「子どもを迎えてよかった」と感じてほしい、助産師と家族をつなぎ子育てに対してポジティブになれる社会へ 株式会社Josan-she’s代表・渡邊愛子

「子どもを迎えてよかった」と感じてほしい、助産師と家族をつなぎ子育てに対してポジティブになれる社会へ 株式会社Josan-she’s代表・渡邊愛子

お産や女性の健康にまつわるさまざまなサポートをしてくれる専門職・助産師。自身も助産師として働いた経験を持ち、現在は株式会社Josan-she’sの代表を務める渡邊愛子(わたなべ あいこ)さんにインタビューしました。起業までの経緯や、渡邊さんの働き方の根底にある考え方などを伺いました。

【渡邊愛子さんプロフィール】
年齢:35歳/職業:株式会社Josan-she’s代表取締役/家族構成:夫、子ども二人(小5、小2)
insta @josan_shes
X @aiko_josanshes

topics専門職なのに働けない⁉ 助産師の新たな雇用を創出

――株式会社Josan-she’sの事業内容について教えてください。

私たちの会社は、助産師をはじめとした女性専門職の働き場所を増やすという取り組みをしています。助産師は看護師資格も併せ持つ女性の一生に寄り添えるスペシャリストとして、妊娠・出産だけでなく、更年期含めてサポートする仕事です。それなのに働く場所は産院などに限られていて、約半分は休眠してしまっている現状があります。

そんな彼女たちに様々な仕事の仕方を提供できれば、自分の身体や子育てに悩むご家庭に幅広く手を差し伸べられるのではないかという考えのもと、助産師の人材サービス、産後ケア施設の運営、ご家庭への訪問サービス、LINEでのオンライン相談などを展開しています。将来的には「妊娠したら、まずここに来ればいい」と思われるような、病院・産後ケア施設にもアクセスできる一気通貫のサービスを目指しています。

現在会社は4年目。2025年2月には3回目の資金調達も達成。抱えている助産師の数は1,000名を超える。登録している助産師は、自宅でオンラインサービスを提供したり、スポットでシッターをしたり、日帰り産後ケア施設で働いたりなど、複数の働き方をしている。

――渡邊さんも助産師資格をお持ちですよね。

そうです。6歳離れた一番下の妹をお世話したのがきっかけで、助産師を志しました。資格を取ってからは、大学病院に勤めて、自分の出産を機にクリニックに転職しお産をとって、という助産師のよくあるルートをたどりました。

――起業をしようと思ったきっかけは。

ひとつは、二人目の子を産んだときに、子どもの健康面の問題で保育園に預けられなくて、仕事をしたいのにできない状態になってしまったことです。産院以外ではこの資格を活かして働くことができないということを実感して、自分のキャリアを考えるきっかけになりました。

もうひとつは、自分が子どもを産んだときの経験ですね。助産師という立場の時は、お母さんたちに産後困らないようにいろいろな知識を詰め込んで「頑張ってね」と送り出して退院いただいていました。ただ、実際に自分が出産する立場になってみたら、初めてのことの連続で。ただでさえ寝られず睡眠不足の状態で、見通しもうまく立てられない状態が想像以上に大変で、正直戸惑いました。分娩は助産師と医師の立ち合いのもと万全の状態で行うにも関わらず、産後から急に一人にされてしまうということも、子育てする立場になるとこんなにも心細いのだと衝撃を受けて、ちゃんと専門家とともに子育てを立ち上げられる環境を作っていくべきだなと考え、会社を立ち上げました。

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