学校給食を通して社会課題解決に向き合う 株式会社東洋食品 専務・荻久保瑞穂

学校給食を通して社会課題解決に向き合う 株式会社東洋食品 専務・荻久保瑞穂

future海外展開に地域の食のインフラ…学校給食の今後とは?

――お仕事をする上でのこだわりはありますか?

いつも社員に言っているのは、「物事の優先順位はお客様、会社、自分」でそれを絶対に間違えないようにということ。世の中で不祥事を起こしている会社はこの優先順位を間違えていることが多いと思います。逆にこれさえ守っていれば大きな問題は起きないはずです。

それから当社の社是が「信頼」なのですが、給食の仕事はお客様との関係が深くて長く、1回の契約は3年間です。そこで信頼関係を築くことができれば次の3年間もお任せいただける可能性が高まります。お客様との関係を長く続けるためにも、毎日の給食提供をしっかり行うことを大事にしています。

――今後の展望を教えてください。

海外で事業を展開したいです。給食の仕事は社会貢献ですので、社会課題を解決するのも当社の使命です。これまでは日本の子どもたちの成長と健康に関わる仕事をしてきましたが、海外には貧困問題や栄養課題を抱える国も多いです。給食は日本の健康長寿の基礎を作っているもの。給食を通して食育がなされているので、日本人には子どもの頃から栄養バランスの取れた健康的な食生活を送るという習慣が身に付いていると思います。ですので、特に新興国の栄養課題に対して、日本の学校給食の仕組みを導入して、課題解決のお役に立つことができればと思っています。

給食センターは災害対策の拠点となり、避難所となったり炊き出しも行うそう。ほかにも食品ロスを削減する取り組みとして、普通なら捨ててしまうようなキャベツの芯を細かく刻んで調理に使うことも。今後は地域の食のインフラとしても給食が活躍しそう。

少子化により今後は学校給食のマーケットは縮小していくと思います。だから海外への進出が新しい取り組みの一つですし、国内においては、学校給食だけでなく保育園や福祉施設、夏休みの学童の給食も提供する、「地域の給食センター」を運営したいです。現状は、ニーズはあっても、省庁の管轄の違いなどにより事例としてはわずかです。まずは規制緩和や柔軟な対応に積極的な自治体様で前向きに検討していただけたらと思っています。

――最後に日々大切にしている考え方を教えてください。

「着眼大局」。物事を大きい視点で捉えて大局を見るということです。目先の細かいことにこだわると全体が見えなくなり、何のためにその仕事をやっているのか分からなくなってしまうので、常に大きな目線で物事を見て、重要なことをおろそかにしないようにということを心掛けています。20年前に大学院の指導教官が常におっしゃっていた言葉なのですが、今経営をする上でもすごく大事なことだと感じますね。

同じく大学院の指導教官から言われた言葉で、「現場・現物・現実」の三現主義も大事にしています。これだけ会社が大きくなるとだんだん現場の声が届かなくなってしまうので、机上で判断するのではなく、たくさん現場に行くようにして、現場の人の声を聞いて現実がどうなっているのかを見るようにしています。

 

私たちが知っている給食の枠にとらわれず、新しい取り組みに挑戦しようとしている荻久保さん。給食の活用は働く女性にとってもプラスになるはず。今後の展開が楽しみです!

■株式会社東洋食品の公式サイトはこちら
https://www.toyo-foods.com/

 

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