株式会社Sworkers・坡山里帆 私が起業で叶えたいこと「ルールをつくる、女性をふやす。」

株式会社Sworkers・坡山里帆 私が起業で叶えたいこと「ルールをつくる、女性をふやす。」

work style女性が前に立てる支援をスタート

――経歴を伺って、Sworkersの事業はいわゆる人事の領域になるかと思うのですが、今までやってきたこととは領域が違うのでは?

全然違いますね。学生時代に採用学という学問を学んだくらいで、興味はありましたが未経験です。

――なぜ未経験の領域で起業しようと思ったのでしょうか?

私は常に新しいことに挑戦したいという気持ちがあります。やったことのないことに挑戦するのが面白いと感じるタイプなんです。これまでスタートアップ企業への投資を行ってきましたが、起業家が直面する課題の多くは「お金」と「人」の問題だと感じています。投資家として活動していたときも、「良い人材がいないか?」と相談を受けることがよくありました。だからこそ、起業家として自らその問題に向き合いたいと思ったんです。

――タイミングとして、2023年だった理由はありますか?

もともと30歳までにはどうやっても起業しようと思っていたんです。特に年齢に理由はありませんが、節目だからそのぐらいかなという感じでした。

――起業するにあたって、どんなことから手を付けていきましたか?

まずは先に会社に「辞める」と言いました。何をするかは決めていなかったんですけど、担当者が自分しかいなかったし、引継ぎや部署の進退には責任を持ちたいなと思っていて、そのためには長く見積もって1年はかかるかもしれないので、29歳になってすぐに上司に言いました。

「どのドメインで起業しようか決めるには半年くらいかかりました。それと並行して、退職前に先に会社の設立の準備も進めていましたね」

――Sworkersのもうひとつの事業として、今年から新しく「ルールをつくる、女性をふやす。」Project:Fがスタートしました。これはいつ頃から企画していたんですか?

ちょうど去年の7月頭ですね。これまで、女性がリーダーとして前に立つ機会が少ないことに違和感を感じていました。ですが、女性にはもっと活躍の場が広がる可能性があると信じていて、いつか、女性が自信を持って前に立ち、自分らしく挑戦できる環境を支援したいと考えていました。そんな中で、去年の7月にカンファレンスで多様な主体によるスタートアップ支援事業TOKYO SUTEAMという事業を知ったんです。政府が日本にスタートアップを生み育てるエコシステムを創出し、第二の創業ブームを実現するために制定したスタートアップ5カ年計画を打ち出しており、その中で東京都が、スタートアップや起業家を増やし質を高めるという取り組みの協定事業者を探しているというものでした。ちょうど応募項目の中に女性起業家の輩出や育成も盛り込まれていて、年に一回の募集の締め切りがその2週間後だったのですが、自分がやるべきことはこれかも、という気持ちが沸いてきました。

同時に、ある出会いが大きな転機となりました。この人となら、世界を動かせるかもしれないと思ったんです。その方から、ビジネス経験のない女性をゼロから育て、プロダクトの開発から資金調達まで支援したという話を聞き、詳しく伺うと、すべて体系的に教えていたことがわかりました。

私自身が知りたかったことを、もっと多くの女性に広めることができれば、新たな起業家を生み出せるのではないか…そう考えて誕生したのが”Project:F”です。今回、起業を目指す方から235件もの応募があり、VCの方々からも「こんなにも多くの人が眠っていたのか」と驚かれました。誰も注目していなかった可能性に挑戦し、それを形にしていく。そんな取り組みを支えてくれる存在がいることは、とても心強いです。

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