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work style女性が起業する難しさと魅力とは?
――ご自身でも起業を経験し、周りでも女性起業家を多く見ていると思いますが、女性が起業することにはどんな難しさがあると思いますか?
ニワトリが先か卵が先かということもありますけど、やっぱり頼れる人が少ないということだと思います。女性で起業している人、稼いでいる人、話を聞ける人がどこにでもいるかというと、たぶんいないんですよね。数がいないわけではないと思うのですが、アプローチが難しい。なかなか起業していない人が起業している人にアクセスするのはハードルが高いのではないかと思います。
金融庁のデータによると、個人事業主を含めて開業する女性は多いものの、資金調達額に占める女性の割合はわずか2%に過ぎません(※2019年のデータ)。VC業界を含め、男性が中心であることは間違いないですが、女性だから出資を受けられないというわけではないと思います。ただ、業界の中でつながりがない女性にとっては、不利な状況になりやすいのではないかと感じています。つながりがなければ、情報やチャンスが得られる機会は限られてしまいます。だからこそ、Female Founders Doorを通じて、女性起業家が必要な情報にアクセスできる仕組みをつくっていきたいと考えています。

“Project:F”の今後の方向性は?「女性の起業家をゼロから生み出すということ自体、世界から見ても日本から見ても新しい取り組みになってくるので、仮説はありますが、ここから1年ぐらいかけて最適なビジネスモデル作っていきたいと思っています」
――反対に、女性が起業することの魅力はどんなところにあると感じますか?
たくさんの可能性があると思っています。”Project:F”でも「ルールをつくる、女性をふやす。」ことを掲げていますが、自分の会社を持つことで、自分に合った働き方を自由に設計できるのは大きな魅力です。例えば、一般的な企業では9時から働くのが当たり前かもしれませんが、朝5時から8時まで働いて、お子さんのお迎えの後に残りの時間を調整する、といった柔軟な働き方も可能です。キャリアだけでなく、ライフプランも自分のスタイルに合わせて描けるのは、起業の大きな強みだと思います。
もちろん、事業が軌道に乗るまでは全力で取り組む時期もありますが、ビジネスモデルが確立され、チームに仕事を託せるようになれば、「この期間は家庭を優先したい」など、自分のペースで働く選択肢も広がります。こうした新しい働き方が浸透すれば、企業の文化としても柔軟なスタイルが取り入れられ、仕事に集中しやすい環境が生まれます。時間に縛られずに働くことができれば、キャリアが継続しやすくなり、多くの人が自分らしく働ける社会へとつながっていくはずです。