最近では検索替わりにAIに聞くことが当たり前。そんなAIを活用した事業に2015年から取り組み、現在は成田空港をはじめ多くの交通機関や自治体でAIチャットボットが導入されている、株式会社ビースポーク創設者・綱川明美(つながわ あけみ)さんにインタビュー。起業の背景から、シングルマザーで出産した息子さんとのエピソードなどを伺いました!
【綱川明美プロフィール】
年齢:38歳/職業:株式会社ビースポーク創設者・代表取締役/家族構成:息子(3歳)
X @akemitsunagawa
目次 [閉じる]
topics多言語対応を強みにAIを活用した事業を展開
――株式会社ビースポークの事業内容を教えてください。
AIを活用した事業を行っています。ひとつ目が「BEBOT」で、いろいろな質問に多言語で回答することができるAIチャットボットの開発と運用をしています。BEBOTは自治体や空港などでご活用いただいており、たとえば市役所のwebサイトを開くと右下にポコッと現れるチャットなどで、目にしていただくことがあるかと思います。
ふたつ目が、外国人労働者の研修DXです。昨今の日本では、労働力不足のため外国からブルーカラー労働者を連れてくる会社が増えてきています。ただ、言語の壁により、技術の指導が十分に行えないことが課題です。そこで弊社では、スマートグラスを活用して多言語研修動画が作成できる技術を提供しています。現場の職人さんに、マイクとスピーカーが内蔵されたスマートグラスをかけてもらい何日か作業を録画し、それを我々の生成AIプラットフォームに入れますと、自動で多言語の研修動画が出来上がるんです。ホテルや介護、建設、製造、造園など、人が足りない業界すべてで活用できます。

多言語対応がビースポークの強み。「創業当初は外国人観光客に向けていたので、日本語は対応していませんでした。日本語のチャットボットを始めたのはコロナ以降です」
――起業前のご経歴について教えてください。
2009年にUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)を卒業して帰国したのですが、当時世の中はリーマンショック後の大不況でした。それにも関わらず、何を思ったのかオーストラリア系の投資銀行に入社し、機関投資家向けの日本株のお仕事をしていました。その後は少しだけ自営業で株のトレーディングと海外企業の日本進出のコンサルティングを提供し、さらに企業で海外進出のコンサルティングを経験して、2015年1月からはフィデリティというアメリカの資産運用会社に入りました。
――もともと金融業界を目指していたのでしょうか?
いえ、全く。UCLAには国連やIMF(国際通貨基金)のような国際的機関で活躍した先生がたくさんいらっしゃるので、私も国連に行きたいと思っていました。ただ国連は最初の2年間はインターンシップで、その先も入れるかどうかはわからないということがわかって。先生ともお話を重ねた結果、お金を稼いで寄付したほうが世の中のためになると思い、金融業界に進みました。