「宝塚退団後の人生のほうが長い」芸能人材のセカンドキャリアを後押しする 株式会社Que seran pasaran代表・白川裕子(瞳ゆゆ)

「宝塚退団後の人生のほうが長い」芸能人材のセカンドキャリアを後押しする 株式会社Que seran pasaran代表・白川裕子(瞳ゆゆ)

work styleビジネスコンテストをきっかけに起業を考える

――白川さんの起業前の経歴を教えてください。

2004年から2012年まで宝塚歌劇団に所属して、退団してからはフリーアナウンサーとして、経済や競馬、県の広報番組のリポーターやMCを担当していました。CSに宝塚専門チャンネルがあるのですが、その中の番組で在団中にキャスターとして活動した経験がきっかけになりました。実は宝塚からアナウンサーに転身する人ってなかなかいないので、当時はすごく驚かれましたね。

宝塚に入団したきっかけは?「小学生のときに母と一緒に観劇して、ハマったことがきっかけです。未経験でしたが、そこからバレエや歌を始めて受験しました」

アナウンサーに転身してからは、”宝塚の瞳ゆゆ”ではなくて、”アナウンサーの瞳ゆゆ”として認めてもらえることを目標にしていました。初めから「元宝塚の人」と紹介されるのではなく、アナウンサーの仕事の成果が認められてから「え、タカラジェンヌだったんですね」と言われたいと思っていました。徐々にそれが達成できたと実感できるようになった折に、2018年に起業し、ずっと課題に思っていた受験生の支援を始めました。今は9割は経営の仕事をしていますが、フリーアナウンサーの仕事も量を抑えながら継続しています。

――受験生の支援はもともと関心があったとのことでしたが、事業としてやってみようと決意したきっかけはありますか?

ビジネスコンテストに応募したことがきっかけでした。最初は個人事業主として、宝塚受験のノウハウについてブログで発信することから始めたのですが、やはり自分だけで考えていると、本当にこれが正解なのか、他の人にはどう見られているのかがわからないので、まずは応募してみて評価を聞いてみようと。そこで特別優秀賞をいただいてひとつ確信が得られました。ビジネスコンテスト自体、女性起業家のコンテストだったので、参加者の方からもいろいろと刺激をいただきましたね。

――このコンテストの時点では、受験スクールのみで、キャリア支援のところはなかった?

そうですね。その後、幼い子どもをもつ親御さんたちへの講演会があったのですが、そのときに「宝塚受験をするときに退団後のことを考えていましたか?」という質問をいただき、すごくドキッとしたんですよね。入団当時私は中学生で、宝塚に入ることが目標で、退団後のことなんて全く考えていませんでした。実際に退団した後に苦労することになったわけで、退団後の支援がないというのは親御さんたちは当然心配するわけで。その結果、我が子の宝塚受験を、親心で反対してしまうということが起こっているようなんです。

宝塚の受験生も、私たちの頃は1,000人くらいの受験生がいたのですが、今年は470人で、ずっと減り続けていっています。少子化の影響もありますが、宝塚公演の人気自体は年々高まっているので、それだけが原因ではないと思うんです。私たちがいた宝塚にはずっと繁栄していてほしいし、憧れの職業であってほしい、そのためには現役生だけじゃなくて退団したOGたちも憧れの存在になってもらいたいと思ったのが、セカンドキャリア支援を始めたきっかけになります。

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