昨今、「女性が自分のキャリアをどう築くか」について考えることが、ますます重要になってきていますが、その上で大事なのが「キャリアプランを立てること」です。
この記事では、女性がキャリアプランを立てた方がいい理由や、キャリアプランを立てる際に考慮すべきポイントなどについて解説します。ぜひ、今後のキャリアを計画する際の参考にしてみてください。

そもそもキャリアプランとは？

キャリアプランとは、仕事に関して将来どのような道を歩みたいかを考え、それを実現するために立てる具体的な計画、行動指針のことを指します。女性の場合は特に、ライフステージの変化（結婚、出産、育児など）に柔軟に対応できるキャリアプランを立てることが重要です。

キャリアプランとキャリアデザインとの違いとは？

キャリアプランとキャリアデザインは似ているものの、やや異なります。まずキャリアプランは、理想の職歴を手に入れるための具体的な目標設定やその実行計画を指します。一方でキャリアデザインは、職歴だけではなく結婚や出産などといったプライベートも含めた人生計画のことです。

キャリアプランとキャリア形成との違いとは？

キャリア形成は、キャリアプランを実行する過程のことで、実際に経験を積み重ねていくこと自体を指します。キャリアプランが「これからやること」の設計図であるのに対し、キャリア形成はその設計図に基づいて実際に家を建てていくようなイメージです。

なぜキャリアプランを考える必要があるのか？

ここからは、仕事をする上でなぜキャリアプランを考える必要があるのかについて、解説します。

就職・転職時の企業のビジョンとの相違を確認するため

キャリアプランを持つことで、就職や転職の際に企業が提示するビジョンや方針と、自分自身の目指す方向性が一致しているかを確認できます。企業の求める人材像やキャリアパスが自分の目標に合致していれば、長期的に満足できるキャリアを築ける可能性が高くなるためです。

自己の目的や目標を明確にするため

キャリアプランを考える過程で、自分がどのような仕事をしたいのか、どのようなスキルを身につけたいのか、最終的にどのようなキャリアを築きたいのかが明確になります。目的や目標を明確にすることは、日々の仕事に対するモチベーションの維持にもつながるのです。

変化の激しい社会で生き残れる人材になるため

昨今私たちを取り巻く環境は、急速な技術の進化やグローバル化により、日々変動しています。年功序列や終身雇用が崩壊し、「新卒で入った会社に定年まで勤められる」「年功序列でキャリアアップできる」というケースは年々減ってきています。そのためみずから積極的にスキルを習得し、転職や昇進などの変化に対応することが求められているのです。そんな変化が激しい社会でキャリアプランを立て、今後の目標や方向性を明確にすることが、「長い社会人人生を安定させる」ことに役立ちます。

キャリアプランの立て方

①現状を把握し、自己分析をする

キャリアプランを立てるには、まず自分の現状を分析することが大切です。自分の強みや弱み、興味や価値観を理解することで、より具体的な目標を設定できるようになります。
また自己分析のためには、過去の経験を振り返り、自分がどのような状況で成果を上げやすかったか、また逆にどのような状況だとストレスを感じやすかったか、成果を出しにくかったか、ということを考える必要があります。

②短期・中期・長期の目標を設定し、方向性を決める

キャリアプランは、短期（１〜３年）、中期（３〜５年）、長期（５〜10年）とわけて目標を設定し、自分が将来どうありたいかというキャリアの方向性を整理します。短期目標は具体的で実行できる可能性が高いものがよいでしょう。たとえば「１年以内に新しい資格を取得する」といったものが挙げられます。
中期目標では、より高いポジションや専門スキルの習得を目指し、長期目標では、最終的にどのようなキャリアを築きたいか、例えば「部長職に就く」や「起業する」といった大きなビジョンを描くことが重要です。

③SMARTの法則にもとづいた目標設定

SMARTの法則のSMARTとは、Specific（具体的）、Measurable（測定可能）、Achievable（達成可能）、Relevant（関連性）、Time-bound（期限あり）の頭文字を取ったものです。目標設定のフレームワークとしてよく知られており、「具体的かつ達成可能な目標設定の考え方」としてビジネスのあらゆる場面で活用されています。

たとえば、SMARTの法則に基づくと、「３年間で営業成績を20%向上させ、管理職に昇進する」といった目標設定になります。SMARTの法則を用いることで、現実的で達成しやすい目標が設定でき、その目標に向かって計画的に行動できる可能性が高まります。

④行動計画を立て、書き出す

キャリアプランを実現するために必要となる、具体的な行動を計画します。どのようなスキルや経験が不足しているのか、それらを身に付けるためにどのようなことをすべきかを、できるだけ細かく書き出していきます。ロールモデルとなりそうな人のキャリアプランを参考にしてもいいでしょう。

【キャリアプランの例（営業の場合）】
・個人営業だけではなく、法人営業での経験を積む
・営業として管理職を目指す
・無形商材の営業にチャレンジする

【キャリアプランの例（事務の場合）】
・資格を取得し、専門性の高い事務職へキャリアアップする
・事務として管理職を目指す

キャリアプランのポイント

キャリアプランを立てるにあたって参考になることを、以下にまとめてみました。

年代別のキャリアプランのポイント

①20代のキャリアプラン

20代は、キャリアの基盤を築く重要な時期です。

この時期にどれだけ多様な経験を積むかが、将来のキャリアの選択肢を広げる鍵となります。自分の興味や適性を見極めるために、さまざまな仕事にチャレンジしてみるのが良いでしょう。20代のうちに様々な可能性を広げておくことで、30代以降で「自分のやりたいこと」にぐっと注力できたり、理想の働き方を叶えやすくなります。
また各種イベントやセミナー、社内外の勉強会などに参加し、積極的に多くの人と交流し、人脈を広げることも、後々のキャリア形成や視野を広げることに役立ちます。

②30代のキャリアプラン

30代はキャリアの方向性を具体化し、専門性を深めることが求められる時期です。

この時期をどう過ごすかが、今後のキャリア全体に大きな影響を与えます。30代では特定の分野でのスキルアップや専門性を高めることに注力してみてください。またリーダーシップをとったりマネジメントの経験を積むことで、管理職への道が開けてきます。結婚や出産などのライフイベントによって生活が大きく変化することも多い年代であり、仕事と家庭のバランスについて考える必要も出てきます。
そして40代以降にどのようなポジションにつきたいのか、どのようなスキルをさらに磨きたいのかを明確にし、それに向けて具体的に行動してみましょう。

③40代のキャリアプラン

40代は、キャリアの集大成を目指す時期です。

これまでの経験を活かし、組織内での重要なポジションを狙ったり、場合によっては独立や起業のために動きましょう。この年代では管理職や役員などの重要なポジションを狙うことが現実的な目標となり、組織全体のプロジェクトや戦略の決定などにも積極的に関わることが期待されます。
また一度キャリアを振り返り、長期的なビジョンを再確認してみましょう。定年まで20年近くあるため、これからのキャリアをどう築くかをあらためて考える必要があります。

職種別のキャリアプランのポイント

①事務職

事務職のキャリアプランにおいては、業務効率の改善や専門知識を深めることが重要です。例えば、経理や総務のスキルを高めることで、将来的に管理職や専門職としてのキャリアを目指しやすくなります。
また、ITスキルの向上も欠かせません。基本的なパソコン操作だけでなく、Excelのマクロやデータベース管理、さらにRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）のスキルなどを、積極的に習得してみましょう。

②営業職

営業職においては、まずコミュニケーション能力や交渉力の向上が求められます。営業成績を上げることはもちろん、顧客との信頼関係を築き、その関係を保つというミッションがあります。
営業職としてキャリアを積む中でリーダーシップを発揮し、チームのマネジメントを経験することも、キャリアプランの重要なポイントです。チームの営業成績を向上させるための戦略を立て、メンバーの育成やモチベーション管理を行うことで、管理職への道が開けます。

③エンジニア

エンジニア職ではスキルの向上と最新技術の習得が求められ、専門性を深めることがキャリアプランの基盤となります。
また技術的なスキルだけでなく、プロジェクト全体を管理し、効率的に進行させる能力を身につけることで、リーダーシップを発揮できるようになります。これにより、エンジニアとしての市場価値が高まります。

キャリアプランを実行・実現するためにはどうしたらいい？

立てたキャリアプランを実行、実現するために、どのようなことに気を付ければいいのかについて、２つのポイントを紹介します。

定期的に見直し、修正をする

キャリアプランは一度立てたら終わりではなく、定期的に見直し、必要に応じて修正することが重要です。人生は予想できない出来事が起こったり、行動してみないと分からないことがたくさんあるためです。
環境の変化や自身の状況の変化に応じて目標を修正することで、現実的かつ達成可能なキャリアプランを維持できます。半年に一度はキャリアプランを振り返り、新たな課題や目標を設定することをおすすめします。

モチベーション維持のために工夫する

キャリアプランを達成するには、モチベーションを維持することが欠かせません。達成したい目標を可視化する、定期的に自己評価する、または短期的な目標を設定して達成感を味わうといったことなどで、モチベーションを保つ工夫をしましょう。同僚や上司などと目標を共有し、進捗を報告し合うのもおすすめです。

まとめ

自分自身の将来を見据えて意識的に行動するために、ぜひキャリアプランを立ててみてください。
「キャリアプランを立てたら終わり」ではなく、時に見直すことが欠かせません。見直しをして軌道修正をしたら、それにともなってスキルアップなどする必要も出てくるかもしれませんが、柔軟に対応してみましょう。そして自分の価値観や目標を常に確認し、前向きに挑戦し続けてください。

※参照書籍・記事
女性のためのキャリアプランガイド: 未来の自分に会える 女性に贈るキャリアプランの魔法 （ひらじむ著・もやい堂文庫Kindle版)
https://leaders.seattleconsulting.co.jp/direction/smart/
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/68114/
https://www.rgf-professional.jp/insights/2023-03-what-career-development-is