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turning point仕事がなく泥臭い営業の日々
――これまでに、「ここで鍛えられたな」という経験はありますか?
フリーランスになった当初、本当に仕事がなくって、泥臭い営業みたいなことをしてたんですよ。それが基礎だったなと思っていて。
――営業っていうと、「仕事をください」的な?
おっしゃる通りです。事務所に入っていると事務所がいろいろと手配してくれたりするんですけど、フリーランスなのでプロフィールの作成から自分でやって。プロフィール写真撮って、今までの経歴をワードで作って、印刷して、百均で買ってきたクリアファイルに入れて、毎日持ち歩いてました。事務所ではマネージャーさんが営業をしてくれていたのを知っていたので、自分でやってみようと思ったんですけど、そもそもタレントって制作会社とかテレビ局に入れなくって。
――そうなんですか。
営業行きたくても営業先に出入りできないから、「どうやって営業したらいいんだろう」みたいな。でもとりあえずプロフィールは必要だからと思って作って、その日に誰と会えるかもわからないから、いつでも渡せるようにカバンの中にプロフィール仕込んで。例えば、大学時代の友達の友達に関係者がいるかもしれないし、どこで何が繋がるかもわからないので、本当に手当たり次第「何かあれば声かけてください」って言って、プロフィールを配りまくってました。
――そこから実際にどのくらい仕事に繋がりましたか?
それが、繋がったことはなくて。ホリエモンチャンネルもそこからではないし、ほかの仕事も元々知っていた人が「この子フリーでやってるらしいよ」みたいに繋いでくれて決まったもので。結局その泥臭い営業が何かに繋がった感覚はなかったんですよ。
でも繋がらなかったということが、経験値としてすごく大きいなと思っていて。昔はキラキラ輝いている人たちやもう既に売れている人たちを見て、「あそこのポジションに行きたい」って思ったらすぐにでも行けるような気がしてしまっていて。でもこれだけ営業してプロフィール配って何も繋がらない日々が続いたときに、当たり前なんですけど、小さい仕事を積み重ねることでしか大きい仕事に繋がらないんだなっていうことを改めて感じました。
――ちなみに寺田さんって会社に勤めた経験はありますか?
ないんですよ。大学卒業と同時にフリーランスになっちゃったので、一度も会社に勤めたことがないんです。中3でデビューして大学卒業と同時に、大学生という肩書きと、事務所所属という肩書きと、給料と、その日に一気になくしました(笑)。だから、みんな社会人1年目でこれから働くぞっていうときに、私は一人職を失って。
――それって、すごく焦りませんか?
めっちゃ焦りました。しかもそれまでって学生時代に働いてたから「すごいね」って言われ続けてきたので、何もないっていうことにギャップもあって。すごいって言われていたことは、ただ働き始めが早かっただけで、自分の実力じゃなかったんだなっていうことに、はたとそこで気付きました。
――そういった逆境のときは、どうやってモチベーションを保ってるんですか?
負けず嫌いなことはやっぱりすごく大きいと思います。この状況に屈してしまう自分が嫌で、何か続けられる方法はないかって考えてきました。それと、諦めることの方が怖いって思うことも結構多いですね。諦めたら環境が絶対的に変わってしまうし、今まで積み上げてきた経歴がゼロになってしまう。それが怖いっていう感覚が自分の中ですごく大きくて。諦めが悪いから、何とかするしかないなって思い続けてますね。