「満身創痍で迎える30代のほうがカッコイイ」Chapters書店店主・森本萌乃の夢中になれる仕事との出会いかた

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work style「ヤバい」瞬間に動いた分だけ転機になる

――そういった動き続けるパワーの原動力は?

大きなものを失ったときにこそ人間の真価が問われるというのは常々思ってて…どん底の瞬間ってあとでみたら絶対にそこが転機になるんですけど、その瞬間はそうは思えないじゃないですか。だけど私の人生、結構ヤバいっていう瞬間が多いので、ヤバいことがあったら「これはいつかの転機になる」って体が楽しみになっちゃってるところがある。

電通辞めるとき、大きな看板を下ろすので気合いが入るじゃないですか。そこでとにかく仕事を頑張ろうって邁進した力だったり。あとはサービスを立ち上げて、社員の給料や信じてくれた人を守るために売上を作らなきゃって、お尻に火がついた時の走り方とか。ピンチの時の身の振り方が結構大切かも。絶対何かの転機になると信じ続ける。私はそうしてますね。

現在の働き方の基礎になっている経験は?「電通の頃に言われていた『手を抜くな』。実際に社内で活躍する先輩たちは手を抜く人がほとんどいなくて、これでいいやっていう打ち合わせもなかった。企画をこれでベストだという状態まで仕上げる姿勢が身に着きました」

――ちなみになんですけど、学生時代はどんな子だったんですか?

ずっと変わらずに活発ですね。学級委員とか体育祭実行委員とかをやることも多かったです。高校時代は体育祭3年連続優勝したのが、ちょっと自慢です。学園祭も体育祭も、行事は常に盛り上げなくちゃって、勝手にプレッシャーを感じるようなお祭り人間だった気がします(笑)。大学はチアダンス部を立ち上げて、その部活が今はすごい強いチームなんです。今年、アメリカ大会1位を獲ったと聞いて誇らしかったです。

――すごいですね!

私ダンスは本当下手なんですけど、組織作りは割と得意でした。それに、楽しいだけで突っ切るっていうのもすごく得意です。仕事であっても、打ち合わせひとつとってみても、どう盛り上げるかいつも考えています。ちょっと大きな声で笑うとか、一個一個褒めるとか、小さな会社ではあるけれどトップの人間が機嫌よく楽しそうに仕事するっていうのはモットーでもあるんです。楽しそうな人に仕事が来るっていうのは、電通時代からずっと思ってることですね。「今いっぱいいっぱいです」って言ってる人とか、変にカレンダーにブロック入れてる人とか、一緒に仕事したくないじゃないですか(笑)。

――たしかに(笑)。

私、仕事の予定以外に、友達とご飯とか、鍼とか、ネイルとか、美容院とか、スケジュールは全部スタッフに見せています。そのほうがスタッフも「今日ライブに行くので」とか言いやすい。遊びに行きたいから、それまでに絶対これを終わらせよう、みたいな感じでみんなで集中して働いてます。

森本さん曰く「Z世代はやる気がないわけじゃなくて、人と比べないのが当たり前。だから自分を認めてくれた人の話しか入ってこないんです。怒るときは同じくらい褒めてから。一週間で褒める量とフィードバックの量が揃うように意識しています」

仕事するのに人間関係で悩むのって、本当に時間がもったいないじゃないですか。スタッフにもよく言うのは、「私のことは全然好きにならなくていいけど、仕事に向き合う上で私との関係値が弊害になるんだったら、全部言ってほしい」ということ。うちの会社では人間関係の悩みを作らないって決めています。

――社員にとってはいい社長ですね。

だといいんですけど…悩むくらいなら私がやるからとも言っていて、みんながやりたくない・できない仕事が来るのが社長です。ほかにも「寒くて冬は出社できません」っていうなら家でやればいいよ、みたいな。この前入った子は夜が苦手らしく、19時を過ぎたらなるべく連絡を控えています。お願いしてるミッションがそこじゃないから、ベストなパフォーマンスが出せる仕事の環境を作るためなら、私はなんでもOKしたいと思うんです。仕事は辛く厳しいものだけど、やりたいとか成長したいとかポジティブな感情が前提にないと。仕事に全力で向き合える体制を整えてあげたい。ただ、彼ら彼女らがやらなきゃいけないことに対しての手抜きと嘘は本当に怒ります。

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