台湾の漢方文化を日本へ。女性に「気持ちいい」瞬間を届ける DAYLILY共同創業者・CEO、小林百絵

台湾の漢方文化を日本へ。女性に「気持ちいい」瞬間を届ける DAYLILY共同創業者・CEO、小林百絵

2025年7月31日付でクラシエ株式会社に子会社としてグループインした、台湾発ブランド「DAYLILY」。その共同創業者である、小林百絵(こばやし もえ)さんにインタビュー。大手広告代理店を1年半で辞め、日本で台湾漢方を広めたいと思った理由、ブランド作りと経営の葛藤などを伺いました。

【小林百絵プロフィール】
年齢:33歳/職業:DAYLILY共同創業者・CEO/家族構成:既婚
insta @mooee.tw
X @moekobayashi_tw

topics台湾での漢方の在り方に惹かれブランド立ち上げ

――DAYLILYについて教えてください。

2018年に台湾の漢方薬局の中から始まった、漢方のライフスタイルブランドです。女性たちの心と体を養生できるようなお茶やお菓子、コスメ、ライフスタイル雑貨などを、自分たちで開発して販売しています。現在は台湾と日本で計6店舗と、オンラインストア等で販売を行っています。

――女性向けの商品を取り扱っていることには、どんなこだわりがあるのでしょうか。

昨今は性別による格差は小さくなってきているとはいっても、女性たちには毎月の生理や妊娠・出産、更年期などの悩みがあります。それらに一緒に寄り添いながら商品を開発していきたいと思っていますし、女性が日々ヘルシーに楽しく過ごしてほしいという思いがこもっています。とはいえ、購入者には男性もいらっしゃるので、男女関係なくお使いいただけるアイテムが揃っています。

こちらがDAYLILYの人気商品。(左)Haw stick 山査子スティック(右)「EAT BEAU-TEA ~ Thinkin Bout You ~」。

――起業前の小林さんの経歴を教えてください。

大学院を出たあとは電通に入社しました。私の場合は広告の仕事をしていたわけではなく、ビジネスクリエーションセンターという局に配属され、クライアントさんの新規事業のお手伝いをしていました。ただ、1年半しかいなかったので、関わったお仕事は少ないんですけどね。

――電通のような大手の会社なのに、そんなにすぐに辞めようと思ったのはなぜですか?

会社も、会社のメンバーも、仕事自体も好きだったので、会社が嫌で辞めたいと思ったわけではなかったんですよね。きっかけとなったのは大学院の頃の経験です。大学院時代に同じ研究室で台湾人の女の子のEriちゃんに出会ったんです。彼女の両親は台湾で漢方薬局をやっていて、研究発表の中で話していた「台湾では漢方がすごく生活に近い存在で、私もいつも持ち歩いています」というエピソードにすごく感動しました。同じアジアなのに日本にはない文化で、漢方を使って日常的に体を整えていることがすごくうらやましいと思いました。電通で働きながらもその話がずっと頭に残っていたんです。

Eriちゃんは修士論文で女性向けの漢方をテーマにしたりしていたのですが、彼女も私と同じように卒業後は広告代理店に入社して、もったいないと感じていました。ですので、せっかくだから一緒にブランドを作りたいと提案し、電通在籍中から少しずつブランド立ち上げの準備を始めました。最初の1年間は何もない状態で、Eriちゃんに台湾に連れていってもらってどのように漢方が生活に取り入れられているのかを見たり、休みの日に二人で集まってコンセプトを作ったり、少しずつ形を作っていきました。

――ではもう電通を辞めるときは、DAYLILYの構想はある程度できていたんですね。

そうですね、会社を辞めてすぐにクラウドファンディングをやって、集まったお金で台湾にお店を作りました。

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