富裕層が信頼するホスピタリティとは? 経営者・かぐみのチャンスを形にする仕事術

富裕層が信頼するホスピタリティとは? 経営者・かぐみのチャンスを形にする仕事術

「旅総額7.5億円」。桁違いのインスタプロフィールもさることながら、投稿される美しい旅の風景も注目を集めるかぐみさんとは、いったい何者なのか? 現在ライフワークとして経営している株式会社アルカディアの話を中心に、お仕事観をインタビュー! 経営者の方はもちろん、これから社会に出ていく方にとっても、参考にしたいお話が満載です。

【かぐみプロフィール】
年齢:40/職業:会社経営/家族構成:既婚
instagram @kagumi.trip

topics月額25万円以上、富裕層向けコンシェルジュサービス

――今かぐみさんはどのような会社を経営されているんでしょうか?

株式会社アルカディアという富裕層向けのコンシェルジュ会社を経営しています。

――富裕層というとどんな方が?

基準は公開していませんが、月会費として25万円から60万円、入会金が250万円以上、ご入会には現会員様のご紹介と推薦が必要で、審査基準も設けています。会員様は男性が9割以上、経営者や投資家のお客様が多いです。

――会員の方は、毎月のように旅行に行かれているのですか?

いえ、旅行会社だと思われている方もいらっしゃるのですが、アルカディアはコンシェルジュサービスの会社なのです。旅行だけではなく、もっと日常的なレストランの手配、ギフトの手配、インテリアやスタイリング、教育関係やサプライズの手配まで、ビジネス以外のほぼすべての内容のコンシェルジュサービスを行っています。実はご旅行の手配は全体の30%くらいですね。

かぐみさんのインスタには素敵な旅行風景がたくさん。なお、10ヶ月に一度雑誌も発行していて、ほぼ全てが撮りおろしなんだそう。

――相手が富裕層の方となると、手配するほうのセンスもすごく問われそうです。

そうですね。資産をお持ちで、品の良い、質の良いものに日々触れているお客様ばかりなので、そういう方々に満足いただくにはかなりのセンスが求められますよね。良質とは何かをご存じなので、例えばなるべく安く良い料理を食べたい、という思考はなくて、質がよければ3万円も5万円も変わらない。でも同じ内容で10万円は高いという価値観があったりする。

良質なものは高額なことが多いですが、高額なものが良い訳ではない。良質なモノ・コトの相場をご存じという、かなりセグメントされたお客様をご案内しているので、特殊なご案内内容にはなりますね。

――この事業はどのぐらい経営されているのですか?

私自身、会社は何社も経営しており、最も長く経営している会社は17年目になります。このアルカディアは新しく4年目の会社です。

――いつから経営に興味を持ち始めたのですか?

経営者になろうと思ってなったわけではなくて、自分の目標をひとつずつ形にしたいと思って、大学時代から色々とビジネスをしていました。大学卒業後はリクルートに入社し、同期は向上心も野心もあるメンバーばかりで刺激的だったのですが、リクルートでスキルを高めるには3年はかかるなと。だったら今すぐに独学で起業したいと思い、入社2カ月で退職してしまいました。

短い期間でしたが、一生ものの友人や先輩とも出会うことができましたし、こんな短期間にもかかわらず今でも先輩方とお付き合いさせていただいて、本当に感謝しています。リクルートで社会人を経験させていただいて、更に経営に興味をもったのだと思います。

――アルカディア以外の会社はどんな事業を?

コンサルティングや運用、エンターテイメント、ジュエリー、化粧品と多くのビジネスを展開しています。あとプライベートジェットのチャーターと外国人富裕層に向けた旅行会社もスタートしました。以前は飲食店や営業会社も経営していましたが、それはもう全部売却してしまいましたね。

 

work style仕事の報酬は仕事、お金はあとからついてくる

――そういった事業がうまくいった理由や要因はどんなところにあると思いますか?

正直なところ、全てがうまくいっているわけではないです。撤退した事業も沢山あります。ただ、重要なことは「やりきる力」だと思います。どこまでやりたいことにこだわれるか。執着できるか。

あとは自分の中で期限を決めて、うまくいかないと思うものはすぐ撤退するということ。これは会社のメンバーにも伝えていますね。やり続ければ大抵のことはうまくいくとは思うのですが、その努力ができるものでないと続かない。きちんと期限を決めて、その期間は自分の限界地点まで動く、「やりきる」ということを意識しています。それでも無理だと感じたら撤退する。

――諦めが肝心みたいなことでしょうか?

というより、やるか、やらないかをハッキリしないと、うまくいかなかった時にいろんなことを言い訳にしてしまうと思うので。時期が悪かった、環境が悪かった、お金がなかった、第三者や環境を言い訳にしてしまう。期限を決めて、自分の中で限界までやって無理だったら、自分に対して負けを認めてやめるべきだと思っています。

残念ながら努力の全てが報われるわけではありません。でもそのやりきった事実は必ず自分へ数年越しに返ってきます。

かぐみさんの会社で働くために必要なのは?「知識はなくて当たり前なので、別にいりません。それよりもホスピタリティが高くて、そもそもこの仕事が楽しいと思える人を求めています」

――20代30代はどのような働き方をしていましたか?

20代は相当働いていたと思います。睡眠時間も少なかったですし。目の前に来たものを必死にやる時期。なぜなら、目の前にある仕事に対して「この仕事があなたの人生を変えるチャンスです」って誰も教えてくれないじゃないですか。過去を振り返ったときにしかわからない。だからその時の自分に与えられた仕事を全力でこなす以外に先はないんです。実力もないうちに、目の前の仕事を選んでいる人にその先はないので。

私がよく言うのは、「仕事の報酬は仕事」ということ。今任されている仕事さえもできないのに、さらに上の、例えば企画やクリエイティブな仕事って与えてもらえないじゃないですか。信頼を積み重ねて、もっと大きい仕事やもっと重要な仕事がくるものなので、目の前のことをまず全力でやりきるっていうことを20代は大切にしていましたね。

――では30代の働き方はいかがでした?

30代は一回休憩していました。当時やっていた事業がどれもライフワークになるものではなかったので、一回リセットしようと思って売却してセミリタイア。旅行しながら、何をやろうかなって考える時期が数年ありました。

その後日本に帰ってきてから、昔からお世話になっていた先輩方に旅行のアレンジを頼まれることが増えて、はじめはボランティアで提案していたことを仕事にという流れですね。そのあとコロナ禍になって、会員様が旅行に行く機会が減ったので、コンシェルジュ会社に形を変えるようになりました。

――アルカディアはライフワークになっていますか?

そうですね。旅もお客様へのアレンジも手配も好きなので。ただ、よく「好きを仕事にしたいです」みたいなDMを頂くのですが、仕事の80%はコツコツした地味な内容ばかりです。残りの20%やお客様の反応や喜んでいただけることがものすごく楽しいので、私はやりがいを感じています。

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