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life style女性の社会進出に対して男性の家庭進出を促すには?
――ワークライフバランスの理想はありますか?
私自身は、今は理想的な働き方をしていると思っていて、経営者なのでフレキシブルに予定を組めるのは助かっています。仕事のために子育ての時間を犠牲にするようなことはやりたくなくて、朝は子どもと一緒にご飯を食べ、夜帰ってきてから寝るまで、いろんな話をしたりするようにしているので、自分の時間に融通を利かせられるところは理想的な働き方だと思っています。会社員時代は営業職で、お客さんに合わせたスケジュールになってしまうので、夜真っ暗になっていろんなことに追い込まれ泣きそうになりながら保育園に迎えに行ったりして、今思えばかなりしんどい思いをしていましたね。
――育児と仕事の両立は可能だと思いますか?
私は可能だと思っていますが、どのバランスが最適かは一人一人が違う答えを持っているので、一概に決まったスタイルに固定するのは不可能だと思っています。一律にこの時間に仕事をして育児をしてという形での両立は実体験としても本当に大変です。自分で会社をやる上で、従業員にも子育て世帯がいますが、一人一人スタイルが違うので、どう対応していくかは今後の課題ですね。
ただそれを解決するには女性だけが頑張れば良いという話じゃなくて、女性は社会進出しようという機運になっているので、男性は家庭進出をしていく必要があると思っています。育児も、家庭も、仕事も、女性だけでバランスをとるのは不可能なんですよね。パートナーや組織の協力がなければ両立は難しいので、女性に働いてほしいのであれば周りはサポートをするべきだし、女性も周りをうまく巻き込むべきだと思っています。

子育ては楽しいですか?「楽しいですね。大変ですしお金もかかりるし自分の時間もないですけど(笑)。正直、私の方が子どもに育ててもらっているんじゃないかというほど、我が子たちから学ぶことが多くて。こんなにピュアでまっすぐ愛してくれて、どうすれば子どもに恩を返していけるだろうかといつも考えています」
――出産が仕事に影響を与えたことはありますか?
周りの人の働き方に対する見え方が変わったと思います。それまでも周りに子どもがいる人はいましたが、自分が経験するまでは何をしていて何が大変かはわからないじゃないですか。なぜ忙しいのか想像もつかなくて。それを自分が体験したことによって、ほかの人にも従業員に対してもいろいろなことが想像できるようになりました。育児だけでなく、介護や家庭環境など自分には想像のついていないことがまだまだあるんだという自己認識も深まり、見える世界がまた広がったなと思っています。
――逢澤さんは育児を経験して価値観が変化していったかと思いますが、一緒にいる旦那さんはいかがですか? 自分との考え方のギャップを感じることはありますか?
ギャップは感じます。でも、5年遅れぐらいですが夫も変わってきているなと思います(笑)。うちの場合は、私が論立てて説明して長い年月をかけて変えたような感じですね。最初は私自身にもバイアスがかかっていて、「ママは子どもと一緒にいなければいけない」「夫は仕事が忙しいから支えてあげなきゃいけない」という気持ちが強かったのですが、子どもは二人で育てるものだから、それはおかしいじゃないかと。夫にもそういったバイアスがかかっていたので、どうやってここから抜け出そうかということは結構考えました。
そもそも、我が家において私がニコニコ笑顔でいられることが家庭円満の秘訣だなと思っています。そんな中、私は仕事がしたいタイプにも関わらず、私が仕事を諦めたり、やりたいことを我慢していたらどんどん笑顔がなくなってしまいます。自分のバランスを取る上で仕事は大事だと思っているということがまず前提にある上で夫に対しては、仕事をするためには夫の協力も必要だということを伝えました。さらに、子どもが未就学の今のタイミングを一緒に子育てしてくれないと、老後に分かち合うものがないと。「今を夫婦一緒に乗り越えなかったら、何を糧に老後に一緒に過ごすの?」といった話だったり、「親としてこんなにかわいい時期を見ずに、私に任せっきりなのはもったいなくない?」というように、いろんな方向から攻めて、ちょっとずっと夫が変わっていったという感じですね。今は「今日は私の日」「今日はパパの日」みたいにスイッチし始めていて、お互い協力しながら何とか落ち着いてきたと思っています。夫も育児の戦力になったことで、私も感謝が増えたし、夫婦関係もより良くなったなと思います。