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turning point「将来何になりたいの?」選択肢が狭まった自分に気付く
――蕭さんはこれが2回目の起業だと伺ったのですが、まずは一度目の起業のきっかけを教えていただけますか?
父が経営者なので、「いつか自分で会社を経営してみたい」と昔から思っていたんですが、大学卒業の時点では特にやりたいことが見つからなかったんです。そんなときに、蛭子能収さんの「好きなことが見つからないときは、とりあえずお金を稼ぐんですよ」という言葉が印象に残っていて。お金を稼いでいればやりたいことが見つかったときの資金源にもなるし、何かしらの経験や知識が貯まるだろうという目線で、新卒ではゴールドマン・サックスに入りました。
――ゴールドマン・サックスってすごく忙しいイメージがありますが、蕭さんの場合は?
私も本当に仕事漬けの日々を過ごしましたね。大学時代は怠惰な生活を送っていたのですが、ゴールドマンって常に自分の150%を出し続けていないと回らない業務量と知識レベルが求められる環境で。一番大変だったときは夜中の2時に帰宅して、6時に起きてメールチェックして出社するというのを繰り返していました。
責任をきちんと全うすれば自由も与えてもらえるなと感じたのは、私の場合、ゴールドマンで働きながらミスコンにも出たりしていて。社内の許可を取ったりするのも大変で、周りにすごく迷惑をかけながら出場したことを覚えています。ただ、そのミスコンに出たことが自分の中で大きな転機になりました。
――どんな部分で転機になったと感じましたか?
いろんな職業の子がいたことが衝撃的でした。芸能やお料理などの特技を生かして仕事をしている子もいましたし、特に印象的だったのはSNSで稼いでいる子。これからのお金の稼ぎ方が多様化するのを感じました。ミスコンはスポンサーからの費用で収益を得ているので、出場する女の子たちもスポンサーの商品を使ってSNSに載せたりして、そこでひとつの経済が成立しているんです。PRしてほしい人と影響力がある人をマッチさせることでお金を生み出せるんだということに気付き、これからはメディアを持ってる人が強いと思ったのでSNSを勉強し始めました。
それと、小さい頃は「将来何になりたい?」と聞かれたら、コックさんとかお花屋さんとかいっぱい出てきたはずなのに、今は会社の中でどこを選ぶかという発想になってしまっていたことにも気付きました。私の人生にももっと選択肢があるはずだと思い、だったらやり直しがきく20代のうちにやりたいことをやってみようと、4年弱勤めたゴールドマンを辞めました。