「アナウンサー30歳限界説」と言われることもある女性アナウンサーの世界。実際に結婚や出産で離職したあと、職場復帰を望むもなかなか叶わないということも…。そんなアナウンサー業界で新たな働き方を提案するトークナビ代表の、樋田(といだ)かおりさんにインタビューしました!
【樋田かおりプロフィール】
年齢:39歳/職業:株式会社トークナビ代表取締役・アナウンサー/家族構成:既婚、子ども1人
insta @toida_kaori
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topics結婚や出産でキャリアが絶たれる女子アナ
――株式会社トークナビの事業内容を教えてください。
「伝える力で企業の発展を支援する」ということに取り組む会社です。具体的には、「女子アナ広報室」という広報の代行事業と、アナウンサーをイベントの司会者にキャスティングする「女子アナ司会部」と、話し方の研修事業の3つ。伝える、聞くということを生かした事業をやってます。
――働いているのはアナウンサーの方だそうですね。今伺った業務をアナウンサーと二足のわらじで取り組んでいるようなイメージでしょうか?
そうですね、中には三足のわらじのアナウンサーもいます。アナウンサーは、一部タレント性を打ち出した売り方をしている人気アナウンサーもいますが、一般的な局のアナウンサーは会社員なんです。フリーになっても会社員としてのスキルを活かせる場所があればもっと長くキャリアを積めると思って、それが実現できる会社を作っている途中です。
――アナウンサーにも会社員としての業務があるんですね。どんなことをするのですか?
私の場合は最初に勤務したのが青森放送なのですが、全国的に視聴されているキー局とは違う、地方局と呼ばれているところなんですね。青森放送なら青森県というように、地方局はそのエリアだけで放送されていることが多いです。キー局のアナウンサーは話す仕事が中心になるのに対して、地方局のアナウンサーは企画をして交渉をして取材をして、人によっては映像の編集までするので、ディレクター職の割合が高いですね。
――知りませんでした。
表に出ているところだけを見ていると、話す仕事ばかりしていると思われがちですが、声以外のビジネススキルを持っている地方局アナが多いんです。
――トークナビのアナウンサーと、いわゆる「フリーアナウンサー」との違いは?
フリーアナウンサーというと個人事業主のアナウンサーのことを指すのですが、トークナビには企業の広報を担当する「広報アナウンサー」もいれば、正社員として働きながらイベント司会の現場に出るようなアナウンサーもいます。
トークナビでは一人一人働き方が違います。アナウンサーは現場に入ってナンボ、本人が現場に行って初めて仕事が成立する職業です。でもそれだと結婚したり子育てが始まると、続けていけないという悩みが出てきます。実際に、せっかく講師として活躍し始めたアナウンサーが出産でキャリアの断絶が起こるということがあって、それなら家でできる仕事を探そうと思い、一人一人を活躍させるための制度を作っていって働き方が増えていきました。今では地方在住で子育てをしながら週に何日か稼働するメンバーもいれば、オフィスに出社し子育てをしながら時短で働くメンバーもいます。
――樋田さん自身、キャリアの断絶を感じるような出来事はありましたか?
ニュースのキャスターにずっと憧れていて、31歳のときにやっとTBSでキャスターの仕事が決まったのですが、その何か月後かに妊娠がわかったんです。せっかく憧れていた理想のアナウンサー像に近づけたのに、番組を降板することになりました。
妊娠自体は嬉しいんですけど、こうしてアナウンサーは消えていくということを思い知った出来事でした。出産となれば一年は間が空いてしまうので、仕事をもう1回取り戻すのは難しい。先輩方からも、「子どもができる前に準備しておかないと仕事がなくなる」と教えていただいていましたが、自分がまさに今そのときだと感じましたね。