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work style営業活動なしでも11年間仕事が途絶えない理由
――会社を設立したきっかけは?
独立したのは28歳のときですが、最初の2年近くはフリーで映像ディレクターをしていました。ただ、納品して公開されてを繰り返しているうちに、この先30年くらい商売をするのに、自分が好きでやっているだけでいいのだろうかと漠然と疑問が湧いて。寄付や政治活動のような直接的なことじゃなくても、何か社会のためになることがしたいと思ったんです。それを友人の女性経営者に相談したところ、「あなたなら会社をやった方がいいよ」と勧められて、30歳で立ち上げました。そこからあっという間に11年が経ちましたね。
――11年間仕事の依頼が来続ける理由はどんなところにあると思いますか?
実は弊社には営業マンがいないんですね。何かを売り込むということはこれまで一度もしたことがないですし、今いる社員も商談やアポの獲得だけを目指す業務はほぼしないです。では何に時間を費やしているかというと、二つあって。一つ目が制作にコミットすること。コンテンツが評価されて次の仕事をご依頼いただけるという一番良い流れが出来ていて、それがまわりまわって営業活動になっています。
――もう一つはどんなことでしょう?
組織作りです。クリエイティブの業界は野望を持った若者たちが入ってきますが、作りたいものが変わったら卒業するというように出入りも多いんです。その中で安定して顧客にコンテンツや企画を提供していくのであれば、組織が盤石な状態じゃないといけないと思うんですね。だから私も採用活動には積極的に関わるようにしていて、カジュアル面談にも参加しますし、転職サイトからスカウトを送る作業もしています。
経営者の仕事は、“仲間を作ること”“お金を集めること”“夢を語り続けること”の三つだと思っていて。組織を整え、財務体制を強化して、会社としてこういう社会を作りたいというミッションを掲げて語り続けていれば、勝手に売り上げはついてくるんです。
――ちなみに株式会社真面目のミッションとは?
「この一本で誰かの人生を変えていく」です。例えば映像を見て、東京に出てみようとか、ノルウェーに行ってみようとか、私たちが作った企画でひとつでも多くのきっかけを生み出していきたいと思っています。現実の人生はそのようなたったひとつの瞬間で変えられないことも多いと思いますし、もし人生が変わったとしても私たち作り手が感謝されるということはない。それでもこのミッションを胸にコンテンツ作りをしていけば、作っては消費されてしまう動画とは一線を画すコンテンツが作れるのではないかと信じて、制作をしています。