18歳から96歳までを幸せにする経営の仕組み 株式会社AgeWellJapan代表・赤木円香

18歳から96歳までを幸せにする経営の仕組み 株式会社AgeWellJapan代表・赤木円香

turning pointキャッシュポイントとバリューポイントを分けて売上アップ

――事業が軌道に乗ってきたのはいつ頃でしょうか。

2023年頃ですね。それまでは自宅訪問型のtoC事業をメインにやっていたのですが、シニアの方にリーチするお金もかかるし、このまま続けていて社会を変えられるのだろうかという不安がありました。会社を永続的にやっていくためには、toB・toGの事業もやらなきゃいけないと踏み切って、2022年の秋に決断しましたね。とはいっても、もともとやりたかったのはtoCの事業だったので、これでいいのだろうかという迷いは消えませんでした。

そんなときに、ウェルビーイングをテーマに研究をしている学者の石川善樹さんに、「赤木さんの会社はキャッシュポイントとバリューポイントをちゃんと分けていて、だから続くと思うんだよね」と言ってもらえてすごく腑に落ちて。toB・toGをやることによってtoCをやらなくなるんじゃなくて、価値を際立たせるためにtoCをしっかりやって、社会課題解決の会社を永続的にやるためにtoB・toGでしっかりキャッシュを稼ぐという役割の違いなんだなと認識できてからは辛くなくなりました。そこから一年で売上も3倍になり、2023年の決算を終えるときに、「いけるかな」という感覚はありましたね。

組織のメンバーは20名ほどで、最年少が25歳で最高齢が54歳だそう。「エイジウェルを謳っている会社なので、年齢における差別や偏見、固定概念のようなエイジズムはなくそうと考えていて、お互いリスペクトしあうカルチャーを大事にしています」

――経営者としてはひとつの転機だったわけですね。

そうですね。転機という意味合いではもうひとつ、2021年7月に最初の資金調達をするんですけど、それを決めたのは私がずっと自宅訪問していた89歳の会員さんがきっかけでした。その方に、「私は赤木さんに出会えたことが奇跡だと思う。人生の最後をこんなにもにぎやかにしてくれてありがとう、生きがいになってるわ」というようなことを言っていただいたんです。当時はコロナ禍だったので、若者がシニアの自宅に行くことはナンセンスな時期。だけどその方は私が来る日を毎回本当に楽しみに待ってくれていて。その言葉を言われた帰り道は涙が出るほどうれしくて、やっててよかったと思えたし、私とその会員さんのような関係性が世の中にたくさん生まれたら、シニアもハッピーになるし素敵な社会になるという覚悟が決まって。投資をしたいと言ってくださっていた投資家に電話をして、出資を受けることに決めたのがこの会員の方に感謝されたことが起点となっています。

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