40店舗をM&A、女手ひとつで事業と娘を育て上げる ビーシスグループ代表取締役・稲垣恵美

40店舗をM&A、女手ひとつで事業と娘を育て上げる ビーシスグループ代表取締役・稲垣恵美

work style2021年にM&A、決め手となったのは

――2021年にM&Aしたのは、どんな経緯があったのでしょうか。

コロナ前にはスタッフが260名ほどに増え、ありがたいことに売上も順調で、商業施設やデパートからも出店のお声がかかるようになっていました。ビアンカの名前が認知され始めたのですが、心のどこかで経営というものはずっとうまくいくものではないという思いがありました。もし大震災が起こったら、もし何か大問題が起こったら260名のスタッフを私が守りきれるだろうかという恐怖心がだんだんと芽生えたんです。自分自身失敗も成功も経験していますが260名という人材を抱えて乗り越えられるのか自問自答したときに、この会社は良い意味で大きく育ち、私が守る範囲を超えてしまったと気付きました。

美容の業界はお客様あってこその業種のため、休憩が不規則だったり、一分残業ができなかったりすることもあります。「大企業のOLさん」のような安心した働き方ができるような会社になってほしい。その意味でも親替えというのが必要な時期なのではとも考え始めていたタイミングでした。

「M&Aはお見合いのようなもの。M&Aしたあとも処遇等の関係で一年ほどはお付き合いが続くので、自分とM&A先の会社が合うか合わないかを見極める必要があると思います」

――M&A先が決まった経緯は?

M&Aについて考え始めた直後にコロナが来たのですが、緊急事態宣言の当初は売上が下がったものの、その翌月から全店舗前年比を上回る売上を上げてくれました。まつ毛サロンやネイルサロンが見直されたのです。一方で、M&Aをしてくれた株式会社鉄人化計画さんの主事業であるカラオケは、密になるのでお客様の足が遠のいていたようです。そこで美容という業種の底力を認めていただいたのか美容の事業を取り入れたいと考え、ある程度まとまった店舗数のあるビアンカにお声がかかったというのがきっかけです。実際に考え始めてから2年ほど経って、M&Aすることになりました。今のところ上場会社の運営するまつ毛サロンは、ビアンカだけなのではないでしょうか。

――M&Aの後、稲垣さん自身の働き方に変化はありましたか?

1年目は株式会社鉄人化計画さんへ行ったスタッフは会社が変わり慣れない環境にとても大変そうで、2年目はビーシスグループの幹部たちが大変そうでしたが、3年目になった今は私が精神的にも体力的にも大変かもしれないと感じています。

――それはなぜ?

1、2年目はどこか「やり遂げた」という気持ちがあって気が抜けていたのかもしれないです。でも3年目になって、ありがたいことにたくさんの素敵なご縁があり新しい事業を立ち上げています。それらをなんとか形にしたいという思いが芽生えはじめて、ビアンカイズムを新しい社員にどう教えていこうか、そしてどう同じ方向を向いて気持ちを共有できるのかと考えるととてもプレッシャーを感じ始めています。

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