日本と海外をつなぐ架け橋に 都築学園グループ副総長・都築明寿香の学校経営

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turning point効率的な育児になりつつあるからこそ、必要なのは愛情

――転機になった出来事を挙げるとしたらどんなことでしょうか?

いろいろあるんですけど…考え方をドラスティックに変えたという意味では、アメリカに行ったことと、結婚と出産が大きいですね。特に結婚に関しては、元夫は上場会社の経営者だったのですが、経営に対する考え方が自分とは真逆だったので、ある意味カルチャーショックを受けました(笑)。利益を追求する合理的な近代的経営とはこういうことなんだな、と肌で感じる経験でしたね。

家業では、事業を100年、200年と続けていくために、変化の速い現代で、今どのような手をうつべきかを逆算して考えることを教えられていましたから、経済合理性や金融資本主義的な「四半期でどう利益をあげて株主に還元するか」を軸とする経営の考え方に触れて、ものの見方や知識の幅を広げるという意味でとても勉強になりました。今はSDGsが謳われる時代で、社会はサステイナブルな経営を目指す方向に急速に変わってきています。家業で学んできた長寿型経営と近代の合理的経営の両方をうまく融合したハイブリッドな形を追求していくのが、今後の自分の経営のスタンスとして理想だと思っています。

「グループの大学でも経済・経営を教えているため、100年先、200年先でも変わらない、人や地域社会を大切にする経営の在り方を教育の中で教えていくことも、私たちのミッションのひとつ。ソーシャルビジネスやサステイナブルな経営の大切さについて、大学の授業でも展開するようにしています」

――出産についてはどんな転機でしたか?

私には子どもが3人いますが、上の子が小学生にあがる頃からはシングルで育ててきました。長女は今では成人して大学生です。子どもが産まれるまでは、目標に向かって計画を立てて、がむしゃらに努力してそれを達成するというスタンス。しかし、子どもに関してはそういうわけにはいかないですね。いくら私一人が頑張ったところで、まったく思い通りになんてならない。そのお陰で、働き方や人生の在り方、人生設計をゼロから見直すきっかけとなりました。

――実際に出産の前後ではどのように変化しましたか?

それまではすごく生き急いでいて、朝から晩まで走りまわって働いていたんですけども、子どもが産まれて1日の中で働ける時間が限られたことで、優先順位を決めて、やる事とやらない事の選択をする習慣がつきました。そして、やると決めたことに対しては集中して、しっかり腰を据えながら取り組んでいく姿勢に変わって良い転換を迎えることができたと思っています。だから子どもにはすごく感謝していて、「あなた達のおかげで私は沢山のことに気づくことができたし、人や親としての幅が広くなったと思う」「あなた達が世界で何よりも一番大切。生まれてきてくれてありがとう」と、いつも言葉で伝えるようしています。

また、出産後は子どもとの時間を優先するようになったので、小学校にあがるまでは出張になるだけ連れていく等して一緒に過ごせる時間を作るよう、子ども中心のスケジュール作りを意識するようになったのも大きく変わった点です。

――でも3人いたら、仕事の時間を捻出するのが大変だったのでは。

めちゃくちゃ大変でした。特に上の二人は年子でしたから、それこそ前と後ろでおんぶに抱っこしながら、みたいな(笑)。夜も睡眠時間を削って1日睡眠時間が3~4時間という日はざらで、結構力業でなんとかしてました。今思えば若いからできたんだと思います。

もともと出産願望はあった?「なんとなくはあったものの、出産のきっかけになったのは母から言われた『人生一度きりなんだから、産んでおきなさい、人生観変わるから』という言葉。でも、口で言うほど簡単ではなかったです(笑)」

――ルミリーはワーキングマザーの方も多くご覧になっています。そんな女性たちに、学校経営者として知っておいてほしい情報はありますか?

幼児教育の学校も運営しているので、その観点から言うと、子どもが3歳くらいまでの間は、親御さんが意識してスキンシップや抱っこ、声掛け等、とにかく愛情を感じ安心感を抱けるようにして、オキシトシンを促してあげるのがとても大切。幼児期以降の発達段階ではこの親との深い絆が自己肯定感にも繋がって、失敗を恐れずに挑戦することができたり、例え失敗しても愛情から形成された安心感や安定感が根底にあれば、また挑戦してみようというエネルギーになる。

これから女性は外に出て働くことがもっと増えると、子どもと触れあう時間も限られてきたり効率的に育児をこなすようになると思います。だからこそ、愛情や安心感を与えるというポイントだけはマストで押さえておいてもらえたら、と思います。

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