夢は世界征服!AIを活用し子どもに誇れる大きなサービスを作る 株式会社ビースポーク代表・綱川明美

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turning point出産直後は隠し子状態、業績を上げて投資家を納得させる

――ご自身のビジネスの基礎を作った経験を挙げるとしたら、どんな経験でしょうか?

小学生の頃、8個くらい同時に習い事をやっていて、ものすごく忙しい小学生だったんです。ピアノにパソコン、水泳教室、算数教室、英語教室、アトリエ教室と毎日何かしら入っていて、さらに宿題もあって、友達とも遊びたい。全部予定に入れないといけないので、最短で終わる方法を常に考えていました。大学時代もそうで、最初の1年間を英語の学校で使ってしまったので、3年間で単位を取り切ろうと思って。アメリカの大学だから難しくてユニット数が多いヘブライ語やアラビア語のような授業をたくさんとって、3年生と4年生を1年間でギュッと凝縮して終わらせたんです。

逆に、サラリーマン時代に仕事でそれらしいスキルを学んだ記憶はありません。学生時代に自分で考えて試行錯誤して、スケジュールにフィットさせてきたことは今でもすごく役に立っていますね。

現在はぎゅうぎゅう詰めの予定は卒業し、13時半には子どものお迎えに行く。「2023年に良い方が入ってくれて組織化が進みました。最近はフラットな組織が流行っていますが、私としてはピラミッド型のように指揮系統がしっかりしているほうが、スピーディーに動けると思っています」

――転機になった出来事をひとつ挙げるとしたら、どんな出来事でしょうか?

出産です。働き方が変わりましたね。それまでの私は仕事星人で、頭の中は仕事が99%。でも今はもう全然違って、子どもが80%くらいになっています。

――子どもはもともと欲しいと思っていたのでしょうか?

実は、あまり好きではなかったんです。結婚も出産も全く興味がなかった。思いがけず妊娠し、出産してみたら、想像以上に子どもが可愛くて。

――シングルマザーを選んだ理由はありますか?

相手がオーストリア人で日本に住んだことがない方だったんです。付き合っているときは私が毎月オーストリアに行って会っていたのですが、妊娠してからは行かなくなり、さらにコロナ中で彼も入国できなくて。出産直前に特別ビザが下りて入国できたのですが、私が入院して帝王切開で出産し、退院して家に戻ったら、家はまるでゴミ屋敷のようになっていました。彼の言い分は「僕はメイドじゃない」。実際には料理も掃除もできる人だったので、結局は気持ちの問題だったのだと思います。出産後に少し落ち着いたら結婚しようという話もしていたのですが、「これは子どもを二人育てるようなものだ」と感じ、最終的にはお帰りいただくことにしました。

――出産から半年くらい、仕事関係の方にはお子さんのことは隠していたそうですね。

隠していました。投資家さんに出資いただくときに、出産や結婚の予定があるかを聞かれることが多かったんですね。「全く興味ないです」というお話をしましたが、何回も聞かれて、何回もないと答えて。だからまずいと思ったんです。

それで自分なりの解釈としては、休まなければいいと考えて、育児休暇は全くとりませんでした。出産当日まで病院のベッドで働いて、終わってからもスマホでメールを返したりしましたね。出産の2、3週間後にも出張が入っていたので行きました。お腹は痛かったですが。

――お子さんがいることを明らかにしてから、投資家の反応はいかがでしたか?

もちろんポジティブに受け止めない人もいましたが、実際には出産後のほうが業績は好調で、特に大きなトラブルはありませんでした。ちょうどその年に行政のデジタル化に注力して営業を強化したことで案件が増え、新たな収益源も生まれました。何より「子どもを産んだから業績が落ちた」とは絶対に言われたくなかったので、必死に営業活動に取り組みました。

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