専業主婦歴約15年! パーソナルスタイリスト・布施さえの起業物語

専業主婦歴約15年! パーソナルスタイリスト・布施さえの起業物語

約15年の専業主婦期間を経て、2年前に起業! 高校生と中学生の子どもを育てながら、パーソナルスタイリストとして第二の人生を歩み始めた布施さえさんにインタビュー。長いブランクを経て、キャリアなしで起業した40歳からのサクセスストーリーに注目です。

【布施さえプロフィール】
年齢:43歳/職業:パーソナルスタイリスト/家族構成:夫、子ども二人(16歳、13歳)
instagram @sae_fuse

topics40歳でファッション迷子、人生迷子

――布施さんがパーソナルスタイリストとして起業したきっかけを教えてください。

もともとはANAでCAを3年ちょっとしていたんですね。それで、結婚・出産を機に仕事を辞めて。そこから2年前までずっと専業主婦だったんです。起業したのは40歳ぐらいだったんですけど、40歳を過ぎるというときに、「残りの人生、あと半分ぐらいかな」みたいなことを意識するようになって。その残りの人生で自分の仕事を持ちたい、自分のやりたいことを仕事にしたいなって思ったのが、まずひとつですね。

布施さんのご家庭は転勤族。以前は5年おきに引っ越しをしていたそう。「下の子が幼稚園に入ったときに、ANAグループの子会社で少しだけマナー講師をしたこともありますが、すぐに引っ越しすることに。パート経験はその少しだけです」

それと同時に、やっぱり自分の人生において家族というものが一番大事。そこを第一優先にして自分のペースで働きたいとも思いました。上の人にお伺いを立てるんじゃなくて、自分で決めて自分のペースで働きたいって思ったのが起業したもうひとつの大きなきっかけです。長期で休みを取ったり、これから介護などの問題が出てくる可能性もあると思うんですけど、どこかにお勤めすると、そのたびに必ず誰かにお伺いを立てないといけないので。

――やりたいことをやるにあたって、最初からファッション系でと決めていたんでしょうか。

最初からスタイリストを仕事にしようと思っていたわけではありませんでした。専業主婦ってそれはそれで素晴らしい仕事だと思うんですけど、社会とのつながりがなくなるというのは感じていたんです。周りの同級生がキャリアを積んで、どんどんステップアップしていくじゃないですか。それを横で見ていて、昔は同じところにいたのに自分だけ置いていかれるみたいな感覚になったときがあって、自己肯定感が下がっていたんですよね。服も何を着てもパッとしなくて、ファッション迷子であり生き方迷子でした。

――特別にファッションやデザインの勉強をしていたというわけではないんですね。

若い頃から服は好きだったんですけど、アパレルの仕事に就きたいと思うほどではなかったです。40歳になったときに、このままなんとなく歳をとっていいんだろうか、もっと自分の可能性を見てみたいという気持ちになって、まずは外見をもっと魅力的に見せる方法があるんじゃないかというところからスタートしました。小物の合わせ方だったり、ファッションの基本って知らないなと思ったんですよね。それでスタイリスト養成講座というのを見つけて学んでみようと思って始めたっていう感じです。

 

turning point生涯現役のアメリカ人の生き方に刺激を受ける

――40歳が大きな転機になっているんですね。

35歳のときから40歳ぐらいまで、夫の仕事の都合でアメリカにいたので、そこで大きな影響を受けました。

そのとき私が関わった英語の先生や、学校の先生、ママ友もそうですけど、みんな60歳とか65歳で定年っていう考え方がなくて。60歳で定年してからまた新しいことを学び始めて、それこそ起業したり、ボランティアで働き続けたり、自分の好きなことをやったりしていて。ずっと自分のやりたいことを探して行動してるっていうのがすごく印象的で、自分もそういう生き方がしたいなって思ったんです。ファッションも自分が好きなものを着るとか、周りの目を気にしないとか、周りに流されない感じがものすごく素敵だなと思って。生き方もファッションもめちゃくちゃ影響を受けました。

――そして帰国後スタイリスト養成講座に通い始めて。これはどのくらい通ったんですか?

トータルで10ヶ月ぐらいでしたかね。私の場合は自分が好きなファッションをしてる個人の先生を見つけて。

――どのタイミングでスタイリストで起業しようと決心したんでしょうか。

最初は興味本位で受け始めた講座だったんですけど、10ヶ月もあると自分も変わっていくじゃないですか。だんだん自分のファッションが変わっていって、それに伴って内面も前向きになって、気持ちも充実してきたんですよね。講座のカリキュラムの中でモニターさんにスタイリングしたりもするんですけど、そうするとモニターさんも変わっていくのも楽しくて。ファッションって外見を整えるけど、内面の変化もめちゃくちゃあると感じて、それが楽しくなってそのまま起業するみたいな感じでした。

――パーソナルスタイリストの実際の業務内容はどのようなことをするんですか?

私の場合ですが、依頼を頂いたら、最初はコンサルティングをします。2時間くらいのヒアリングで、その方のライフスタイルやなりたい理想の姿とか、目指すべき方向性とか、好きな芸能人から映画作品までとにかくいろんなことを聞いて、その人の好みだったり考え方を聞いていきます。その後骨格診断をして、その人が目指したい理想像と似合う要素を掛け合わせて、どういう洋服を揃えていったらいいのかを最終的にお伝えします。

その次のステップとしては、ショッピング同行でワードロープを整える。実際に試着して、こういうポイントは良くない、こういうポイントが良いっていうのを体感してもらって、気に入るものがあったら買っていってもらうっていうのが基本的な流れですね。

「ヒアリングの後ショッピング同行を3、4回リピートするという方が多いです。それで大体春夏秋冬一通りのアイテムが揃いますね」ほかにも自宅にお伺いして使えるもの・使えないものを仕分けしてコーディネートを組む、クローゼット診断というメニューも。

――勝手に「この日に大事な予定があるから最適なコーディネートを教えてください」というようなものかと思っていました。

もちろん起業家さんとかで、プロフィール撮影やパーティーにあわせて衣装がいりますっていう方もいるんですが、一般女性の方も意外と多いんです。そういう方は着回しの効くコーデで提案して欲しいと言われることが多いです。

――服は毎日着るものですもんね。

そうなんですよね。でも自分で洋服をうまく見つけられないという人も結構多い。何を着てもフィットしないとか、なんか違うと感じて、服を買えないっていう方がすごく多くって。そういう方にパンツ4枚トップス4枚とかで全部組み替えれるように提案したりします。16パターンできるのでこれで2週間分ですよね。

ショッピング同行って、自分がウロウロ歩き回って探さなくていいし、お店に行ったら取り置きしてる商品がバーって出てきて、それをひたすら試着して買っていくので、めちゃめちゃ時短だし楽。だから時間のない子育てママの方も来たりします。「子連れでのんびりショッピングなんてできない」っていう方が、少しの時間子どもを旦那さんに預けて、その間に一気に買うみたいな。

 

life style失敗しても廃業届を出せばいいだけ

――実際に起業しようと思ったときに不安だったことはあります?

不安ではないんですけど、ちゃんとお客様がついて仕事って言えるレベルになるのかなとは思ってました。

――起業したいって思ったときに、家族はどんな反応でした?

夫は基本的に、私に対して何やっててもいいよって感じの人なんです。だから私もちゃんと夫に「起業する」って宣言しなかったんですよ。勝手に開業届け出しちゃって、勝手にスタートするみたいな感じで始めて。今でも私が何してるのかよくわかってないと思います(笑)。

子どもにも「お母さん起業するからね」とかそんなことは一言も言ってなくて。最近は「仕事行ってくるね」って言うと「ちなみに何の仕事してんの?」みたいな感じで聞くようになりました。スタイリストの仕事してるって言うと「楽しい仕事やね、なんか楽しそうにしてるもんね」みたいな反応です(笑)。だから私、起業することで家族に許可もらおうと思ったこともないし、それを宣言する必要も別にないと思ってて。失敗したら廃業届を出せばいいぐらいの感じでした。

――仕事に時間を使うようになった分、これまでやっていた家事などはどうしてるんですか?

キャパオーバーになると家がどんどん荒れていって、それがストレスになるんです。なので、家がぐちゃぐちゃになるほど余裕がないくらいに仕事を詰め込むということはしないようにしてます。おかずはちょっと減ってると思うんですけど(笑)。でもやっぱり子どもが大きくなったのが大きいですよね。

お仕事でのこだわりは?「とにかくお客様の声を拾うこと。私自身がおしゃれ迷子だったところから始まった仕事なのに、だんだん当時の悩みを忘れていってしまう。定期的にお客様の声を拾って、自分のサービスをブラッシュアップするようにしています」

――今後目標としていることはありますか?

仕事に関しては、自分が専業主婦で何のキャリアもないところから起業して自立するっていうところを叶えてきたので、将来的には自分もスタイリストを養成したりしていきたいですね。スタイリストって資格が必要なわけじゃないし、本人が頑張ろうと思ったら入っていける職業だと思うので、とっつきやすいと思うんです。キャリアがなくても自立できるようなサポートをできたらいいなって思っています。

自分の人生においては、家族第一っていうところは多分揺るぎなくずっとあって、家庭と仕事とバランスよく両方充実させたいなって思ってますね。いくつになっても退屈しない生き方をしていきたいし。アメリカ人って寄付とかボランティアとか、当たり前のようにやるじゃないですか。そういうのもすごい素敵だなと思ったので、今後は社会貢献活動をやりたいなとも思っています。

――最後に、日々大切にしている考え方を教えてください。

中学時代から大事にしているのは、「石の上にも3年」。楽しいことも楽しくないことも、とにかく3年以上は続けたいなと思っています。「やりたいな」ってずっと願い続けてたら、絶対チャンスが回ってくるっていうのは確信としてあって。回ってきたときにそのチャンスをつかめるように準備しておくことが大事だと思います。

 

全くキャリアのない世界で一から始めた布施さんのお話、いかがだったでしょうか? 40歳が人生の半分、という考え方も勇気を貰えました!

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