夢は世界征服!AIを活用し子どもに誇れる大きなサービスを作る 株式会社ビースポーク代表・綱川明美

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work style一度はサラリーマンを目指すも起業の道へ

――では起業のきっかけは?

フィデリティに勤めていた頃、夏休みの旅行での体験がきっかけでアイディアが浮かびました。旅行中に不便を感じ、「これを解決できるサービスはないのだろうか」と調べてみたのですが、見つからなかったんです。それなら自分で作ろうとスタートしました。ひらめいたあとにすぐに準備を始めて、投資家さんから2,000万円が振り込まれたのを確認して、すぐに会社を辞めました(笑)。

――そのときに思いついたアイディアは、具体的にはどんなものだったのでしょうか?

新しい場所にお出かけしたときに現地に知り合いがいると、ガイドブックに載っていないような体験ができるのがとても好きで。ただ世界中どこでも案内してくれる人がいるわけではないので、ならばそれがデジタルで再現できないかと思ったんです。最近はローカル体験に特化したサービスも増えましたが、私が事業アイディアを思いついた2015年には全く存在していませんでした。当初はトリップアドバイザーの穴場版のようなサービスを想定していて、どうやってお金を稼ぐつもりだったのかもわかりませんが、絶対にいけると思って始めましたね。

――ほかのwebインタビューで、もともと会社員を目指していたとおっしゃっていたのを拝見しました。起業をしようと思っていたわけではなかったのでしょうか?

私の家庭は父も母も事業をやっていたので休みが不定期でした。両親は夏休みもほとんど日本にいませんでしたし、母は幼稚園以降卒業式も一度も来ていません。ですので、スケジュールがわかりやすい生活に憧れていて、絶対にサラリーマンになりたいと思っていました。

でも実際に働いてみると、自分には向いていないと感じる場面が多くありました。たとえば、無駄が多い業務を改善したくても、業務の範囲外であれば手を出せない、既存のルールに従って業務を進めなければならない……それが会社の常識ですよね。そうした状況に納得できず、「ならば自分でやろう」と考えるようになりました。またフィデリティで一緒に働いていた友人から、「君も僕も、普通の人より努力して勉強し、仕事もしてきたはずだ。それなのに、やりたいことを我慢して努力するのは、誰かが作った限られたポジションを奪い合うためではなくて、それを作る側に回るためだったはずだ」と言われてハッとしたのです。とはいえ、すぐに仕事を辞めて起業するようなアイディアは何もありませんでした。その頃から、アンテナを張ってチャンスを探すようになりました。

――旅行でアイディアが急に降りてきたのも、それまでにアンテナを広げて情報をキャッチしたり、自分の気持ちの整理があったからなのでしょうね。

そうかもしれませんね。これも忘れられない一言なのですが、高校時代の先生に言われたことで、「ひらめきというのは、点と点がつながって線になった瞬間に起きるもので、人間にとってこの点というのは経験の数だ」と。旅行に出かけたり、好きな人と時間を過ごしたり、そういう経験を自分の中の引き出しにたくさん貯めていくと、良いことがあると言われたんです。私の中でそれが溢れた瞬間に、点と点がつながって起業しようと思い立ったのだと思います。

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