迷惑社員が予約の取れないアフヌン経営者に! 株式会社Kavally代表・永谷佳代子の起死回生

迷惑社員が予約の取れないアフヌン経営者に! 株式会社Kavally代表・永谷佳代子の起死回生

work style「センスないからやめれば?」壁に造花で起死回生

――起業した後はどのように事業を展開していったんですか?

最初の2年間ぐらいは今みたいな雰囲気とは逆のクール系のお店だったんですよ。でも全然流行らなくて、2年間毎日現場に出ていましたね。それも自分がお店に出たいからじゃなくて、なるべく人件費を減らすために。それでもどんどん資金ショートしてきちゃって、いつも閉店後に50分ぐらいかけて泣きながら歩いて家まで帰ったりしていました。「なんでこんな売れないんだろう」っていう感じでしたね。

――そこからどうやって流行っていったんですか?

父が経営者としては厳しい人で、決算書を見られたときに「これは儲かってないからただの社会貢献だね。お前センスないからやめれば?」みたいに、決算書をポイっとされてしまったんです。でもこれで辞めたらまた自分のことが嫌いな自分に戻っちゃうかもしれないから、潰れるリスクをとっても全部一新しないとだめだと思って。

そう思ったとき、起業したときと同じように、自分にしかできない価値は何かを改めて考え直したんですね。飲食店って9割くらいが男性経営者で、その中で人脈もお金も業者へのコネクションもない私がどうしたら彼らに勝てるんだろうと思ったとき、お客さんと一番価値観が近いということがダントツで勝てる方法だと思ったんです。それに気付いた瞬間に、まず壁に花をつけようと。一般的な飲食店なら男性も女性も年齢層も間口を広く取ってお客さんを増やしたいところを、その考えを全部捨てて、私や私の友達や私と価値観が同じ女の子たちだけが歓喜するお店を作ることにしました。普通はそんなこと怖くてできないと思うんですけど、倒産するくらいならやるしかないと思って。そうしたら3か月後にはもう予約が取れない店になりました。

ネットで安い造花を探して両面テープを貼るところから、今のGinger Gardenはスタート。「当時はまだ今ほどのクオリティではないですけど、おそらく日本でこのデザインが流行った原点だと思います」

――すごい。

それが2016年ぐらいのことなんですが、インスタグラムがFacebookの利用者を超えるかどうかというタイミングだったんです。私は当時もうインスタを利用していたので、まだ多くの企業が雑誌やメディア媒体に目を向けていた中で、かわいいものを作ったらこのスマホの中で拡散される時代が来ているっていうのを感じていて。スマホの中では“かわいいは正義”だから、見たことがない「ここに行きたい」を詰め込む作戦にしました。

――そういった、女の子の気持ちを高めるお店のアイディアは、どこから得ているのでしょうか?

移動中など手が空いた時間は全て、インスタ、Pinterest、RED、最近はSHEINやTemuのような通販サイトも見て、常に自分の心がときめくものをスクショしまくってますね。インテリアを見ることもあればカフェのかわいい写真でもなんでも、とにかく全部インプットしています。世の中には何も見なくてもゼロイチでアイディアを思いつく天才もいると思うんですけど、私はそうじゃなくて努力型。ほかの人が遊んでるときや寝てる間にも死ぬほど見ていれば、いいもの作れるよねっていう気持ちでやっています。でも単純にインプットするのが好きなんですよね、わくわくして。

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