取得した単位の一部を大学の卒業単位に認定してもらえるため飛び級で卒業することもできます。日本の大学ではバカロレア入試を導入しているところもまだ少なく、飛び級制度自体がほぼないに等しいのでピンと来ないかもしれませんね。
――知らない制度でした。
ぜひこの機会に知って頂きたいです! 海外大学への進学、特に欧米は学費が高いイメージがありますが、飛び級や奨学金制度を活用することで、世界のトップクラス大学への進学の道が大きく開けてきます。
昨今、日本人のグローバル思考の広がりと共に、特に都心部では日本人を対象とするインターナショナルスクールが増加傾向にあります。しかし、将来的に日本と海外の真の架け橋人材を目指すのであれば、日本語や文化・知識の習得も非常に重要なファクターとなってきます。
この点に着目して、リンデンでは生徒の卒業時に英語がネイティブレベルに達する点だけを目標にせずに、授業カリキュラムは外国のものを準拠せず日本の文科省の学習指導要領を使っています。そのため、日本語や一般科目も日本の高校卒業と同等レベルで習得できます。もちろん日本語の会話も場面に応じて尊敬語や謙譲語等を使い分けて話せますし、文化や伝統についても豊かな知識と経験が身につきます。このハイブリッドな教育の集大成として、今年の開学20周年記念イベントでは、本校が位置する太宰府の地にちなんで、歌舞伎俳優中村壱太郎様の監修のもと生徒たちが英語歌舞伎「菅原伝授手習鑑車引」を約1800名収容する公演会場での上演に挑戦します。「和の文化」である歌舞伎と「英才」である英語を組み合わせた本学の教育方針を高度に体現した公演で、生徒たちが体験を通じて何を感じ、今後どの様に成長していくのかとても楽しみです。
――都築学園グループでは、海外に向けての取り組みに力を入れているのですね。
おっしゃる通りです! リンデンホールスクールに関しては日本から海外へという展開で力を入れていますが、大学レベルでは留学生を世界20カ国以上から5,000人ほど受け入れていて、学園が日本と海外の架け橋のプラットフォーム的な役割を担えることを目指しています。また、紛争地域で学校に通うのが困難な子供たちに教育の機会を提供するため、ウクライナやアフガニスタンの学生、特に女子学生の受入れを積極的に行っています。