性教育に必要な人と人とのつながりを作る ソウレッジCEO・鶴田七瀬

性教育に必要な人と人とのつながりを作る ソウレッジCEO・鶴田七瀬

2021年にはForbes 30 under 30を受賞。性教育の啓蒙、予期せぬ妊娠の予防に取り組むソウレッジの創設者・CEO、鶴田七瀬(つるた ななせ)さんにインタビュー。「消極的な起業だった」と語る学生起業のエピソードから、今後の目標まで伺いました!

【鶴田七瀬プロフィール】
年齢:29歳/職業:ソウレッジFounder・CEO/家族構成:独身
X @tsurutama_ALLY

topics人とのつながりを作り予期せぬ妊娠を予防する

――ソウレッジの活動内容について教えてください。

私たちは、予期せぬ妊娠と、それに伴う悲しみを予防していくことを主な事業の目的として活動しています。活動の一つ目が、性教育の啓蒙や若者への避妊の支援をしたいけど、何から取り組んでいいのかわからないと悩んでいる人たちに向けて、活動のヒントになるような研修の提供です。具体的には、海外にあるユースクリニックと呼ばれている若者の避妊を支援している医療機関を訪問して話を聞いたり、どうしたら日本で実現できるのかを一緒に考えたりというようなことをしています。

また、その研修を経て実際に日本で活動をするにあたって、資金面の課題が出てくるので、お金集めの知識を提供したり一緒に作業をしたりと、伴走もしています。もうひとつ、それら二つの活動を通じて、「日本にはこういう制度が必要だよね」というものが見えてくるので、政策提言をしていく。この三つが主な活動内容です。

ソウレッジで制作した性教育ボードゲーム「ブレイクすごろく」

――鶴田さんと言えば、性教育トイレットペーパーで注目されたイメージがあります。

ありがとうございます。最初にこの団体を立ち上げたときは性教育の教材を作るという活動をしていたんです。トイレットペーパーにイラストを描いて性教育を届けようとか、ボードゲームを通して日常から性教育の知識を得られるような取り組みをしていました。でもそれだけでは情報を届けられる層が限られてしまうという課題感がありました。

また、自分自身の考え方にも変化があって、知識があれば行動を変えられるかというとそうではなく、本当は人と人とのつながりが必要だということが見えてきたというのもあります。例えば知識はあっても緊急避妊薬を買うお金がない、誰にも頼れなくて妊娠してしまったというようなこともあると思うんですね。そういう人たちを一括してサポートできる場所が必要なのではないかと思い、今はそれができる人や場所を増やすことに注力しています。

――ソウレッジを立ち上げたもともとの経緯は。

団体を立ち上げた経緯としては、自分が大学生のときにまわりで性被害が起きたことがきっかけです。外部の人が大学に侵入してレイプ事件を起こしたことがあったんですね。でも被害にあった子は相談しなくて、学校側はそれを知らないんです。その手口を聞いたらきっともっと被害者がいることが想像できました。ほかにも先輩後輩間での同意していない性行為だったり、飲み会のあとに強引に誘われるようなことがあったり、事件にならないような性的なトラブルが大学生になってから増え、身近な問題として感じるようになって、何かやりたいと思って始めました。

――立ち上げたのはいつ頃でしょう?

2019年で、大学生のときに立ち上げました。もともと起業したいという思いもあって、起業する材料を探している中で、課題意識があるものに気持ちが向いていったという感じでしたね。

――起業したいということはいつから考えていたのでしょうか。

起業という選択肢もありだなとぼんやり思っていたのは高校生ぐらいでした。でも大学生のときに、私には就職があまり向いていなさそうだと感じるようになって。積極的に起業を選んだというよりは、消極的な起業と言えるかもしれません。

私の場合ちょっと特殊な経験をしているのですが、大学2年生のときに休学をしていたことがあるんです。なぜかというと、当時100人くらいのメンバーがいる大きなサークルに入っていたのですが、チームリーダーにすごく嫌われていてパワハラのようなことがあって。うまく立ち回れず自殺未遂をするくらいに追い詰められていました。大きな組織に入るのは苦手だと思った理由のひとつです。

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