「女性の尊厳を守る」というコンセプトを持った、レースが美しい下着ブランド「ナオランジェリー」のオーナー兼デザイナーである川嶋(栗原)菜緒さんにインタビュー。起業前の下積み時代のお話から、起業後の苦労、そして現在のライフスタイルまでお伺いしました。
【川嶋菜緒プロフィール】
年齢:40歳/職業:ナオランジェリーオーナー・デザイナー /家族構成:夫、子ども(ステップファミリー)
insta @naokurihara.naolingerie
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topicsヨーロッパのランジェリーに憧れて…ないなら作ると決意した23歳
――ナオランジェリーはどんなブランドなのでしょうか?
日本製の物作りにこだわった女性用の下着です。もともと中学生の頃から下着が大好きで。現在起業して11年目になります。
ナオランジェリーには「女性の尊厳を守る」というコンセプトがあります。私自身、下着と触れ合うことで癒されたり奮い立たされたり守られた経験があるので、そういう思いをメッセージとして商品に乗せて発信しています。
――癒されるとか奮い立たされるというのはイメージができるのですが、守られるというのはどんな感覚なのでしょうか?
幼少期の頃は家の中で居場所がないと感じることが多くて、家に帰るのがすごく怖いと思っていましたし、幼稚園、小学生、中学校で大人から性被害を受けた経験があって、どうしても自分の女性性を否定してしまいがちでした。それでもあるときに下着姿の自分を見て、自分のことを「いいじゃん」と少しだけ肯定できた瞬間があったんですよね。私って生きてても大丈夫って。本当にそれだけなんですけど、それが自分のお守りのように感じたことが原点にあります。
――では幼い頃からランジェリーデザイナーを夢見ていたのでしょうか?
実はそういうわけではなく、大学では政治学を勉強していて外交官を目指していました。学生時代から外務省の非常勤公務員のアルバイトをしながら外交官試験を受けていましたが、2回落ちてしまって、それに外務省の独特の空気感にも馴染めないと感じて挫折をしてしまったんです。
このあとどうやって生きていこうと考えたときに、「好きなことをしたら?」とアドバイスされて思いついたのがワインと下着。でもワインは飲む方が好きだったので、日本製の補正下着屋さんでフィッティングや販売の仕事を始めました。
――そこから下着業界でのキャリアがスタートしたんですね。
そうです。ただ、私が好きだったのはヨーロッパのアートみたいなランジェリーの世界観で、補正下着とは真逆だったんです。それに補正下着は上から下まで何十万円するものをセットで販売するという売り方で、それが心苦しくもあり性格に合っていないとも感じていました。ではどんな下着なら自分が心を込めて正々堂々と販売できるだろうかと、改めていろんなメーカーさんを見直しましたが、日本には私が売りたいものは存在していませんでした。それならば自分で作ってしまおうと思ったのが23歳のときです。
でも私はファッションの勉強をしていなかったので、いざブランドを立ち上げると言ってもどうしたらいいのか全然わからない。そこでまずマーケティングやブランディングを勉強する必要があるんじゃないかと思い、コンサルティング会社に勤めました。皆さんがイメージする通り、コンサルはとても厳しい世界で残業や休日出勤をいとわない環境。とにかく鍛えられましたし忍耐力がつきましたね。今思えば社会人としての下積み期間でした。