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mission事業をやる理由は「自分がやらないといけないことであるか」
――私自身、ハヤカワさんを知ったのは2019年頃の生理に関する発信からでした。「ILLUMINATE」を立ち上げたり、生理用品を作ろうとする活動をされていましたが、そういったことに関心を持ったきっかけは?
女性向けの下着のブランドをずっとやっていたので、基本的に販売員の子もデザイナーの子もほぼ女性だったので、自分以外の女性をマネジメントする期間がすごく長かったんです。実際にマネジメントしていく中で、女性上司に対しても生理で休むって言いづらいんだなとか、毎月同じタイミングで休んでるけど多分生理が理由なんだろうな、みたいなことを感じて。私自身は、生理がすごく軽かったり、ほとんど生理にまつわる悩みってないんですけど、自分が今まで気付いていなかっただけで、実はこんなペインが潜んでたんだっていうことに驚きました。そこで課題感を感じて、生理や女性の体について取り上げてみたいと思ったのがきっかけですね。
――最初に取り組んだのが、生理用のナプキンを作ることですか?
でも、作るのが難しくて。具体的にどんな困難があったかというと、生理用ナプキンって基本的にワンサイズにつきひとつのマシンが必要なんですけど、一台で数百万円とかするので正直やれないなと。OEMでも探したんですけど、そうするとクオリティ的にも金額的にも既存品の方がいい。いろんな会社にかけ合ったりしたものの実現しませんでした。その後に生理用品をセレクトショップ的に販売したりしていたんですけど、その中でユニ・チャームさんと「#NoBagForMe」というプロジェクトを始めたのが世間的には一番話題になって、変化するきっかけになったのかなと思いますね。
※「#NoBagForMe」とは…生理用品を買うときに紙袋を用意されるというような、女性の身体や生理に関することをタブー視するような風潮を変えていこうというムーブメント。
――ユーグレナでは妊娠や出産にフォーカスした事業(『SOLUME』)を手掛けられてましたよね。同じ女性にまつわる課題でも生理とは違った切り口ですが、関心のあることが変化していったことに何かきっかけはあるのでしょうか。
自分としてすごく重要視しているのが、「自分がやらないといけないことであるか」という部分なんですね。生理に関しては、自分たちがやらなくても今後良くなっていくだろうという見通しが立ったと思っています。例えば月経カップを大手生理用品メーカーが発売したことで、コストが下がって消費者さんが手に取りやすい形で展開されてきていたりというふうに、大手も動き始めています。ここをあえて私がやることで、高単価なのにユーザーに大きなメリットを提供できないようなことになってしまうのなら、やらなくてもいいんじゃないかなと感じて。だからまだ課題感があるところとして、妊娠・出産や更年期といったところに興味を持ち始めたという感じですね。
――今28歳という若さで、正直ピンとこないようなお話もいろいろ出てくるのではないかと思うんですけど、どうやってその課題を理解をしていっていますか?
自分のこれまでの10年間の起業家人生を振り返ると、前半に関しては自分の現体験から来た事業をしているんですよね。feastは誰かに言われたわけではなく、自分自身が下着のサイズがないから欲しいというところからスタートしているので。でも後半はそうではない。生理に関しても、言ってしまえばピンとは来てないわけです。自分自身が生理でつらいというわけではなかったので。そうやって徐々に自分の現体験から自分以外の人の課題で事業を作っていくというふうにシフトしてきているんですよね。なので、今やっていることも一貫性があるなと思っています。
自分が体験したことがない課題であれば、当事者の方の意見や、自分の周りの友達で具体的に「○○さんだったらこう感じてるのかな」「○○さんがこうしたからこういう課題あるな」とか、そういったところから着想を得てやっている部分が大きいですね。