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future生産者にも愛や感謝を送れるバレンタインを目指して
なぜ私がよく「私がいなくなっても」とか言うかというと、チョコレートの歴史は約5,300年もあるんですよ。人類はカカオと5,300年も関わっているんです。そう考えると、たとえ私が100年生きたとしても、チョコの歴史からみたらわずか。私が生きている時間なんてほんのちょっとなんです。だからこそ自分が生きた時代くらいは、何か役に立つことができたらなんて思うわけです。例えばカカオ産地の問題は大きくて、私が生きている間に解決しないかもしれない。でも私が種をまいておいたら、次の世代の人が花を咲かせてくれるかもしれない、とかですね。
――チョコレートジャーナリストとして、今後どんなことを伝えていきたいですか?
私はチョコレート愛好家ですし、注目のチョコレートやショコラティエ、どんな新作や限定品が魅力的か、といった情報ももちろん出していきますが、それと同時に今後は、カカオ産地で起きていることもお伝えする分量を増やしたいと思っています。
私をインタビューしてくださった、ある雑誌のベテランライターさんが私に「バレンタインに、カカオ産地に関わる情報が、チョコレートと同じくらいの量になったらいいのに」と話してくれたんですね。つまり美味しいチョコの話だけじゃなくて、チョコの向こう側の話が増えればいい、ということで、私は本気で共感しまして。バレンタインが愛や感謝を伝える日だとしたら、電気も水道もない村で毎日カカオを育ててくれている、遠いカカオの国の皆さんにも愛や感謝を贈る日にしたい。昨年12月に私がプロデュースしたチョコレートが発売になったんですが、これはそういう思いで作ったもの。1枚買うと500円が自動的に支援になる、パッケージがおしゃれで、とびきりおいしい、支援先がはっきりしている、それらを全部クリアしたチョコです。メディアのみなさんにも、注目していただいています。
日本が最も多くカカオを輸入している国がガーナ。日本のチョコファンは感謝してもしきれない国なんですね。その国の多くのカカオ農家は、貧困から抜け出せずにいます。子どもが学校へ行くこともできず、生活を支えるためにカカオ栽培や収穫を手伝っています。むずかしい話に聞こえるかもしれませんが、チョコレートはそういう人たちによって成り立っています。「ANIDASOƆ−アニダソ」を一年に1枚でも買えば、500円がガーナのカカオ産地の応援になります。「美味しいチョコをたべて、カカオ産地を応援しよう!」という気持ちになってくれる人が一人でも増えるといいな、と思っています。
――最後に、日々大切にしている考え方を教えてください。
いくつかあるのですが、ひとつはスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業生に向けた有名なスピーチです。「Connecting The Dots」のくだりで、心に正直に行動すること、それをあとで振り返ると点と点が繋がっている、というような話です。
点と点がつながって、忌野清志郎さんは、私の番組に何度も出演してくれました。でも、なんのコネクションもないただの女の子が、将来有名なロックスターと仕事するなんて、そんなの無理だろうって誰もが思っていたはずです。でも振り返ってみると、あそこで行動したからこうなって、ああなって、と点が清志郎さんに繋がっていきました。その後も多くの点がつながって、チョコレートのジャーナリストになりました。これからの点が何に繋がるんだろう、と楽しみでもあります。
市川歩美さんには、愛沢えみりYouTubeサブチャンネルでもオススメチョコレートを紹介していただきました。ぜひ動画もあわせてチェック!
■市川歩美さん公式サイト
https://www.chocolatlovers.net/