「Kimobig Brasil」代表・松橋美晴 好きから仕事を生む突破力

「Kimobig Brasil」代表・松橋美晴 好きから仕事を生む突破力

好きなことを仕事にしたい、誰しも一度はそんな気持ちを持ったことがあるのではないでしょうか。今回は日本とブラジルの国際交流を目的とした「Kimobig Brasil(キモビッグブラジル)」の代表を務める松橋美晴さんへのインタビューを通して、興味ある分野からキャリアを広げていくヒントを探ってみました。

【松橋美晴プロフィール】
43歳/職業:「Kimobig Brasil」代表 /家族構成:夫、息子
instagram @kimobigbrasil

topics国際交流団体から仕事へ

――松橋さんが代表を務めるKimobig Brasilというのは一体?

群馬で始めたんですけど、ブラジルとの国際交流みたいな感じですね。語学があったり料理があったり音楽があったりスポーツがあったり。何かっていうのを決めてやってるわけじゃなく利益を求めてるものでもなくて、交流を目的にした活動です。

――失礼ですが、その活動で利益を出さずにどうやって生活してるんですか?

Kimobigから派生するいろんなものを仕事にしてます。たとえばKimobigでみんなに料理教室するのは利益を求めてないんだけど、そういうことをやっているといろんなところからお声がかかる。雑誌の料理のレシピ作ってくださいとか、レストランのレシピ監修してくださいとか、そういう企業からのお話はお金をもらうっていう。

インタビューに答える松橋美晴さん。

今はお仕事ではアマゾン料理のオファーが多いそう。日本のどこでアマゾンの食材が調達できるか、農家さんをすべて把握しているんだとか!

――交流団体がいつから仕事になっていったんでしょう?

ブラジルのことでお金をもらえるようになったのはすごい時間がかかりましたね。この団体自体は2006年から始まってるんですけど、私はその間輸入関係の会社にいたり、ブラジル銀行に就職していた時期もあって。結婚してからは夫が転勤になって静岡に行くことになって、一度活動を止めてたこともありました。

turning point夫の転勤をきっかけに拠点が増える

転勤は最初1年半っていう約束だったのが結局伸びに伸びて4年半くらいいることに。静岡に行くときは1歳だった子どもも大きくなって、そんなときにやっぱりこうむずむずしてきた。見ないようにしていたブラジルが見えてしまったという感じ。

――あれ、いつの間にか子どもが生まれてますね(笑)。

ブラジル銀行にいたときに妊娠して育休に入って、職場に戻ろうと思ったら転勤が決まって、みたいな。

――産前産後に転勤と活動できない期間が続きますが、フラストレーションはありませんでしたか?

3年くらいは何もなかったし、したいとも思わなかったです。お酒一滴も飲んでないし、外出もしなかった。でもそのあとは振り切って、東京戻ってきた今も毎月静岡に行ってます。静岡のワールドミュージックフェスティバルFRUEの出店管理をすることになったのも、静岡にいたときに声をかけられたのがきっかけでもう6年目になります。

――じゃあ現在は東京と静岡と2拠点で活動?

それとあと毎年アマゾンに。

――アマゾンっていうと南米の。

そうです。ブラジル側だと行くのがすごい遠くって。飛行機で36時間、そこからジェット船で18時間くらい。行ったら1か月以上は絶対います。

――これまでに何回くらい行ってるんですか?

ブラジルには何度も行ってたんですけど、アマゾンは38歳のときに初めて行って、もう5年目くらいかな。最初は全然興味なかった。仕事で誘われても最初は断っていました。

――それが毎年行くことに…。

景色とかいる場所とか広さとか、良いとか悪いとかの言葉が出てこない、比較対象が全くない世界なんですね。そうすると、自分のことも肯定的になるというか。恥ずかしくもないし怖くもないし、動物みたいな感じで良い体験だと思う。

松橋美晴さんがインタビュー時に身に着けていたネックレス。原料はセリンガというアマゾンのゴムの木の実。

この特徴的なネックレスは?「セリンガといってアマゾンのゴムの木の実です。手に巻いてお祈りするときに使うもの。」盛んだったゴム産業が廃れてきて、これからどうしていくかが課題になっているそう。

――じゃあアマゾンへ行ったことが松橋さんの大きな転機になっている?

そうかも。今アマゾン関連の仕事ばかりだし。でも静岡に行かなかったらアマゾンとも出会わなかっただろうし、静岡に行ったのが実はすごいキーで。静岡にアマゾン料理レストランがあって、それがきっかけになったりしてるので。

――静岡で印象的な出会いが多かったんですね。

最初は行きたくなかったんですけど(笑)。夫はやりたいことがあったら好きにやればいいじゃんというタイプ。でも私自身が、家族って離れたらだめだっていうのが感覚的にあった。結果的にはついていってよかったなと思います。

work styleスケジュール共有アプリと家事分業でフェアな家庭に

――アマゾンに1か月行ってる間は、お子さんはどうしてるんですか?

子どもは夫に預けて。夫がすごい子煩悩で、育児に関しては分担しようというディスカッションをしたことは一回もないです。ただお互い仕事をしてるから、夫が残業で帰って来れないこともあるし、逆に私も外にいて帰れないこともあるし、それでフェア。どっちも同じ量でいいと思う。

――どうしても二人とも仕事が遅くなることもあるじゃないですか。そういうときは?

そもそもあんまりそういうことがない。仕事が入ったらすぐスケジュール共有アプリに入れるようにしてるんです。二人が全くいないっていうことは起こったことがない。

――家事分担とかはどうしてるんですか?

完全に分かれてて、夫はご飯作らないんです。で、私はご飯作るのが好きだから作る。でもお洗濯は夫がやる。干し方がどうこうとかすごいうるさくて、同棲して3日目くらいに二度と洗濯やらないって言ってから私は洗濯したことないです(笑)。

――そもそも結婚願望はあったんでしょうか?

私、全然結婚はしたくないほうだった。ずっと同じところに住めるかな、とか、固定されるものが怖いっていうか。結婚したいかどうかの前に、母親になったり苗字が変わることによって自分じゃなくなるみたいな恐怖があって、自分の人生が変わるとか終わるとかネガティブなことをいっぱい考えていました。ただ夫にプロポーズされたとき、もう自分としてやりたいことは全部やってるなっていう感覚があった。お互い自立していたからこそ、私が私じゃなきゃいけない理由なんてないなと、その時に思いました。

life style「良い」「悪い」の感覚を忘れない人間でいたい

――今、お仕事と私生活の満足度はどのくらいですか?

仕事が面白くなってきたのってここ5年くらいだと思います。ブラジルに関わる仕事をしてきたけど、ブラジルと触れてるっていうだけで満足しなかった。今は70点くらい、これでも充分です。生活はこのままずっと続けばいいと思ってる。100点とは言わないけど、これがなくなったら本当にどうしようって思う。

――これから先こうなったらいいなというイメージはありますか?

半分はアマゾンで半分は日本っていう生活をしたい。本当はアマゾンで暮らしたいけど、ずっといないっていうのは無理だから半分で。東京が嫌なわけじゃないんだけど、自分にとってもう東京が面白くないだけ。家族がいるからっていうだけで。

――じゃあ家族全員ついてきてくれるとしたら一生アマゾンにいる可能性も?

それ本当に最高、家族がついてきてくれるなら、一生アマゾンでもいいと思ってる(笑)。もし私が独身なら行くけど、それができないのが家族がいるってことだと思います。

――お仕事をどういう形にしたいという理想はありますか?

理想は、わからない。これまでも千本ノックみたいなことをやってきただけで、これっていう何かになりたくてやってない、っていう。ブラジルしか興味がなくて、それ以外のことができないだけ。

――最後に日々大切にしている考え方を教えてください。

「知らないことを恥ずかしがらない」っていうこと。知らないことはすごくいいことだと思うんです。だから何かやるときに下調べとかをしないようにしてる。感覚で「良い」「悪い」をちゃんとわかる人間でいたいです。

 

lumily版“クレイジージャーニー“とも言えるインタビュー、いかがでしたか? 約3日かかるアマゾンへの道、体力的にとっても大変そうですが、ウキウキが勝ってしんどいと思ったことはないそうです♪

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