「子どもを迎えてよかった」と感じてほしい、助産師と家族をつなぎ子育てに対してポジティブになれる社会へ 株式会社Josan-she’s代表・渡邊愛子

「子どもを迎えてよかった」と感じてほしい、助産師と家族をつなぎ子育てに対してポジティブになれる社会へ 株式会社Josan-she’s代表・渡邊愛子

work style創業3か月で資金調達! 事業ができるまで

――事業の内容はどのように決まったのでしょう?

レアなパターンだと思うのですが、プロダクトもチームもない状態で投資をしていただきました。投資してくださったYazawa Venturesの矢澤麻里子さんも出産直後で、この領域の専門家に投資したいという思いとマッチしたことで、創業後3か月ほどでの資金調達となりました。資金調達をした翌月には、河村真木子さんのサロンを通して現在のCOOの中とも出会いました。彼女は当時リクルートで育休中だったのですが、「私も何かやりたい」と飛び込んできてくれたんです。その後もサロンの皆さんにヒアリングをしたり、真木子さんにもアドバイスをもらったりと、事業アイデアを練っていきました。

「実家は自営業で、親族に経営者もいたので、起業という選択肢は身近にあったかもしれないです。起業しようと思ってからは、東京都の創業ステーションに行き、壁打ちをさせてもらいました」

赤ちゃんを取り扱うのは事業リスクも伴いますし、何があるかわからないというのは私自身が一番よくわかっていたので、最初のサービスはオンラインでの相談サービスを始めました。助産師に24時間、LINEで育児に関する身近な疑問を相談できるというもの。次第に赤ちゃんの抱き方やお風呂の入れ方などが、テキストでは説明しづらく、「家に来てくれないか」というオファーが入り始めて、ニーズがあるならやってみようと、低月齢シッターサービスを始めました。

――事業が軌道に乗ったなという感覚は。

ありますね。今も産院さんからの紹介などでお客様が来てくれています。低月齢シッターサービスなので、利用される方も出産直後のお母さんたちが多く、預けている間に外に出かけてリフレッシュをしようというスポットの利用よりも、自宅でどうやって世話をしたらいいのかわからないとか、眠れないから夜の間別室で子どもを見てほしいというようなパターンで継続して使っていただくことが多く、おひとり当たりが使っていただく料金も安くない金額になる傾向があります。とはいえ一部の人だけに向けたサービスだけで完結させるのではなく、4月からリニューアルオープンした産後ケア施設「YUARITO DAY」では区や国との連携も働きかけています。この施設は6時間25,000円のサービス料金になっていますが、例えば区の委託があれば5,000円以下で年5回まで利用ができるようになるので、もっと多くの方に利用しやすい施設にしていきたいです。

YUARITO DAYは日本橋浜町にある産後ケア施設で、ジョサンシーズが2025年4月より三菱地所から事業承継。日本では珍しく、日帰り利用が可能。

今は日本の出産のあり方も大きく変わってきている時期。分娩施設も少なくなってきましたし、退院までの日数も以前より短くなっていると思います。諸外国では専門家による訪問サービスが用意されていたりするのですが、日本の場合は今そこが宙ぶらりんなまま進んでいってしまっているので、サポートするような取り組みが必要だと考えています。

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