40店舗をM&A、女手ひとつで事業と娘を育て上げる ビーシスグループ代表取締役・稲垣恵美

40店舗をM&A、女手ひとつで事業と娘を育て上げる ビーシスグループ代表取締役・稲垣恵美

国内屈指の大手美容サロン「ビアンカ」を創業し、2021年には上場会社へのM&Aも経験。経営者の稲垣恵美さんにインタビュー。M&Aのことはもちろん、シングルマザーとしての娘と仕事への向き合い方についても、お話を伺いました!

【稲垣恵美プロフィール】
年齢:51歳/職業:ビーシスグループ代表取締役、上場会社特別美容顧問/家族構成:娘(14歳)
insta @megumiinagaki08

 

topics女性の自立をサポートする会社を目指し直営サロン50店舗以上!

――現在携わっている事業の内容を教えていただけますか?

まつ毛とネイルのサロンを沖縄に7店舗と九州に2店舗、ほかに美容整体とエステサロンと飲食店3店舗を経営しています。今力を入れているのは化粧品の開発・販売と、コンサルですね。

――この事業を始めたきっかけは。

20代後半に出会ったアートメイクアーティストから受けた施術が素晴らしく、その方からアートメイクの楽しさや美しさを教えてもらい、すっかり魅了されてしまいました。これからの自分の人生、自分で切り開いていきたいと思い、手に職をつけようと30歳で美容業界に入りました。スクールに通い技術を身に着け、インストラクターとしての経験を積み、その後サロンを始めることに。最初は自宅兼サロンとしてマンションの一室から始め、人が増えて個人事業主としてサロンを開いて、という流れですね。

――事業は順調に?

最初の5年くらいは苦戦することもありましたが、2009年の2月に法人化して、そこから12年ほどかけて直営店を50店舗以上にまで増やしました。そして2021年12月にそのうち40店舗ほどをM&Aしました。

――そこまでグループを大きくできた理由はどんなところにあると思いますか?

最初は「会社を大きくしたい」と思って始めたわけではなかったのですが、スタッフが増えてきて「スタッフの周りの人や親御さんに胸を張って言える会社にしよう」と思ったのが、大きくするきっかけでした。30歳でこの業界に入った理由の1つに失恋もあり、会社を作るのであれば、女性が男性に頼らなくても生きていけるように自立をサポートできる会社を作ろうと思ったのです。うちの会社のスタッフはほとんど女性なので、スタッフが私のようにライフステージが変わっても困らないように、もしくはパートナーの転勤や自身の出産を経験してもすぐに職につけるように、多様性を重視し様々な環境に対応できる働き方を実現したかったのです。性格的にも負けず嫌いなところがあるので、それも影響していると思います。とはいえ、私自身は経営のセンスもないですし、経営の勉強をしたこともないので、たくさんの方々に助けていただきながら地道に一店舗ずつ増やしていったというのが実際の感覚ですね。

稲垣さん自身は公務員のご両親のもとで育ち、家庭環境はビジネスとは縁遠かったそう。「店舗展開をするときに保証人が必要なのですが、両親は早くに引退をしたので頼めず、すべて兄が保証人に。兄は結婚して子どももいるのに何も言わず承諾してくれたことに感謝しています」

――起業してから特に大変だったのは、どんなことでしょうか?

やはり店舗展開を始めた2店舗、3店舗目が一番大変でしたね。一年以上自分のお給料が取れないような状況が続いていました。そこで頑張って踏ん張ることができなかったら、事業は失敗で終わっていたと思います。

――そういう大変なときをどのように乗り切ったのでしょうか?

結局スタッフに支えられてきたんですよね。一緒にご飯を食べに行ったりすると、「もっと頑張りたい」「売上が上がらなくて悔しい」という声が上がったりする。そんなことを言ってくれる子がいるのに、私が「閉めよう」なんて絶対に言えないです。一緒に頑張りたいという子たちがいたので、その子たちに成功を味わわせたいということが原動力になりました。もしスタッフが「売上が上がらないので辞めます」という子ばかりだったら、私も踏ん張れなかったかもしれないです。

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