地方女子がPRと出会い経営者へ 株式会社フロントステージ代表・千田絵美

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work style長期的に自分の価値を高めて仕事を獲得

――学生時代から起業しようと思っていたとはいえ、働き方が変わることに不安はなかったですか?

不安しかないですよね(笑)。ただ、私は自分のやりたいことがわかっていて、性格的にもやりたいと思ったらやらないという選択をすることができないんです。なので、会社を登記することも、会社員を辞めることも、息を止めるようにして一気にやりました。考えると不安になって、ストップする理由があり過ぎたので、後戻りできないように。

――事業を始めてから、軌道に乗り始めたのはいつ頃なのでしょう。

最初からうまくいっていたとは言えると思います。FacebookやTwitter(現X)で「会社を作りました」という告知をして、ありがたいことにそれを見て知り合いからのお問い合わせをいただいたりして、取引が増えていきました。今思えば、大学生の頃から独立は視野に入れていたので、独立するまでの間に自分の市場価値を高めておこうと考えて行動していましたね。独立したときに、相手から問い合わせが来る会社にしたいということは思っていたので、長期的に戦略を立てて考えていた部分はあります。

――「自分の市場価値を高める」とのことですが、具体的にどんなことをすれば良いのでしょうか。

業界や業種によるかもしれませんが、まずはわかりやすい結果を出し続けるということでしょうか。例えば広報PRの世界で言うと、有名なテレビ番組に担当の企業が取り上げられたとなると、「あそこのPR担当者すごいね」という印象になります。その企業が発信したいメッセージを、より多くの方に届くようなメディアに、そのメディアの方に「面白い」と思っていただくための材料集めやストーリー整理をしたり、ということは意識してやっていました。そういった実績作りが大事だと思います。

――ご自身のビジネスの基礎を作った経験は、どの時期のどんな経験でしょう。

私はもともと先生になりたかったので、大学を卒業してから小学校で先生をしていたんですが、子どもたちは凄く可愛かったですし教育にも興味はあったのですが、決められたことを決められた通りに行うことが私には向いてないなと思ってすぐに方向転換して、広島の広告代理店で2年間広告営業をやっていたんです。その期間がすごく基礎になっています。

「PRはメディアの担当者さんにクライアント企業の情報を届けて、興味を持ってもらえばメディア掲載につながる。営業が物を売るのと似ていると思っています」

営業は未経験だったので、自分に合うかどうかわからなかったんですけど、すごく楽しかったんですよね。地元の飲食店さんや美容院さんやエステさんに毎日50件ぐらい飛び込み営業して、ホットペッパーのような媒体の広告を売っていました。契約をとるまでは体力的にもメンタル的にも大変だったのですが、お客様になっていただくと、すごくコミュニケーションを取るのが楽しかったんです。地方だからこそ、その土地の中小企業の経営者さんが何を望まれているか、大変に感じているかということを密にお話できて、それもなかなか東京ではできない経験でよかったと思います。

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