40店舗をM&A、女手ひとつで事業と娘を育て上げる ビーシスグループ代表取締役・稲垣恵美

40店舗をM&A、女手ひとつで事業と娘を育て上げる ビーシスグループ代表取締役・稲垣恵美

turning point子育ての迷いがあったら仕事がうまくいかない

――稲垣さんにはお子さんが一人いらっしゃるそうですね。

ちょうど法人化した2009年の11月に産みました。出産当日まで仕事をして、産んでからも2週間で現場復帰して、かなりハードでしたね。

――シングルで育てている。

最初から一人で産むと決めていました。

――出産はどうしてこのタイミングになったのでしょうか。

タイミングを決めていたわけではないんです。ずっと子どもは欲しかったのですが、実は19歳のときに婦人系の病気になり子供は出来づらいと言われていました。いろいろな治療にも取り組みましたが、未婚なのでできる治療も限られていて、やれる範囲のことはしましたが妊娠はできませんでした。仕事の仲間も増えたし出産はもういいや、と諦めた矢先の妊娠でした。

M&A前のグループの合言葉はビアンカワンチーム。「一人ひとりの力は微力でも共に支え合い助け合うことで大きな力になります。個人プレーに走ってしまったら、組織は絶対にうまくいかない。私自身プライベートな時間もスタッフと共有していましたし、スタッフにも自分一人ではない、学び合える共に成長できる仲間がいるというイメージを常に共有していました」写真は毎年開催されるアワードでの集合写真!

子どもができたから会社を縮小しますとは絶対に言いたくなかったんです。子どもがいる私になったけどスタッフと一緒に邁進していきたい。スタッフも同じ思いでついてきてくれました。私は、ご縁や人とのつながりを大切にしたいと考えています。これだけの人がいても会える人の数なんてたかが知れてるじゃないですか。その中で仲間になって一緒に仕事ができるというのは、とても貴重なこと。だから、子どもとずっと一緒にいてあげたりする母親ではなかったですが、仕事は仕事で突き進むことを選びました。

――一番忙しいときはどのような働き方でしたか?

めちゃくちゃ働いてました。子どもが小さい時は月曜日から土曜日まで保育園に朝から預け、お迎えは閉園の夜7時半ギリギリ。それでもいつもお迎えは遅刻していましたし、スタッフに迎えに行ってもらうこともありました。またサロンは土日の売上が一番多く、私が休むと売上が下がってしまうため土日出勤も当たり前。ベビーシッターの費用が月に15万円以上になったときもありました。

――ルミリーでインタビューをすると、「母親の自分がこんなに働いていいのだろうか」と悩む女性経営者も多い印象です。稲垣さん自身には、そのような迷いや葛藤はありましたか?

全く思わなくはなかったですが、子どものせいにはしたくなかったですし、子どもがいても仕事はできるということをスタッフに証明したかったのかもしれません。自分に迷いがあったら絶対に仕事はうまくいかないし、迷いが相手にも伝わってしまうと思うので、私はその思いを振り切りました。娘には、うちに産まれてきた宿命だと思ってねと。それに、こんな環境だからいい子に育つとか、こうじゃなきゃ育たないとか、あまりないんじゃないかなと思っています。愛情をしっかり注いでいれば想いは伝わると。私も両親が公務員という環境で育っていますけど、今のような破天荒な人生を歩んでいますし(笑)。

1 2 3 4

ranking

norm+(ノームプラス)美容クリニック品質の肌管理