目次 [閉じる]
turning point一度立ち止まっても、新しいスキルを取り入れて新たな世界が広がる
――やまざきさんの仕事の基礎を作った経験を挙げるとしたら、どんな経験でしょうか。
私は育った家庭も学校も最初の職場も、ジェンダーバイアスがなく、女性であることを活かせる環境で育ってきたんですね。母はシングルマザーですし、学校も女子高、女子大出身で女性ばかりの環境で。就活のとき、当時は大手企業の新卒採用は男女比8:2とか7:3とか決まっている時代でおかしいなと思っていたんですけど、サイバーエージェントは男女比半々で入れてくれて、しかも女性も実力評価で見てくれて。女性であることが障害にならない環境でキャリアを積み重ねて来られたんです。
でも、34歳のときに子どもを産んだタイミングで仕事との両立は大変だなと感じましたし、女性であることが障害になって思うように頑張れない社会構造の中にいる人たちもたくさんいるんだなと知って。そういう人たちが、女性であることを障壁に感じることなく頑張れる社会にしたいという思いが根底にあります。私は女性に産まれてよかったと思っているので、みんながそう思える社会になったほうがいいという思いは原体験としては強いですね。
――これまで転機になった出来事はありましたか?
サイバーエージェントを辞めたときですかね。サイバーエージェントという会社のことはいまだに好きなんですけど、がむしゃらに働きすぎて30歳で体調を崩してしまって、そのまま辞めているんですよね。今でいうメンタルダウンみたいな感じでした。会社員としてずっとやっていくと思っていたから、もう人生終わったと思いました。
会社を辞めて急に暇になったので、たくさん本を読んだり映画を見たり、100本くらいコンテンツに触れたんですけど、人生終わりだと思っていたけど、いろいろな道があることに気付いたんです。一回立ち止まって新しい知識やスキルを自分にインストールしたら、すごくいろいろな可能性が見えてきた。今思えばあれがリスキリングだったんだなと思います。会社員として右肩上がりに働き続けられる時代じゃないから、これからの時代はこういう人が増えてくるんじゃないかと本能的に思いました。会社員を辞めたことは今の事業に繋がる転機だったかもしれないです。
――やまざきさんのお仕事ルールはありますか?
昔から意識しているのは、仕事をしているふりにカロリーを使わないこと。なんとなくみんなが8時くらいまで会社にいるから同じようにパソコンの前に座っているとかは、絶対にやらない。休めるときは休むし、寝ながらできる仕事は寝ながらする。私チャーチルがすごく好きで、彼の名言の「成功の秘訣は精力の節約だ」というものに由来しています。
あとは、人前に出るときは、紫の服を着る。持ち物も全部紫です。
――なんで紫なんですか?
コーポレートカラーなので。あまり他社とかぶらなくて目立つんですよ。人と会うときも、「紫の人ですね」と印象が残るのでそういう意味でも紫でいます。プライベートはすごく地味な恰好です(笑)。