スピード婚、海外駐在…「会社の売上は落ちると思っていた」経営者・黒田麻理耶の転機

スピード婚、海外駐在…「会社の売上は落ちると思っていた」経営者・黒田麻理耶の転機

経営歴12年目、株式会社marquee代表の黒田麻理耶さんにインタビュー。起業して一人で気ままに働いていた時代から、社員を雇い、海外生活で会社と離れ…経営者としての成長の軌跡を追いました。

【黒田麻理耶プロフィール】
年齢:38歳/職業:株式会社marquee代表取締役/家族構成:夫
instagram @mariya_kuroda

 

topics会社員を経て学生になり起業!

――最初に、黒田さんの経営されている会社の事業内容を教えてください。

モデルやインフルエンサーのキャスティング会社を経営していまして、20代から60代の男女モデル1,000人以上が登録しています。企業の広告やホームページの撮影モデルを派遣したり、インスタグラムなどSNSでのPRを受けたり、企業の商品開発に必要な座談会にモデルや一般人の方を派遣したりというような、3本柱でやってますね。

――どのくらいやられているのでしょうか?

今12年目ですね。今だとこういうキャスティング会社って大きい会社から個人まで本当に増えたんですけど、始めた当時は数えるぐらいしかなかったっていう感じでした。キャスティング業の会社としては早い方だったかもしれないですね。

「最初は自分の周りの友達に声をかけて40人ぐらいからスタート。イベントで声をかけたり、インスタでスカウトしたりして、登録者数が増えていきましたね」(by黒田さん)

――起業のきっかけは?

もともとは大学を卒業して、化粧品会社の社員として広報をやっていました。最初はその会社でどうやって上のポジションにいくかを考えて働いていたんですけど、2年ほど働いて「これは何十年もかかるな」っていうのが見えてきて。ちょうどひとつ仕事で達成したものもあったので、会社を辞めて美容の専門学校に入り直しました。

――辞めてすぐ起業にはならなかったんですね。

そのときは全然。それで学生になったので、すごく時間ができたんですよ。会社員のときって今じゃ考えられないほどブラックで本当に忙しかったんですが、学生になってからは学校も夕方に終わるので時間がもったいないなっていうのもあって、在学中に会社を作りました。

――どうしてキャスティング業で起業しようと思ったんですか?

ファッションにも興味があったので、最初は自分のブランドを作ろうというところからスタートした会社だったんです。ただ、アパレルってコストもかかるし人も足らなくて、利益を出していくのは無理かもしれないと思って。

それで会社を作って2年後くらいからキャスティング業を始めました。元々大学生のときから読者モデルをやっていたので、読者モデルの友達が多かったんですね。それで広報時代に自社の商品をモデルの子たちに渡してアメブロに掲載してもらったりしていて。学校に入って改めて考えたときに、自分はモデルとして出るよりもキャスティングする方が向いているなって思って、そこで何か仕事ができないかなと思って始めました。アパレルは4年ほどやっていたんですが、そのあとはキャスティング一本ですね。

――起業してからはどんな働き方だったのでしょうか?

最初は一人だったので、自分がある程度暮らしていければいいやっていう感覚でした。たくさん営業しようとか、このぐらい稼いでこれをしようっていうことは全然考えてなかったです。でも1年経って、一人でやっていくのはちょっと大変かもしれないと思って。それで、どうしても来てほしい子がいたので、その子を説得して入社してもらってから意識がすごく変わりました。

 

turning pointたとえ一人だけでも人を雇うことで生じた“責任感”

その子は前職の同期だったんですけど、彼女は新卒で入った会社で5年働いてたんですよ。でもその安定を捨てて、何もない私の会社に入ってくれた。だから何が何でもこの子のために売上を作らなきゃいけない、給料を払わなきゃいけないっていう意識が芽生えて、そこから変わりました。最初は彼女の前職の給料よりも全然低い金額しか払えなかったし、社会保険をやってあげる余裕もないくらい。でも彼女を裏切らないためにも自分が頑張らなきゃいけないと思って、そこからいろんなところに顔を出したり営業をして、クライアントが増えて、徐々に売上もついてきました。自分一人だったらどうとでもなるって思っていたのが、一人でも人を雇うことによって、食べさせなきゃっていう意識になって、それが自分の活力にもなって売上に繋がっていったのかなと思いますね。

――起業するときよりも、人が増えたときのほうが転機だったんですね。起業したときには何か不安はありましたか?

考えたんですけど、何もなかった。多分不安があったらやってないなって思っていて。当時自分でやろうと思ったのも、自分の資金だったし、自分一人だったし、最悪失敗しても他を考えればいいやっていう感覚で始めたんですよ。逆に今の方が不安があるぐらい。

株式会社marqueeの社員旅行の様子。4名の社員が、見晴らしの良い山に向かってピースをしている。

株式会社marqueeは社員全員女性。女性ならではの小回りや気遣いを大切にしているそう。こちらの写真は黒田さんのインスタより、年に一回ほど開催される社員旅行の様子。

――20代のときにやっておいてよかったことはありますか?

20代は体力もあるし、何でもできると思ってて。怖いものがないというか。20代でしかできない経験があると思うので、とにかく経験を積むべきだなと思っています。それと、私は忙しくても何でもとにかく仕事を頑張るっていう意識を持っていたので、それはよかったなって思いますね。「あのときあれぐらい働いてたんだから、これぐらいへっちゃらじゃない?」っていうふうになるというか。そういう意味では、20代でがむしゃらに働いていたのが、起業のプラスにもなってるかなと思いますね。

――新卒で入社した会社も、黒田さんにとって下積み時代になっているんでしょうか。

やっぱり社会人経験の基盤になっていたなと思います。たかが2年間なんですけど、ベンチャー寄りの会社だったので、1、2年目からガシガシ仕事をやらされる感じだったので。クライアントにコストを下げる交渉をしたりとか、相見積もりを取ってとか、そのときに得た交渉術はのちに生きてるなと思いますね。あとは体力作りにもなりました。若さもあるんですけど、自分がやりたい仕事だったので、例え夜中まで仕事していても全然苦じゃなかった。だからそのときの経験は少なからず影響しているなと思いますね。

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