女性起業家・戸田さと美 シングルマザーが起業の道を選んだ理由

女性起業家・戸田さと美 シングルマザーが起業の道を選んだ理由

妊娠中に突然シングルマザーとなった戸田さと美さん。1歳の息子を抱え起業し、今年で会社は14年目を迎えます。子どものいる女性が社会進出をするにはどんな問題があり、どんな選択肢があるのか。インタビューでお伺いしました。

【戸田さと美プロフィール】
年齢:42歳/職業:女性起業家/家族構成:息子あり(14歳)
instagram @satomitoda

topics1歳の息子を抱え起業して14年

――戸田さんの起業のきっかけは?

OL時代は4年ほどで、商社にて化粧品事業部でマーケティングを行っておりました。結婚、妊娠を機に寿退社。その後に突然夫に先立たれ、今後の人生をどのように進んでいくか悩んだ末に、息子が1歳の時、起業を決意しました。シングルマザー起業家として14年になります。

昨年は第1回シングルマザーコンテストにて40代部門グランプリ、総合準グランプリを受賞。写真は息子さんと。

――起業した会社ではどんなことを?

前職はマーケティングをしており、務める企業の商品の販促、PRを任されていましたが、自分で起業してからはその知識を活かし、様々な企業様のサービスや商品の販促のお手伝いをさせて頂いております。自分自身が出産したばかりで、多くの同じ悩みを抱える主婦の声を肌で感じていました。その知見も活かし、主婦マーケティングに力を入れましたね。

――シングルマザーとして出産に起業に。当時は大変だったでしょうね。

女性が子どもを出産しても働ける状況は、今よりもっと少なくて。大企業に勤めていたとしても辞めざるを得なかったり。マタハラという認識がされるよりもだいぶ前の時期なので、本当にやりづらかったです。そんな時代だったから、小さい子を抱えて勤めるっていう選択は取れなくて、それであればパソコン一つでどこでも仕事ができる時代に入ったので、時間を自分で自由にデザインできるような仕事がしたい、ならば起業!という道しかないだろうという感じでした。

起業してからも、今も、私の会社で働いているのはみんなお母さんです。お母さんが働きやすい会社を目指しています。スタッフはPTAや地域の集まりも積極的に参加しています。スタッフにも自分のスタイルで「働くことと子育て」と、自由に設計し、最大限に力を出せるよう環境を作ってます。

――子どものいる女性が働くにあたってどんな問題や足かせがあると感じていますか?

「子どもが熱を出した」など体調不良とき、会社を休みづらいなどの問題はありますよね。例えば子どもを病院に連れて行きたくてもなかなか時間が取れない。それで1日でも行くのが遅れたりすると罪の意識が出てきます。

子育てと仕事の両立には、「もっと子どものそばにいてあげたいのに、仕事が忙しくて100%で接することができていない」という、罪悪感のようなものがある。それは、世界中のどの国のお母さんにもある感情だと思います。仕事をしていると100%子どもに愛情を向けられないのは仕方ないのですが、そういう仕方のないことにさえ罪の意識を感じてしまう。それも事実。

そのバランスをどうとっていくかが大事ですね。出産とキャリアとのバランスをどうとったらいいのか。キャリアの女性たちにとって不安だったりするのはきっとそこですよね。

――戸田さん自身はどのようにバランスをとってきましたか?

私は片親なので、絶対に子どもの面倒は私が見なきゃいけないっていうのもあるし、企業に勤めるとバランスを崩すと思ったので、起業の道を選んでよかったなと今は思います。時間を自由に使えるので、普段忙しくて会えない分、子どもが小学校に入る前までは必ず月1回は旅行に行ったりして、そういう自分なりのバランスのとり方っていうのは心掛けてましたね。

 

turning point起業は派手なことばかりではない

――戸田さん自身、起業したときに不安だったことは?

ないですね。叶えたい人生を叶えられるし、失敗したとしてもその経験ってすごく価値が高いものだと思うので。失敗した経験をまた買ってくれる人がいるはずだと思っていたから、もし再就職することになったとしても大丈夫だろうって。私が経営者だったら一回失敗した人ってすごく魅力的だと思う。その失敗した理由がわかっていればですけどね。

――ご自身のビジネスの基礎になっている経験はありますか?

小さい頃からずっと書道をやっていて、最近になり、また始めました。それかな。展覧会に出す作品は大きいもので、扉くらいあったりもします。それを朝から晩まで書くことで集中力がつきます。

すごく地味な作業なのですが、起業も同じで派手なことじゃないから。ひとつひとつの仕事なり作品なりを、丁寧に、自分が良いと思えるまで頑張れるか。誠実さ、持続力、忍耐力のようなものは書道を通して身についたんじゃないかなと思います。

20代前半のOL時代、実は仕事は好きではなかったそう。「会社を始めたのが29歳で、30代は先輩の経営者さんからたくさんのことを学び実行する時期。40代の今は逆に新しいことにチャレンジしたい気持ち」

――お仕事をする上でのこだわりや、お仕事ルールはありますか?

期日をきっちりと伝えるとかかな。例えば資料を出すにしても提出期限は必ず伝え、しっかりと守る。この人はしっかりと約束を守る人だっていう信頼を積み重ねていくことが重要だと思っています。当たり前のことですが、その当たり前をしっかりと続けていく。その安心が信頼につながっていくと思うんで。あとは笑顔ですかね。普通のことですね(笑)。

――逆に普通のことをキープし続けるっていうことも大事ですよね。

そうですね。いつも安心できる人っていう印象を与えることが大事ですよね。その日の気分とかテンションとか、お客さんには関係ないことだし。当たり前ですけど、できなかったりする人もたまにいたりするから。

 

life style教育移住で親子の選択肢を広げる

――インスタのプロフィールに「色気美容の研究家」とある戸田さんですが、美容で気を付けていることはありますか?

添加物を極力取らない。かといって毎日手作りっていうのも難しいので、口に入れるものは選んで食べています。いつも朝は手作りのおにぎり屋さんに並んで、添加物が入っていないものを買っています。そして、運動は2日に1回は行います。血流を良くするためにサウナも入ります。

――血流を良くする。

血流悪いと顔も暗くなっちゃうし。いくら化粧品を使っても、地の肌の血色がよくないとあまり意味がないですよね。

毎日必ずやっていることは?「運動。定期的にジムも行きますが、かかと上げ下げのつま先立ちをお料理作りながらとかやってます」

――こういう美容に対する意識って何歳くらいから芽生えました?

最近なんですよ。一年くらい前に第1回シングルマザーコンテストに出たのですが、すごく刺激を受けまして。

――どういうきっかけで出たのですか?

たまたま主催者の知り合いから、「出てみない?」って言われたのがきっかけなんですけど。ミスコンとかと一緒で、ポージング、ウォーキングとスピーチがあって。コンテストで全身を見られるので筋トレを始めたんですけど、それで改めて「こんなに背中が丸いのか」とか、「こんなにお尻が垂れてるのか」とわかって。

――このコンテスト期間で結構体の変化はありましたか?

ありましたね。ウォーキングの講師に習って正しい姿勢と美しい振る舞いや、体の構造を改めて学べたのが今後の人生の宝ですかね。私もともとすごいO脚で、全然スタイルには自信持てなかったのですが、筋肉を意識するようになってからはどの筋肉を鍛えるとこう変わるという知識を得て、今ではO脚も治り、腰の位置も大分あがりました。

肉体的なことじゃなくて内面的にも変化があって、コンテストでは短い時間で自分のことを伝えなきゃいけないので、それが大変でしたね。自分の一番奥のパーソナリティの部分に触れる作業ってなかなかないと思うんですけど、自分の根幹に何があるかをすごく考えさせてくれる良い機会だったと思います。

――戸田さんの場合、自分の根幹に何が見つかりましたか?

自分の経験をもとに、同じように仕事と子育てと人生の選択に困っている人たちへ、色々な選択肢があるということを伝えていきたいという思いでしたね。

――戸田さんにとって一番思い入れのある選択はなんでしたか?

タイへの親子留学かな。すごく良かった。息子も人種や宗教の違いを感じられたと思うし、多様な文化に触れることで、日本の価値が中心なんじゃなくて、いろんな価値の中での日本人としてのアイデンティティを見つけてくれればと思います。ただ留学自体は1年だけだったので、もっと先のことまで考えられたらよかったなと思いましたね。そういう経験もふまえて、日本に教育移住という選択肢をもっと広めたい。今後はそのサポートをする事業もやっていこうと思って動いています。

――教育移住というものがあるんですね。

例えばギフテッドだったり、日本の教育に居づらさ感じるお子さんやお母さんはいると思いますし、それ以外にも語学やグローバリゼーションの面でも世界から日本を見る経験を子どもに与えたいと思うお母さんは多いと思うんです。今リモートできるお母さんも増えてきているので、子育てに選択肢を増やすっていう意味でも取り組んでいきたいですね。

それに教育移住は富裕層の人だけじゃなくて、選び方もいろいろあって。上を求めれば名門校もたくさんあるけど、日本以下の費用で生活できるところもある。教育移住だけでもいろんな選択肢があるっていうのを広めたいですね。

――最後に、日々大切にしている考え方を教えてください。

「柔軟に物事をとらえる」。柔軟な捉え方が新しいアイディアに生まれ変わりますし、人間関係もそうですよね。あとは今の自分から、前後1年くらいでとらえてみたり。抽象的ですけどそんな見方を大事にしています。

 

教育移住のプロジェクトは、この夏から少しずつスタートしているそう。お母さんはもちろん、出産前の女性にも希望が持てるインタビューでした!

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