夢は世界征服!AIを活用し子どもに誇れる大きなサービスを作る 株式会社ビースポーク代表・綱川明美

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work style空港での導入事例は世界初! 世界に広がるチャットボット

――起業の際のお金について、2,000万円の投資を受けてから会社を辞めたとのことでしたが、事業計画はすぐにできたのでしょうか?

1、2か月くらいで作りましたが、今のスタンダードでいうと、10%くらいの出来栄えで…(笑)。ただ当時はスタートアップの数も少なかったですし、最終的にはここまで熱い思いを持っている人はなかなかいないということで応援していただきました。

「事業計画の資料は、見た目はキレイに作っていても、中身が詰まっていたかというとそうではなかった。最初はとりあえず当ててみて、フィードバックを回収して修正することが大事だと思います」

――では事業内容はどのように固めていきましたか?

いろいろな方にご支援いただき、ブレストしながら作り上げていきましたが、一番はユーザーインタビューの実施です。渋谷や六本木の交差点でスーツケースを持った旅行客を追いかけまわして、インタビューしましたね。「観光案内するからお願い」って。その場でサービスに登録していただいて、後日またお会いして、観光案内をしながら意見をいただいていました。毎日6、7組はインタビューして、友達もたくさんできましたし、楽しかったです。

――事業やサービス内容が安定してきた転換点はありますか?

BEBOTについてお話すると、創業当時にはまだChatGPTも存在せず、「AIチャットボット」と言ってもほとんど理解してもらえませんでした。転機となったのは2017年、成田空港に採用いただいたことです。空港から「インフォメーションカウンターの混雑を緩和したい」というご相談をいただき、国際空港でチャットボットを導入する世界初の事例となりました。成田空港は利用者数が非常に多いため、AIを学習させるためのデータが当初から豊富に集まり、他社にはない大きな強みとなりました。その後「成田空港が使っているなら安心だ」という声とともにお客様が少しずつ増え、2019年には日本政府にも採用いただき、一気に海外へと展開が広がっていきました。

――もうひとつの外国人労働者研修DXは、いつ頃から始まったのでしょうか?

2024年からです。きっかけは能登半島地震(2024年1月1日発生)。珠洲市様も当社の観光向けチャットボットをご利用いただいていたため、震災発生後には住所付きのレスキュー依頼が多数チャットボットに届きました。当社では人間のオペレーターも抱えておりますので、救急に電話して対応しました。ただ、その後にわかったのは、道路が分断されてレスキュー車が現場にたどり着けないケースや、人員不足で対応が不可能なケースなど、どうしても人間でなければできない仕事が一定数残っているということでした。そして、その仕事に携わる人材が圧倒的に不足しているという現実でした。

そこで、当社が持つアセットを活用して何かできないかと考えた結果、たどり着いたのが、「外国人労働者が即戦力になるまでの時間をAIで大幅に短縮する」という発想でした。日本に来る前からトレーニングを受けられれば、入国した時点で即戦力に近い状態となり、そのまま現場に出ることができます。震災後の復興も、そうした仕組みがあればもっとスピーディーに進んだのではないか……そうした思いがこの事業の原点です。実用化までに約半年、事業として運用してからは1年ほどですが、現在ではこの新規事業の売上が弊社全体の売上の半分以上を占めています。さらに、法改正により特定技能の対象業種が12分野から16分野へと拡大したことも追い風となっています。

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