「諦めが悪いからなんとかするしかない」ベンチャー女優・寺田有希 逆境を味方にする仕事術

「諦めが悪いからなんとかするしかない」ベンチャー女優・寺田有希 逆境を味方にする仕事術

芸歴19年、フリーランスの女優として活動する寺田有希(てらだ ゆき)さん。今年1月まで務めたYouTube「ホリエモンチャンネル」のMCや、書籍「対峙力」の出版など幅広く活動する寺田さんの、意外な下積み時代とは? 先月発表したばかりの結婚についてもインタビューで初めて語っていただきました!

【寺田有希プロフィール】
年齢:34歳/職業:ベンチャー女優・MC/家族構成:既婚
insta @terada_yuki
X @terada_yuki

 

history女優に向かってまっしぐらのはずが戦力外通告

――まずは、寺田さんのこれまでの経歴をお伺いできますか?

2004年、15歳のときに芸能界デビューをして、この記事が出る頃には芸歴が19年になっている頃だと思います。小さい頃はアイドルがすごく流行っていて、私も大阪の片田舎でアイドルになりたいと思いながら、誰にも言えない日々を過ごしていたんですけど。中学3年生のときに「今チャレンジしなければ、きっとこのまま一度もチャレンジせずに終わるな」と思って、大手芸能事務所が主催しているオーディションを受けて、それがきっかけで芸能界デビューすることができて、女優として活動し始めました。

女優としては、朝ドラ、水戸黄門、仮面ライダーにも出演。2005年には戸田恵梨香さんや紗栄子さんなども輩出したヤングジャンプ「制服コレクション」でグランプリを受賞!

ところが、順調にキャリアを積み重ねていたはずなんですが、どんどんうまくいかなくなってしまって、2012年に事務所を退所して、そこからフリーランスになってもう約12年間活動を続けているという感じです。

――うまくいかなくなったっていうのは、徐々に仕事がなくなっていったのでしょうか。制服コレクションのグランプリから退所まで7年間という期間がありますが…。

当時の芸能界って、まずはグラビアをやって人気が出てから、バラエティーに出始めて、それで女優になるっていうのが王道ルートだったんですね。優香さんとか小池栄子さんとかが代表的な方ですね。なので、事務所も私をそういうルートで売り出そうと頑張ってくれたんですけど、「女優になりたい」という思いが強いのに、グラビアやほかの仕事が来ることが自分の中で受け入れられなくて、いろんな仕事を断るようになっちゃったんです。すると当たり前ですけど仕事自体もだんだん来なくなって。事務所もどうやって私を売っていいかわからなくなって、戦力外通告を受けて退所したっていう感じでしたね。

――そこからフリーランスに。

そうです。と言っても2012年ってまだまだフリーランスが許容されていない時代だったんですよね。特に芸能界では「できるわけない」って言われていて。実際に事務所に入っていないと受けられない仕事ばかりだったし、「事務所に入っていない人間には仕事はやれない」と言われたりしたこともありました。

――ほかの事務所に入るという選択肢はなかったんでしょうか?

もともと大手事務所に入っていたのに失敗しっちゃったから、どうやって事務所を選べばいいかわからなくなっちゃって。結局どこも入らずにずっとフリーランスで続けてますね。

 

work style向いていると言われたMC業で価値観が変わった

――今の肩書きである「ベンチャー女優」。これはどんなきっかけで名乗り始めたんですか?

退所してから全然仕事がなかったんですけど、2013年に堀江貴文さんが声をかけてくださって、「ホリエモンチャンネル」っていうYouTube番組のMCに就任することになったんです。チャンネルがスタートしてまだ間もない頃に堀江さんが、「これからの時代は、弁護士とか医者とか肩書きで仕事を取っていく時代ではなくなり、個人で戦っていく時代が来る。だから、こういう人だっていうことが伝われば、肩書きなんて何でもいいんだよ」っていう話をされていた回があって。だから寺田さんも何かつければいいじゃんって言われて、その番組内で名乗り始めたのがきっかけでした。

ちょうどベンチャー企業っていうワードがすごく流行っていた時代で、ベンチャーって時代を切り開いていくとか、新しいことをしているみたいなイメージがあったので、芸能界の中で誰もやってないフリーで女優をしようとしている自分の境遇と、どこか共鳴した感覚があって。あとはもう語呂が良くって、つけてたらおもろいかなっていう(笑)。

明るいスタジオでほほ笑む寺田有希さん

お仕事でこだわっていることはありますか?「作品に触れる人たちが楽しんでくれることがベストだと思っているので、常に最善の手を探しにいけるよう、あえてこだわりを持たず柔軟でいることを大事にしています」

――この頃の代名詞的な仕事がこのホリエモンチャンネルのMCだったと思うんですけど、MCに絡めた肩書きにするということは考えなかったんでしょうか?

考えなかったですね。やっぱり女優になりたいっていう夢を捨てられなかったんだと思います。もともと女優として活動し始めて、結局売れなくて事務所をクビにまでなって、それでも私は女優の世界でやれるんだと証明したかったっていう思いが強かった気がしますね。

――その後、ホリエモンチャンネルのMCの仕事は10年続きます。(2023年1月で卒業)この10年で気持ちの変化はありましたか?

ありました。それまでって、女優になりたいとか、夢を叶えたいとか、自分がやりたいことを追いかける人生だったと思うんですよ。でもMCは人から向いてると言われて、それで評価してもらえたことだったんですね。自分が選んだことではないことを頑張ると決めたことが、大きな転機になったと思っています。

環境を大きく変えると人生ってガラリと変わっていくと思うんですよ。でも、自分の意思で環境を変えるのって体力も気力も必要だから、自分を変えたいとか人生を変えたいと思ったときは、人の言葉を信じてみるという方法もある。この経験から、たとえやりたいことができなかったとしても、自分に求められてることや得意なことでキャリアを築いていってもいいんじゃないかって思えるようになりましたね。

1 2 3

ranking