日本と海外をつなぐ架け橋に 都築学園グループ副総長・都築明寿香の学校経営

日本と海外をつなぐ架け橋に 都築学園グループ副総長・都築明寿香の学校経営

work style幼い頃から家での会話がすべて経営の話

――都築さん自身の、副総長になるまでの経緯を教えてください。

私は高校1年生で単身アメリカに渡り大学1年生の時に日本に戻ってきたのですが、ちょうどその頃は、都築学園は関東に教育事業を展開し始めた時でした。当初、大学生だった私は東京に住みアルバイトをいくつか掛け持ちするなか、家業の学校にもアルバイトとして勤めさせてもらいました。その後、大学院時代に国連UNDP等のインターンを経て、院修了と同時に本格的に家業に参画し営業や広報を担当。そこから25年程の間、さまざまな部署や学校現場を経験し、5年程前に学園グループの副総長に着任しました。

ただ家業と同時に自分でも事業を立ち上げたいという強い思いもありました。アメリカ留学していた時期はちょうどシリコンバレーが黎明期の頃で、周囲には高校生の時からITで起業したりする人もいて、起業マインド溢れる環境で過ごしました。その中でも高校時代に訪れたシリコンバレーでスタートアップのインキュベーションセンターを運営していたバーバラさんという女性の印象が深く心に残り、当時日本になかったインキュベーション事業を自分もやりたい、日本社会を変えていくイノベーター達を支援する事業をしたいと強く思うようになり、渋谷にインキュベーションセンターを開設。同じタイミングで、自分が留学で苦労した体験から、日本人と外国人の留学生を支援する奨学金財団も立ち上げました。これらは今でも運営しています。

――校長に就任したのはいつ頃でしたか?

2016年頃からですね。校長歴で言うと8年ほどです。

学校経営にはどんな業務があるのでしょうか?「経営に関しては、営業やマーケティングや法務など、ほかの業種と同じです。学校の運営は教員と職員が連携し、教育と経営の二軸の両輪で走っているという感じですね」

――都築さんのビジネスの基礎となった経験を教えてください。

物心ついた時から家の中での会話は朝から晩まで99%が経営の話でした。MBAでやるようなロジカルな難しい話ではなくて、先代や両親は子供でも分かるような歴史上の出来事や日常生活での例え話を交えながらわかりやすく教えてくれました。

たとえば、新しく学校を建てようという計画が立ったときには「自分の目と足で見るのが一番大切」と、何度も何度もその土地や場所に足を運んでは「なぜこの場所に建てるのか」という思いや考えを、孟子の「天の時、地の利、人の和」になぞらえて分かりやすく教えてもらうことがよくありました。先代や両親は私だけじゃなくて周りのスタッフにも常にそういった考えを説いていたので、みんなで同じ目標に向かって物事を進めていくことの大切さも自然と学びましたね。

――なるほど。経営の話はもちろん、組織の在り方についても家庭で学んだという。

はい、おっしゃる通りです。関わる教員や職員を大切にして、学生を大切にするからこそ事業はうまくいくのだから、まず人を大切にしなきゃいけない。礼や仁に関しても事あるごとに考え方を教わりました。

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