フワちゃん出演のTVCMも話題のオンラインピル診療サービス「メデリピル」。そのサービスを展開するmederi株式会社代表取締役・坂梨亜里咲さんにインタビュー。自身の不妊治療がサービス立ち上げにつながったと語っている坂梨さんですが、取材時はなんと出産直前! 起業とライフスタイルについてお伺いしました。
【坂梨亜里咲プロフィール】
33歳/職業:起業家(mederi株式会社代表取締役)/家族構成:夫、妊娠中(9ヶ月)
instagram @aricherababy
Twitter @aricherababy
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topics「え、嘘?」7年続けた不妊治療で授かった命
――坂梨さん、今妊娠中なんですね!
そうなんです! ずっと不妊治療をやっていて7年目で、念願の。つわりがなくて普段通り働いているんですが、妊娠後期になって妊娠糖尿病になってしまったり、逆子かもという不安があって。毎週毎週いろいろありますね。
――妊娠がわかったときの心境を伺っても良いですか?
20代の頃から不妊治療で、顕微授精を行い続けてきました。着床前診断で、5個ある受精卵のうち正常な胚はひとつもなかったんですが、不妊治療を続けるか、ほかの方法で子どもを得るのか、そろそろ次のステップに進みたいので、いったん踏ん切りをつけるために着床可能性がわずかに残っている1つの受精卵を戻してみようっていうのが今年の4月でした。その受精卵が着床して、毎週産婦人科に行くとすくすく育っていて。正直、「え、嘘?」っていう感じでした。
もしも着床する確率が高いってわかっていたら、私はそのとき戻してないと思うんですよ。50%でも着床する可能性があるんだったら、起業もしてるので、出産の時期を慎重に考えていたかもしれないと思って。でも、そもそも私が不妊治療をしていないと起業もしなかったので、何もかもがタイミングなんだなと感じました。
――改めて、mederi株式会社のことを教えてください。
今5年目で、ようやく基盤ができてきた頃です。「より女性が生きやすく、暮らしやすく、働きやすい社会にむけて」というビジョンを掲げて、忙しい女性でも簡単に健康管理ができるプロダクトサービスの提供を行うことがミッションになっています。なので、自宅でできるケアをコンセプトにサービス設計をさせていただいています。
その中でも主軸事業がメデリピルというオンライン診療サービス。産婦人科医さんと生理に悩む女性をつなげるプラットフォームを運営してます。サービスを立ち上げて2年弱なんですが、現在の利用者数は20万人を突破しておりまして、いかに皆さんが日々生理に悩んでいるのかというところでニーズの高さを感じています。
――私自身低用量ピルユーザーなのですが、ここ数年でぐっとピルを使うハードルが下がり、利用するメリットを感じる人が増えた印象があります。
ですよね。私も高校生の頃、過度なダイエットで生理不順が起こったのをきっかけに、妊娠を望むまで10年ほど飲んでいました。当時は低用量ピルの効果って、生理不順を改善してくれるくらいにしか理解していなかったんですけど、ピルのおかげで20代に入って仕事もプライベートも両立できたなって感覚がありましたね。
work style考えたくない…不妊治療に年間300万円
――mederi株式会社を創業するに至った経緯を教えてください。
前職では「日本の女性をかわいくする」っていうビジョンをもとにwebメディアを運営していて、最後の2年間は子会社社長をやらせてもらっていたんです。ちょうど29歳のときに、このまま子会社社長を続けるのか、それとも違う会社でまた違うキャリアを積んでいくのかと自分の人生を考えた結果、一度の人生なので自分が一番お金も時間も使ったことで起業しようと思いました。
それで、自分がこれまでどんなことにお金と時間を使ってきたかを洗い出してみたら、最後の最後に「不妊治療」が出てきたんですよね。不妊治療をしてるって思いたくなくて、自分の中では無視していたんです。
――実際、不妊治療にはどのくらいお金や時間がかかっているのでしょう?
このことを考えていた時点で、26歳から29歳まで3年間不妊治療をしているんですけど、年間300万円ほど使っていました。それまではファッションが好きだったので、300万円もあったら靴とか服を買ったりしていただろうに、それを不妊治療にまわしてきたんですね。
それに不妊治療のクリニックって、1回行くとめちゃめちゃ時間がかかって。診療の1時間前くらいに行ってまず採血をして、診療時間も伸びて、お薬もらうのも時間がかかって、半日が潰れるんです。これって自分が大変だっていうだけの問題じゃなくて、今後いろんな生き方が増えて晩婚化・晩産化が進む中で、誰しもが体験しうる社会課題だと思いまして。だからこれを解決することに、30代は人生を注いだほうがいいかもしれないと思って、起業しました。
――坂梨さん自身のキャリア思考として、「肩書きがほしい」とか「成功したい」とかいうようなものはあまりなかったのでしょうか?
20代の頃は、キャリアを対価で見ることが多かったですね。30歳までに年収1,000万円にしたいとか、キャリア=年収で考えていた部分もありました。今の私の頑張り具合だと一般的にこれくらい市場価値があるという自分の中の思いに対して、会社がそれとイコールだったり、それ以上認めてくれてたら嬉しいな、成長してるなって感じていました。ただ、自分が社長の立場になると、年収以上に仕事のやりがい…どれくらいの女性を幸せにしたのかを考えられるようになりたいと思うようになって。社会を変えたらもっとやりがいがありそうだし、大きな課題があったほうが頑張れるタイプかもしれない(笑)。