全国43都道府県で学校給食を提供する株式会社東洋食品の専務取締役・荻久保瑞穂(おぎくぼ みずほ)さんにインタビュー! 金融業界から給食業界へのキャリアチェンジの裏側、学校給食を通じて今後取り組みたいことなどを伺いました。
【荻久保瑞穂プロフィール】
年齢: 42歳/職業:株式会社東洋食品 専務取締役/家族構成:既婚、子ども3人(6歳長男、4歳の長女次女)
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topics日本の小中学生の6人に1人が食べる学校給食を作る
――荻久保さんが専務取締役を務める、株式会社東洋食品の事業の内容を教えていただけますか?
東洋食品は学校給食専門の会社です。全国43都道府県で事業を展開し、1日142万食を調理しており、日本の小中学生の6人に1人が当社の学校給食を食べていることになります。58年前に私の祖父が創業し、現在は父が社長をしていますが、創業以来食中毒ゼロを継続しています。
学校給食の会社は数多くありますが、当社のように全国展開をしていて大型の給食センターを運営する会社は多くはありません。給食には自校調理方式といって学校の給食室で作るパターンと、センター方式といって給食センターでまとめて作り複数の学校に配送するパターンがありますが、当社はその両方を受託しています。
――荻久保さん自身は、以前は別の仕事をされていたとか。
もともと大学院を修了してから金融業界で8年間働いていました。35歳のときに父から、「そろそろうちの会社に来てくれないか」と言われて、2016年に東洋食品に入社したという経緯です。
――祖父の代から会社を経営されていたとなると、子どもの頃から「跡を継いでほしい」というような話をされることも?
あまり言われませんでしたね。父からは、あくまで「瑞穂のキャリアの選択肢のひとつとして、跡を継ぐというのもあるよ」という言われ方をしていました。ただ、自分自身は20代後半くらいから、ゆくゆくは跡を継ぐのだろうなと意識はしていて。父も35歳のときに東洋食品に入ったので、自分もそのくらいの年齢で入るのだろうと思ってはいましたね。
――金融業界に未練はありませんでしたか?
ありました!(笑) 当時はウエリントン・マネージメント・ジャパン・ピーティーイー・リミテッド(以下、ウエリントン)で働いていて、やりがいを感じていたので、本社のあるボストンに赴任したいなとも考えるほどでした。
――金融業界から給食業界に来て、違いを感じることはありましたか?
たくさんありましたね。前職では、いかに無駄を省いて効率的に仕事をするかが重視されていましたが、給食の仕事は属人的で、マンパワーで乗り切るようなところがあります。ですが逆に言えば、改善の余地がたくさんあるなと思いました。
給食の現場は今人手不足が深刻なので、これまでと同じ仕事の仕方ではなくて、昨日よりも今日うまくやるにはどうしたらいいのかを常に考えて、改善してほしいということを従業員に言い続けています。