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turning point産後ケアホテル、どんな人が使う?
――サイトを拝見したのですが、産後すぐのプランが1泊42,000円~。10泊以上もするとなるとまとまった金額になりますが、どんな方が利用されるのでしょう?
多くの方が、自分とは縁遠い人たちが使っているんじゃないかと思うかもしれませんが、どこに価値を感じて、どんなふうにお金を使いたいかということだと思うんです。宿泊費は2週間泊まると大体60万円くらいにはなりますので安い金額ではありませんが、そこに価値を感じられるかどうか。これまで利用してくださった方の中には、「今までで一番幸せなお金の使い方でした」と言ってくださった方もいらっしゃいました。なので、安心して子育てを始めたい、産後の大切なひと時を良い思い出にしたいと思う方に、世帯年収問わずご利用いただいているという印象ですね。横須賀市のふるさと納税も使えるので、ご自身で活用したり、祖父母からのギフトとしてふるさと納税を活用する方も増えています。
――転機になった出来事を挙げるとしたら、どんな出来事でしょうか?
やっぱり姉の出産はマームガーデンを立ち上げるきっかけになったので、大きな出来事だったと思います。産後ケアという世界があることも初めて知りましたし、たくさんのママさんたちと会話をして自分の中で考えや世界も広がりました。
あとは立ち上げ半年後くらいに「病院っぽい」と言われたことがあって。私は病院のような施設を作りたいわけではなかったので、そこからリゾートに舵切りをしたのも大きな転換期だと思います。研修内容の見直しや、防災訓練を毎月実施したり、緊急時の医療機関との提携など密に行い日本一安全な産後ケアホテルを目指しています。ですが、それのみを実行していても誰もが行きたいと思える、選ばれる産後ケアホテルにはなれません。「産後ケア」の専門性と「リゾート」での癒しの二つの軸のバランスが取れているのか気を配っています。
ですので、滞在しながらバーベキューができるようにしたり、近くの観光施設に行けるように定期でバスを出したり、カフェラウンジ付きのキッズスペースを作ったり、もっと宿泊者が楽しめるコンテンツを増やして、今のマームガーデンの方向性が決まりました。ホテルの名前も「マームガーデン葉山」から「マームガーデンリゾート葉山」に変えたんですよ。
――確かに、産後ケアという言葉はまだ堅いイメージを持つ人も多そうですね。
そうですね。「体調が不安な人じゃないと使わないんでしょ?」「ずっと安静にしてるんでしょ?」と思う人もいるかと思いますが、もっとライトに楽しくリゾートのように使っていただいて、産後を楽しんでほしいんです。産後について聞いてみると、ママからは「大変だった」「助けてもらえなかった」「周りのサポートがなくて社会から断絶された」というエピソードが目立つじゃないですか。ダメージを負っている分その頃の記憶は色濃く残っているものなので、もっと温かみのある「良かった」というエピソードがあるといいと思うんです。そもそも赤ちゃんが生まれるというのはとてもハッピーなイベントなので、それをちゃんとハッピーなこととして捉えられるような施設でありたいと思っています。