「ダサくない仕事をする」ハヤカワ五味、起業家人生10年を振り返る

「ダサくない仕事をする」ハヤカワ五味、起業家人生10年を振り返る

キリトリ線ストッキング、胸が小さい女性向けのランジェリーブランド…古くからインターネットに親しんでいる人にはこれらの言葉に聞き覚えがあるのではないでしょうか。今回はそれらの生みの親でもある起業家・ハヤカワ五味さんへインタビュー。10代からある方法でお金を増やし、大学時代にはすでに起業をしているハヤカワさんの、キャリアとマインドをお伺いしました。

【ハヤカワ五味プロフィール】
年齢:28歳/職業:起業家/家族構成:パートナーあり
insta @hayakawa53
X @hayakawagomi

topics初年度で売上が1,000万を超え10代で起業

――ハヤカワさんのこれまでの経歴を簡単に教えていただけますか。

もともと「feast」という下着事業と「ILLUMINATE」という女性向けヘルスケアの事業をやっていたのですが、それぞれ事業譲渡して、現在は株式会社ユーグレナで働いています。事業譲渡先の株式会社feastには取締役として今も関わっています。

――最初に起業したのが10代ですよね。当時どんな経緯で起業したのでしょうか?

高校生時代から自分で何か作ったり、それをブログに載せたりして販売もしていたんです。その流れで大学入学直後にfeastという下着のブランドを立ち上げてSNSに載せたところ、すごい反響が大きくて。あれよあれよと売上が伸びていって、初年度で1,000万円超えてしまって、法人化したという感じですね。

AAAカップからの小胸サイズ(=シンデレラバスト)の下着を扱うfeast。可愛く着られるデザインが多数。写真は公式サイトより。

――じゃあ、頑張って売上を作ったというよりは…。

結構アクシデント的に。

――いきなり法人化することになって、大変だったことはありましたか?

正直法人化すること自体は登録上の話なので、特に何かが大変だったということはなかったんですけど、より大きな規模を目指していく中で人を雇ったり、いろんな人と関わっていくというところでは、自分が思ってもいなかったようなことはありましたね。それまでは自分一人でやっていたから、人を巻き込んで仕事することの大変さを知らなかった。いろんな価値観、いろんな考え方の人がいて、一緒にひとつの方向を向いてやっていくことの難しさは、そのタイミングで知りました。

――具体的に、どんなところで難しさを感じましたか?

当時は、全員が自分と同じモチベーション、つまりブランドを伸ばしてユーザーに還元するという気持ちでやっていると思いがちだったんですね。自分が思っていることは、きっと他の人も思っているはずだと思ってしまっていたんですけど、それがそもそも間違っているということに気付くのが第一歩だったなと思います。

――逆に法人化してよかったことは。

自分一人じゃできない規模のことをやれたことです。ラフォーレ原宿に店舗を出させていただいたりとか。しんどいと感じることももちろんあるけど、人と関わって何かを作っていくことは好きだというのもその時に感じました。何人かで大きなものを作っていくことができたのは、すごくよかったなって思いますね。

turning point中学時代から二次流通でお金を得る

――早くからビジネスを始めたハヤカワさんですが、その基礎になっている経験ってありますか?

中学時代に、買った服をきれいにしてオークションサイトで販売するということをしていたんです。今でいうとメルカリみたいなことですね。それが現体験にはなっているかなと思っています。どうやって人に商品の魅力を伝えるかとか、どうしたら商品が魅力的に映るかとか、言葉遣いや写真の選び方を試行錯誤したことは、物を売ることに関しての基礎になっていると思います。

――そもそもなぜ買った服を売ろうと思ったんですか?

お金がないからっていう、ただそれだけです(笑)。どうしても欲しい服があるけど、お小遣いもほとんどなくてお年玉の範囲でやりくりしなきゃいけなくて、そうなるとそういう手段になっていたみたいな感じで。

――ご家族にそういう商売をされていた方がいたのでしょうか?

親や家庭の影響はほとんどなくて、どちらかというと、早い段階からSNSやインターネットが使えていて、自分でなんとかしないとって思っていたことが影響しているのかなと思います。

インタビューに答えるハヤカワ五味さん。

ハヤカワさんのSNS歴は?「中2くらいからやっていたと思うので、14、5年。当時はモバゲーをメインでやっていて、その後mixi、Twitter、アメブロもやっていました」

――これまでに転機となった出来事を一つ挙げるとしたら、どんな出来事がありますか?

一番根本的な話で言うと、中3くらいから美術予備校に通い始めたんですけど、そのときに先生との面談みたいなものがあって。実はロリィタ服がすごい好きでっていう話をしたら、「着てきたらいいじゃん」って先生に言われたのが、自分的にはすごく大きな転機だったなと思っています。

それまではロリィタ服を着ることを親に反対されていて、親の目を盗んで駅のトイレで着替えてから原宿に行くというように、こそこそとロリィタ服を着ていました。人と違う趣味をオープンしちゃいけないんだっていう気持ちがすごく強かったんです。先生は軽い気持ちで言ったのかもしれませんが、私はその言葉で「着て行ってもいいんだ」と思えたし、実際に自分の好きな服で予備校に行ったら、周りの子が「それいいじゃん」と言ってくれて。そういった自分の多様な価値観だったり、好きなものを認めてくれるような周りの人に恵まれたということが、大きな変化のタイミングだったなと思いますね。

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