下京慶子 プロデューサー・俳優・ドローンパイロット 30歳で見えた景色

下京慶子 プロデューサー・俳優・ドローンパイロット 30歳で見えた景色

life style子どもは大好きだけど仕事も大好き

――素朴な疑問なんですけど、俳優や映画関係の人は日々どんな業務があって、どんなふうに働いているのでしょうか?

俳優はシンプルで、台本をもらったら役の準備をして、撮影日は現場に行って芝居して帰るみたいな。プロデューサーの日常は、脚本をブラッシュアップするようなクリエイティブの強い打ち合わせは対面でやって、それ以外の業務的な打ち合わせは今はリモートで実施することが多いかなと思います。その間にメールを返したり電話したり資料を作ったり、作品ごとにスケジュールが決まっているので、その中でクリエイティブ作業と事務的な細かい作業を淡々と進行していく感じですね。

――休みの日はありますか?

ないですね。私の場合は3つあるので、俳優の仕事がないときにプロデューサーやドローンをやって、プロデューサーの仕事を休んで俳優をやるみたいな感じになっちゃっていて、まるっと休みっていうのはないかもしれないです。

――ちなみに下京さん今ご結婚は?

してないです。でもここ1、2年は悩んでました。子どもが好きすぎて、3人ほしいんですよ。そうなるともう準備しなきゃいけないじゃないですか。

――確かに3人って考えると。

そうなんですよ(笑)。でも、どうしても今仕事が一番優先になってしまっていて、出産となると女の人は休まないといけなかったりもするので。自分のキャリアを考えて葛藤してたんですけど、この間ふと、悩んでてもしょうがないから“一旦35歳まではいいや”って決めちゃった。そしたらすごく気持ちが軽くなったんです。子どもは好きだけど、自分の子どもにこだわりすぎなくてもいいとも思っているので、こんなに打ち込める仕事があることを大切にしてみます。

それぞれの仕事のやりがいは?「プロデューサーは、大の大人たちが時にバトルもしながら、作品というゴールに向かって進んでいく。その一体感や達成感は大人の文化祭のような、他の職業には変えらないものがある。俳優は、“生きる”を全力でやる仕事。これは辞められないぞって思ってる。ドローンは、鳥になれる感覚。人間が見るはずのない景色を見に行ける、面白さ。」

――今幸せを感じる瞬間は?

毎日ずっと幸せです(笑)。たぶん好きな仕事ができているので。仕事をしているときが一番幸せかもしれない。

――もし好きじゃない仕事をやらなきゃいけなくなったらどうします?

好きな理由を見つけますかね。なんでもいいんですけど…例えば企画がつまらないなって思っても、別のところにモチベーションを見つけにいく。この俳優さんの芝居は好きだから、この人のためにいい企画にしていこうとか。その仕事に対して自分なりの目標を持つというか。好きな理由とか、自分の達成目標を作ります。

 

turning point30歳になって圧倒的に仕事がしやすくなった

――これから先の目標はありますか?

俳優部では、朝ドラに出たいっていうのはあります。田舎の家族や友達が喜んでくれると思うので。全体的なことでいうと、私が実績を積むことで、“職業に縛られず好きなことをやってもいいんだ”と思ってもらえるような存在になれたらというのは、大きな目標として持っています。これから私よりも下の世代、若い女性の方々が、自由にやりたいことをやれる、発信ができる世の中に、もっともっとなっていってほしい。

今でこそ、俳優がプロデューサーや監督をやったりということも多くなってきましたが、私が始めた頃はそういう存在がまだ少数派だった。だからいろんなことを言われて、心が折れそうになった時期もありました。

――どんなことを言われたんですか?

やっぱり「どっちがやりたいんだ?」みたいなことは、他の先輩プロデューサーからはよく言われましたね。「お前みたいな中途半端なやつはどっちもやれない」とか。私は顔立ちがちょっと派手なのでそれも相まってか、「女を武器に仕事をもらっている」とか「女優が遊びで制作をするな」とか。ドローンもそうで、いまだに現場に行くと、「本当に飛ばせるの?」と半笑いで言われることもあります。

でもそれって、たぶん私が年下の女性だからなんですよ。年上の男性にはそんなこと言わないんですよね。この業界がそうなのか世間がそうなのか、年下の女性というだけでキャリアを下に見られるような風潮はあります。私自身そういったことを嫌でも感じてきてしまっているので、そう言われないくらいの実力と実績をちゃんと身につけて、年下や女性というだけで卑下されないようにしたい。そんな業界や世の中になっていくと良いなと思っています。

――年下の女性だからっていうの、わかるような気がします。

あと、圧倒的に“30歳”という響きで仕事がしやすくなったんですよ。初対面の人との打ち合わせでも、ちゃんと一人の社会人として扱ってもらえている感じがある。本来、年齢は指標でしかないのに、それが基準になるのはおかしな話ですよね。でもなんとなくそうなんじゃないかと予測はしていたので、この仕事を始めたときから早く30歳になりたかったんです。負けず嫌いなので、とにかく舐められないようになりたいと思っていて。

なってみたら実際そうでしたし、予想以上に年齢の効果があったので、昔より今の方が生きやすいです。30歳の景色がこうだったら35歳になったときどうなるんだろうとか、40歳になったときはどうなるんだろうとか、これからが楽しみです。

――どんどん生きやすくなるというか、仕事がしやすくなる。

そう思いますね。

ちなみに、美容系のことは何かしてますか?「自然派の食材を選ぶとか、身体を冷やさないとか、食と健康はすごく気を遣ってるかもしれない。あとはメイクを落として寝るとか、髪の毛をしっかり乾かすとか、当たり前のことを当たり前に」

――最後に、日々大切にしている考え方を教えてください。

「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」これは物心ついた時から座右の銘として持っています。とにかくやろうぜ!ってことなんですけど(笑)。

意思を持って行動すれば何事も達成できますよという、上杉鷹山の言葉です。やれば物事は身になるし、逆に言うと、やらなければ何も始まらない。自分が行動を起こせば、何かは絶対に生まれるんです。この考えはずっと大事にしているし、そういう生き方を心がけています。とにかくなんでも、やってみる。自分からは、諦めない。

 

10月27日から、プロデューサー、俳優、ドローンパイロットの三役で関わった映画『唄う六人の女』が全国公開! 一つの作品にこの三役で関わるのは業界初とのこと。ぜひ劇場で下京さんの仕事ぶりをご覧ください♪

■『唄う六人の女』公式サイト
https://www.six-singing-women.jp/

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